東京五輪後なら、工事需要が一服して工事費も下がるはず。そう考えて、大規模修繕を先送りするマンション管理組合が増えているが、実際には五輪後に建設費が下がる可能性はほぼなく、むしろさらに上がっていく可能性の方が高いと経済誌のダイアモンドが伝えていた。まずその根拠は
①先進国でのオリンピック後の不動産市場の影響はほとんどなかった。②建築需要には下げ止まりの兆候がない。③建築工期が建設従事者の高齢化で伸びている。というもの。
しかし、福岡市の状況をみるとやたら建築ラッシュ。場所は西の西新、中央のp天神・博多地区、東の香椎やアイランドシティーだが、マンションはすでに十分あるし、オフィス・ビルを増加して関東や関西の大手企業を呼び寄せいようという腹。少子化に加えて、すでに高齢化が他都市より進むとされていて予測されていて、マンション需要は強くはない。より便利なマンションに引っ越しするだけで、秋マンションも出る。其の傾向、JRの駅近くの賃貸マンションでも、入居ア社募集中というのぼりが結構多くみられる。大手の企業はたいてい福岡支店設立済みで新しいオフィスビルに引っ越す理由は見当たらない。
首都圏や関西でも同じ傾向ではなかろうか? と言うことでやはり東京オリンピック後は景気は下降傾向になると思う。
以下ダイアモンドの記事の主張:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
「2020年以降、不動産価格や建築費が下がる」——。多くの人が漠然と、2020年が何か一区切りのようなイメージを持っているようだ。しかし結論を言えば、それはただのイメージにすぎず、特段の根拠はない。定期的にメディアから繰り出される「不動産市場はバブルだ! だからもうすぐ崩壊する!」といった論調の記事などを読んで洗脳されているのかもしれない。
「2020年」がなぜ独り歩きしているのか。1つはおそらく「東京オリンピック・パラリンピック」。1964年の東京五輪では、日本は高度経済成長の真っただ中。五輪に間に合わせるべく競技場や首都高などの道路、新幹線などのインフラを次々と整備し、経済の高揚とその後の落ち込みを経験した。
一方で現在の日本は、すでに成熟した先進国。カナダやイギリスなど、過去に先進国で行われた五輪が、経済や不動産価格に大きな影響を与えた事例は確認できない。ロンドンオリンピックにおいては、英国政府が「オリンピックが不動産市場に与えた影響はなかった」とするレポートを公表している。2020年の東京五輪もおそらく、その前後で経済動向に大きな変化や不動産市場に大きな動きはなく、その影響が表れるのは、選手村ができる東京都中央区晴海など一部に限られるだろう。
もう1つ連想できるのは「建設需要」。建築費は2013年以降20~30%程度上昇しており、現在も下げ止まりの兆候はないが、2020年のオリンピックが終われば建築費の高止まりも一服するのではないかといった予測だ。現にそういった期待から、大規模修繕を2020年以降に先延ばしするマンション管理組合も多くみられる。しかし残念ながら、それは期待外れに終わるどころか、建築費はさらに上昇していく可能性が高い。
高齢化に伴う折からの建設職人不足で、2018年時点ですでに多くの建設会社が5年先程度まで受注の見込みを持っている。さらに、現時点ですら、多くの建設現場において工期の遅れが目立っている。
例えば、新築一戸建ては通常3ヵ月もあれば完成するが、大工が確保できず、4ヵ月、5ヵ月、時にはもっと後ろ倒しになっている。都内のとある4棟新築現場では、大工が2人しか手配できず、6ヵ月たった今も完成していない。
2008年のリーマンショックは、それまでなんとか生き延びてきた建設業者に大打撃を与えた。さらに2009年には政権交代が起こり、民主党は「コンクリートから人へ」を掲げて公共事業の削減を目指した。リーマンショックで資金繰りが悪化した上に仕事も激減したとあって、建設業者の廃業が相次いだ。
ところが、事態は2011年に大きく反転した。
きっかけは東日本大震災。関東圏の建設職人の多くは復興のため東北に向かい、首都圏の建設現場は関西圏から建設職人を集めるなど、慌ただしい状況が続いた。2012年には安倍内閣が発足、それまでの民主党政権の方針を転換して公共事業の拡大を宣言した。
これで人手不足がさらに加速した。2013年には東京五輪の開催が決定するも、この際には建設業者間で「果たして誰が工事をするのか」といった声も上がったほどだ。職人の高齢化が問題視されていた建設業界では、リーマンショックで引退した高齢の職人たちが再び現場に戻ることはなく、若手も3K( きつい・汚い・危険 )とされ、給与も決して高いとはいえない建設業に魅力を感じないこともあって人気がなく、恒常的な人手不足が続いているのが現状で、職人の給与には上昇圧力がかかっている。
建設業の就業者数は1997年の685万人をピークに、2017年には498万人と3割弱も減少。2020年にはさらなる減少が見込まれよう。人手不足は工事量や質の低下や劣化を招く。東京商工リサーチがまとめた2018年上半期(1〜6月)における建設業の「人手不足」関連倒産は720件と、サービス業に次ぐ厳しさだ。
リーマンショックや度重なる震災、アベノミクスなどによる恒常的な人手不足の中では、五輪は建設費の高止まりの数多い要素の1つにすぎない。住宅やオフィスの建設、大規模修繕工事などは、五輪後も人手不足の影響を受け続けるだろう。さらに、2019年10月に実施予定の消費増税は、さらなる建築費のアップ要因となる。
五輪後に建設費が下がることをイメージして工事を先送りしているマンションの管理組合は、考え方を大きく変える必要があるだろう。