米中の関税戦争は世界経済に囲炉裏おあん変化をもたらしそう。それはまず世界における石油の市場の変化とロイターが報じている。
[ニューヨーク 20日 ロイター] - 米中貿易摩擦が激化する中、石油市場は世界的な貿易フローの変動に備えている。中国は原油を含む多様な米国製品に25%の輸入関税を課す方針を表明。ただ、こうした措置がいつ実行されるかは明らかになっていない。
中国は今年、平均で日量33万バレルの米国産原油を輸入している。
この措置は、トランプ米大統領が表明した500億ドル相当の中国からの輸入品に関税を掛ける方針への報復だ。さらにトランプ大統領は中国の対応を受け、2000億ドル規模の中国製品に10%の追加関税を課すと警告した。
中国側の関税により、現在は月間約10億ドル規模となってる米国産原油の中国への輸出が制限される可能性がある。
トムソン・ロイターのデータによると、7月には約1400万バレルの米国産原油が中国に到着する予定。これは月間では過去最高となる。
輸入関税により中国における米国産原油の価格競争力は低下するため、中国への原油輸出は急減するのが必至だ。このため米国の石油会社は他の輸出先を探さなければならなくなる。
中国の通関統計によると、中国の輸入原油全体に占める米国産原油の比率は約5%となっている。
ICAPのブローカー、スコット・シェルトン氏は「(米国の石油)業界が新たな輸出先を見つけ出すのには2、3カ月を要するだろう」と述べ、米国産原油は欧州と地中海地域への輸出が増えそうだと付け加えた。
ただ米国産標準油種(WTI)の価格は北海ブレント原油よりも1バレル当たり10ドル程度低い水準で推移している。
多数のトレーダーは、米国産原油の対中輸出フローが減速すれば、WTIと北海ブレントの価格差は拡大すると予想している。その場合、他の産油国は、欧州など中国以外の巨大市場で低価格の米国産原油が大量に供給される状況に対処しなければならなくなる。
一方で中国は、ロシアとサウジアラビアからの輸入を増やして米国産原油に置き換える公算が大きい。
サウジとロシアは既に、今週開催される石油輸出国機構(OPEC)総会での増産合意へ向け働き掛けている。
ある米国のトレーダーは「中国は(米国産原油を)代替する輸入を増やし、他の輸入国は米国産原油の輸入と拡大するという椅子取りゲームのような入れ替えが行われる」と話した。
過去2年間で石油生産量が3割強ほど増えた米国は、市場の需給バランス維持を維持する上で輸出に大きく依存している。
米国では現在、中国向けを中心とする輸出増加見通しに基づき、輸出をさらに促進するため巨額の資金を投じたインフラプロジェクトの建設が進められている。