地震調査研究推進本部の資料によると、神戸ー大阪の北側に強烈な断層、有馬ー貴中記断層が走っている。神戸の地震にしろ今回の大阪地震にしろ、起きるべくして起きたということか? 毎日新聞が詳論を展開していた。
西村卓也・京都大准教授(測地学)はこう指摘する。マグニチュード(M)6.1を記録した今回の地震は、東西方向から押す力がかかり断層が水平方向にずれる「横ずれ断層型」と、垂直方向にずれる「逆断層型」が同時に起きたとみられる。震源は大阪府北部を東西に延びる活断層「有馬-高槻断層帯」(約55キロ)の南だった。
有馬-高槻断層帯の東部は過去3000年間で3回活動したとされる。1596年には推定M7.5の慶長伏見地震が起きた。政府の地震調査研究推進本部は、この断層帯で今後30年以内にM7.5程度の地震が起きる確率を「ほぼ0~0.03%」と計算していた。
政府の地震調査委員会は18日の会合で、地震が起きた断層を特定しなかった。M6.1と比較的小さく、震源断層のずれが地表に現れなかったためだ。しかし、震源付近には他にも、大阪府を南北に縦断する「上町断層帯」(約42キロ)▽大阪府北部から淡路島(兵庫県)へ延び、阪神大震災の震源を含む「六甲・淡路島断層帯」(約71キロ)▽生駒山地の西をほぼ南北に延びる「生駒断層帯」(約38キロ)などの活断層が集中。西村氏は「M6級の地震は日本全国で起こりうるが、特に関西ではいつ起きてもおかしくない」と語る。遠田晋次・東北大教授(地震地質学)は、前震の後に本震が来た熊本地震(2016年)を例に挙げ「今回の地震が種火となって、周りの断層が動く可能性がある」と注意を促す。
南海トラフ地震の発生が近づく中、内陸型地震が増える活動期に入っているとみる専門家もいる。
南海トラフは駿河湾から九州沖にかけて延び、過去90~150年間隔で津波を伴うM8級の海溝型地震が起きてきた。気象庁によると、最大震度6を観測した1944年の昭和東南海地震以降、今回の地震までに起きた最大震度6弱以上の地震は全国で58回。うち50回が1995年1月17日の阪神大震災の後だ。
梅田康弘・京都大名誉教授(地震学)は「フィリピン海プレートが徐々に沈み込むうちにユーラシアプレートの上に乗る日本列島の内陸で圧力が高まり、活断層による地震が増加すると考えられる」と解説する。
古村孝志・東京大地震研究所教授(地震学)は「今回の地震が直接的に南海トラフ地震に関係しているかは現時点では何とも言えない」と話す。「震源の深さは13キロと浅い。余震活動が活発になることがあり注意が必要だ」と言う。