一方、留学生にとっても就職を見据えて、より高度な日本語を使った業務や日本のビジネスマナー、日本の企業の文化を知るための手段としてアルバイトを利用したいというニーズが高まってきました。
日本で就職する留学生が過去最高を更新
法務省の調査「平成29年における留学生の日本企業等への就職状況について」によると、日本で就職するため在留資格変更許可申請を行った留学生は前年比27.5%増の2万7926人。許可数も15.4%増の2万2419人となり、過去最高を更新しました。2012年からの7年間で、申請数、許可数ともに約3倍増という大幅な伸びを記録しています。
就職先の職務内容(複数回答可)は、「翻訳・通訳」が8715人、「販売・営業」が5172人、「海外業務」が3479人、「技術開発(情報処理分野)」が2296人、「貿易業務」が1775人となっています。
国籍・地域別許可数の上位は中国が1万0326人(前年比6.5%減)で1位、ベトナム4633人(同86.2%増)、ネパール2026人(同73.6%増)、韓国1487人(同4.6%増)、台湾810人(同17.6%増)と続き、以下インドネシア、スリランカ、タイ、フィリピン、ミャンマーの順で、アジア諸国で2万1421人と全体の95.5%を占めています。
総数では中国がまだ多いものの減少に転じ、ベトナムとネパールの伸び率が高いのが特徴です。最終学歴は大学卒が1万0196人、大学院卒が5477人で、両者合わせて全体の69.9%を占めています。
月額報酬は20万円以上25万円未満が1万0613人、20万円未満が7766人、25万円以上30万円未満が2298人の順で、就職先企業などの所在地は東京都が9915人と圧倒的に多く、大阪府2228人、神奈川県1278人で、以下愛知県、埼玉県、福岡県、千葉県の順になっています。
しかし、リクルート就職みらい研究所の留学生向けの調査によると、大学・大学院留学生の85%が日本で就職することを希望しています。それに対して、卒業後、国内で就職した留学生の割合は36%(日本学生支援機構の調査より)にとどまっているという実態もあります。
一方、「平成29年度外国人留学生在籍状況調査結果」(日本学生支援機構)では、直近2年で大学・大学院の留学生の伸び率が増加しており、今後ますます卒業後の就職が課題となることが予想されます。そして企業側にも、留学生側にもさまざまな理由があると思いますが、このギャップを埋めることは大きなビジネスチャンスにもなりえます。
「留学生派遣」に注目集まる
2018年12月17日にリクルートホールディングスが発表した「2019年のトレンド予測」では、人材派遣領域のトレンドキーワードとして「留Biz大学生」を掲げていました。
日本の企業文化やビジネスマナーを学びたい留学生が派遣アルバイトでキャリア形成に必要な経験をすると同時に、企業の採用姿勢も積極化するトレンドが生まれるというのです。
2015年秋から外国人留学生派遣サービス「Japaning」を運営するリクルートスタッフィングの山元聖吾セールススタッフィング部部長は、留学生の派遣登録にあたって「特に日本語のレベルにこだわり、日本語能力試験N1、N2を求めている」といいます。N1は幅広い場面で使われる日本語を理解できるレベル、N2は日常的な場面で使われる日本語の理解に加え、より幅広い場面で使われる日本語をある程度理解することができるレベルです。
外国人技術研修制度で、企業側が戒告人労働者を安くこき使ったケースが多々見られたが、、留学生には絶対に、濃く使うようなことをしてはならない。幸いにして、このレポートでは留学生の待遇は悪くはなさそう。