また、血中の総コレステロール値が高い人を対象にした実験でも、酢の健康効果が実証されています。酢を毎日大さじ1杯とった人はそうでない人に比べ、血中の総コレステロール値が低下していたのです。さらに、酢をとることでカルシウムの吸収率が高まるので骨粗しょう症予防にもなります。

 私がとくに注目しているのは、お酢の腸内環境を整える効果についてです。

 私たちの腸には、約200種100兆個もの細菌がすんでいます。彼らは仲間の細菌たちと集団をつくって生息しています。その姿はまるで色とりどりの花が咲き誇るように美しいことから「腸内フローラ」と呼ばれています。

 腸内細菌は、その働き方から便宜上「善玉菌」「悪玉菌」「日和見菌」と分類されています。腸内フローラは「日和見菌7割、善玉菌2割、悪玉菌1割」が理想のバランスです。

 腸名フローラが理想のバランスに保たれていると、腸内環境は整います。短鎖脂肪酸をたくさんつくり出せるので、腸の働きがより活発になります。

 お酢には、ビフィズス菌のエサになる「グルコン酸」が豊富です。ビフィズス菌は善玉菌を代表する仲間の一種で、嫌気性という酸素を嫌う性質を持ちます。よって、酸素の少ない大腸内に多く存在します。

ただ、お酢がいくら腸の健康によいといっても、原液のまま飲んではいけません。酸が強いあまり、口の中や食道、胃の粘膜などを荒らしてしまいます。

 私は酢の物にして摂取しますが、ドリンクにして飲む人もいるでしょう。最近は「そのまま飲める酢」も多く流通しています。ただ、市販で売られている「そのまま飲める酢」は飲みやすいように、食品添加物や合成甘味料が加えられていることがあります。

 それならば、添加物を含まないリンゴ酢などのフルーツ酢に、大さじ1杯のハチミツを加え、お湯で割って飲んではいかがでしょうか。

 お湯で割ると腸が温まり、蠕動運動も活発になります。1日1杯、リンゴ酢のお湯割りを飲むだけでも、腸は驚くほど元気になってくるでしょう。