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台湾の軍事的統合が現実味を帯びている!

2019年01月08日 23時30分16秒 | 日記

 

習主席の2日の台湾統合表明は、1日の中国人民解放軍の2019年の最優先課題は戦争準備であると発表に続くもので、中国の武力による台湾併合を国家レベルで決定したものであろう。戦争も辞さないというから、台湾がどう滞欧するか?それに対してトランプ大統領はどう対応するのであろうか?
 
[7日 ロイター] - 中国の無人探査機が月の裏側に着陸したというニュースが世界を駆け巡った新年、中国人民解放軍の機関紙「解放軍報」は1日の社説で、「戦争準備」が2019年の最優先課題であるべきだと表明した。翌2日、今度は習近平・国家主席が演説で、軍事衝突の対象としてどこが中国の念頭にあるかを強力な形で示した。台湾である、と。
 
 

中国指導部は長年、台湾をならず者の省とみなし、支配下に置くことを共産党と軍の名誉に関わる問題と位置付けてきた。

習主席は2日の演説で、この「問題」を次世代に持ち越すことはできないと表明。「平和的統一」を強調する一方で、中国政府には必要とあれば武力を行使する権利があると述べた。香港のような「一国二制度」の形ですら、中国に取り込まれることに強く反対する人々が多い台湾は、この演説に反発した

<中国の戦争はベトナム以来>

習氏の演説には、衝突が近いと中国側が考えていることを示唆するものは何もなかった。だが、平和的「再統一」を支持する習氏の発言には、「武力使用の放棄は約束しないし、全ての必要な措置を取る選択肢を維持する」という文言も含まれていた。

これは、短期間のうちに中国側が撤退して終わった1979年のベトナムとの戦争以降、外国と戦ったことがない国にとってはリスクの大きい一手となるだろう。台湾独立を支持しないまでも、台北と「強力な非公式の関係」(米国務省)を維持する米政府との衝突も避けられなくなる。

中国が台湾侵攻を成功させるには、米国が介入してくることを抑止するか、アジア太平洋地域の駐留米軍を打ち負かすと同時に、他国軍が台湾周辺の海空域に入ることを阻止しなくてはならないと、多くの軍事アナリストは指摘する。

今の中国にその力はないかもしれないが、軍事力を増強し続けており、将来にわたってその状態が続くかどうかは分からない。少なくとも人民解放軍は、米軍の介入を阻止しつつ、領土を奪い取る戦略を中心とした戦争の可能性を考えるようになっている。

中国軍は、台湾制圧を念頭に置いた装備体系を中心に増強している。強襲部隊を運ぶ揚陸艦のほか、米軍が空母などの戦力を戦闘領域に投入できないようにするミサイルの整備に重点を置いている。

こうした兵器がどの程度有効かという議論はさておき、台湾、さらに中国が領有権を主張する南シナ海の島々を巡る武力衝突では中心的な役割を果たすだろう。

一連の動きは、地政学的な示威行動の色合いが濃い。中国政府はこの半世紀、台湾が事実上の独立国として振る舞うことを阻止できていないが、台湾が独立を宣言することは何としても防ごうとしている。

台湾周辺に軍艦や戦闘機を展開するなど、強硬な行動を拡大させているのは、独立を問う住民投票の実施は戦争になるというメッセージを台湾指導部に送るためと言える。また、大国への地歩を固める中で、中国は世界に対し、台湾を制圧しようと思えばいつでもできる力があるということを示したがっている。

 <台湾も国防予算を増加>
台湾の内政状況も要素の1つだ。台湾の当局者は昨年11月の統一地方選前、中国がロシアのような選挙介入を行い、蔡英文総統率いる独立派の民進党(DPP)への支持を切り崩そうとしたと主張した。この選挙で民進党の勢力は大きく後退し、中国寄りの野党・国民党が躍進した。

だが、習主席の2日の発言は、中国が依然として軍事力の誇示が台湾に圧力をかける最善の方法と考えていることを示している。

台湾を軍事的に制圧する作戦は単純ではない。中国軍が約180キロにわたる台湾海峡を越えようとすれば、台湾軍の近代化されたミサイル、機雷、そして潜水艦や航空戦力の攻撃にさらされることになる。人口密度が高い台湾の市街地や、密林に覆われた山々は、ゲリラ戦にはうってつけだ。多数の死者を出しながら台湾侵攻に失敗すれば、国際的に大恥をかくだけでなく、習主席は政治的に危機に陥るだろう。

台湾側は明らかに、簡単にやられる相手ではないことを中国に理解させたがっている。台湾は2019年の国防費を、前年比6%増の110憶ドル(約1兆2000億円)とした。大部分を米国製や国産の最新鋭装備の調達に充てる。台湾は2日、侵攻してくる中国軍に大きなダメージを与える国産の最新型対艦ミサイルを公開した。

米中いずれも、軍事力を誇示するのは当面台湾海峡に限られるだろう。米海軍は昨年、軍艦数隻に台湾海峡を通過させ、「自由で開かれたインド太平洋」に対する米国の関与を示したものだと説明した。クリントン政権は1996年の台湾海峡危機の際、空母2隻を派遣した。今も同様の行動を取るべきと主張する向きがあるが、そうなれば中国側を激怒させるだろう。

中国は月に手を伸ばしているが、習氏の演説をみれば、同国の領土的な野心がもっと身近にあることが分かる。中国政府が台湾攻撃に乗り出すつもりがなかったとしても、習主席の発言は、いずれ戦争が起きる可能性を高めるものだ。

 
 
 
11月7日、中国の無人探査機が月の裏側に着陸したというニュースが世界を駆け巡った新年、中国人民解放軍の機関紙「解放軍報」は1日の社説で、「戦争準備」が2019年の最優先課題であるべきだと表明した。写真は2018年8月、台湾の烈嶼郷から双眼鏡で見た中国側の「一国二制度」のスローガン(2019年 ロイター/Tyrone Siu)

大国間の紛争リスクが年々高まる今、台湾を支配しようとする中国の欲望は発火点になるかもしれない。