これまでデータベース分野を支配し、数十年かけて巨大で信頼の厚い顧客ベースを育ててきたOracleが、どうしてこのような事態に陥っているのだろうか。
Oracleはソフトウェアサプライヤーとして、ここ数十年膨大な利益を上げてきた。それは、オンプレミスへのインストールの定着、サポート停止への顧客の不安、継続的なライセンス監査プロセスを完璧に融合し、ベンダーロックインを生み出すという手法によるところが大きい。
こうしたベンダーロックインは、複数のクラウドサービスを利用できるようになったことで終わりを告げた。では、サプライヤーを1社に限定して関係を構築し、大規模な投資を行ってきた顧客が、その代わりとなるサービスを他の場所で探すようになったのはなぜだろう。
大企業の多くは、今でもオンプレミスソフトウェアを利用している。その主なコストは、頻発に行われるサポートとメンテナンスの契約だ。このような契約は、サポートチケットをほとんど使用しなくても、単に保険として毎年更新される。実際には多くの顧客が混乱を生み出す不要なアップデートのリスクを避け、安定性が高く堅牢(けんろう)な初期バージョンを好んでいる。
その結果、本来のライセンス価格の20~22%に当たる保守契約が、ビジネスを行うための必要経費として、あまり検討されることもなく更新されている。2018年の事業年度最初の9カ月間、Oracleのソフトウェアライセンス更新とサポートのコストは7億4000万ドル(約820億円)だった。これに対して受け取った額は149.3億ドル(約1兆6000億円)を超え、利益率は2000%に達する。
このように昔から好調な収益は何年もの間、フリーキャッシュフローと株主価値を高めてきた。その結果、同社は企業や公共機関からソフトウェアのコストを延々と引き出し続けている。
今では多くの大企業は別の方法を利用するようになっている。