アメリカのビジネスや技術ニュースの専門ウェブサイトBusiness Insiderが睡眠不足の蓄積は心筋梗塞や脳卒中、肥満、糖尿病などの生活習慣病の発症リスクが上がる事をレポートしている。
長期休暇明けにも同じように思うものだが、いつの間にか忙しい日常のリズムを取り戻している。それは人間の感覚の「慣れ」によるもので、眠気という刺激に慣れ、刺激として自覚しなくなるため。嗅覚のように、強い香水も長く嗅いでいるほど慣れるのと同じ理屈だが、その慣れが問題。
「5年、10年と自覚できない睡眠不足が負債のように溜まると、心筋梗塞や脳卒中、肥満、糖尿病などの生活習慣病の発症リスクが上がる」と、国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所・精神生理研究部の三島和夫部長は警鐘を鳴らす。
睡眠時間が足りているかどうかは、血圧や脈拍のように簡単に測ることはできない。理想的な睡眠時間も年齢や体調などによって異なるため、◯時間と数字で明示するのは難しい。
ただ、「平日と週末の差が3時間あったら、恒常的な睡眠不足を疑うべき」と三島氏は言う。ベッドに入るとすぐに眠れて寝つきがいい、という人も不足を疑おう。充足した睡眠が取れている人なら、消灯してから寝付くまでに15分程度かかるのが正常だからだ。
三島氏が健康な成人の必要睡眠時間について調べる試験を行なったところ、自覚していない睡眠不足(潜在的睡眠不足)は約1時間あることがわかった。
「試験対象は平均睡眠時間が、現在の日本人の平均睡眠時間である約7.5時間の人たち。参加者たちは、睡眠不足を全く自覚していなかったが、開始直後は気づかないままに溜め込んでいた不足の反動から11時間ほども寝た。それが2日、3日と日を追うごとに減少して安定。その安定した時間が約8時間半だった。ストレスホルモンと言われるコルチゾールの分泌量が減り、食欲を増進するグレリンも減少。逆に、食欲を抑えるレプチンは増加した」(三島氏)