先端技術とその周辺

ITなどの先端技術サーベイとそれを支える諸問題について思う事をつづっています。

「中国はウイグル自治区に国連監視団受け入れよ」 英が要求

2019年11月30日 22時46分42秒 | 日記

BBCによると、『「中国はウイグル自治区に国連監視団受け入れよ」 英が要求』との事。中国の少数民族の抑圧は周知だし、キリスト教をはじめ宗教信者の弾圧も激しい事は良く知られている。国民一人当たりのGDPは高くはないが、14億の人々がいるから国家予算はでっかく、軍事費や産業振興費が湯水のように出ているから最近の中国の科学技術は世界最先端を行っているが、残念ながら中国発信の新技術は無い。中国共産党が頑なにマルクス・レーニン主義に固執する限り、諸問題が噴出するだろうし、それを弾圧すれば自由な発想が出なくなる。

もしかしたら、GDPはアメリカを抜くであろうが、自由な発想が圧迫されているので、永続性は無いと思う。

Re-training centres like this one are more like military prisons, shows a high level leak
Image caption中国の「再訓練」施設

イギリス政府は25日、中国西部の新疆ウイグル自治区に、国連監視団が「即時かつ無制限にアクセス」できるよう、中国政府に求めた。

この要求は、中国の公文書が流出し、何十万人ものイスラム教徒のウイグル人が、新疆ウイグル自治区の収容施設で虐待されている状況が判明したのを受けたもの。

英外務省の報道官は、「新疆における人権状況と、中国政府の弾圧強化を深く憂慮している。とくに、100万人以上のイスラム教徒のウイグル人や他の少数民族の人々を、法にのっとらずに拘束していることを懸念している」と表明。

「イギリスは中国に対して引き続き、国連監視団が即時かつ無制限に新疆ウイグル自治区にアクセスできるよう求めていく」と述べた。

裁判なしで100万人収容か

BBCパノラマや英紙ガーディアンなど17の報道機関が参加する国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)が入手した公文書には、収容施設に入れられた人々が監禁、教化、懲罰の対象となっている模様が記されている。

収容施設には、イスラム教徒のウイグル人を主体とした100万人近くが、裁判を経ずに収容されているとみられている。

中国の劉暁明・駐英大使は、こうした報道はでっち上げだとしている。

後頭部に電気ショックを……中国のウイグル人収容所でPresentational white space

「悔い改めと自白を促せ」

ICIJが「中国電報(The China Cables)」と呼んでいる流出文書には、2017年に新疆ウイグル自治区の共産党副書記で治安当局のトップだった朱海侖氏が、収容施設の責任者らに宛てた9ページの連絡文書も含まれている。

その連絡文書では、収容施設を高度に警備された刑務所として運営するよう指示。以下の点を命じている。

  • 「絶対に脱走を許すな」
  • 「違反行動には厳しい規律と懲罰で対応せよ」
  • 「悔い改めと自白を促せ」
  • 「中国標準語への矯正学習を最優先せよ」
  • 「生徒が本当に変わるよう励ませ」
  • 「宿舎と教室に監視カメラを張り巡らせて死角がないことを(確実にしろ)」
 
中国の「思想改革」収容所 「犯罪予備軍」を教化Presentational white space

流出した文書はまた、収容者の生活が細かく監視、管理されている状況も示している。

「生徒のベッド、整列場所、教室の座席、技術的作業における持ち場は決められているべきで、変更は厳しく禁じる」

「起床、点呼、洗顔、用便、整理整頓、食事、学習、睡眠、ドアの閉め方などに関して、行動基準と規律要件を徹底せよ」

1週間で1.5万人が入所

別の文書からは、ウイグル人の拘束と収容の規模がわかる。

ある文書は、2017年のわずか1週間の間に、新疆ウイグル自治区の南部から1万5000人が収容施設に入れられたとしている。

国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチの中国担当責任者ソフィー・リチャードソン氏は、流出文書は検察当局に活用されるべきだと話す。

「これは訴追に使える証拠で、甚だしい人権侵害が記録されている。収容者は全員、少なくとも精神的拷問を受けていると言っていいと思う。自分がいつまでそこにいるのか、まったく分からないからだ」

 
中国・新疆の消えた子どもたち 親から離され……Presentational white space

「中国に対する中傷だ」

流出した文書からは、外国の市民権をもつウイグル人の逮捕や、外国で暮らすウイグル人の追跡に関する明確な指示も読み取れる。

世界規模で捕獲網を張り巡らせるため、中国の大使館や領事館が役割を果たしていることも暗示している。

中国の劉暁明・駐英大使は、中国の施策は新疆ウイグル自治区の人々を守るためであり、同自治区では過去3年間、テロ攻撃は1件も起きていないと述べた。

「当該地域は現在、社会的に安定し、民族集団もまとまっている。人々は満足と安全を以前よりずっと強く感じ、生活を楽しんでいる」

「西側には、そうした事実を完全に無視して新疆について中国を熱心に中傷している人々がいる。彼らは、中国の国内問題に介入し、新疆における中国のテロ対策を妨げ、中国の順調な発展を妨害する口実を作ろうとしている」

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「いっそ妻と母を撃ち殺してくれ」 亡命ウィグル男性

(英語記事 China 'must give UN access' after prisons claims)


地球が「臨界点」超える危険性、気候科学者が警鐘

2019年11月30日 22時20分05秒 | 日記

 

National Geographic誌が、『地球が「臨界点」超える危険性、気候科学者が警鐘』とレポート。科学者は「私たちに残された時間がどれほど短いか、人々はわかっていません」と警告。この事は、南北の教での氷河の氷解や、勝手ない強大な台風やハリケーン、局所大雨など雪崩現象を見れば、素人も臨界点を超えていると言うのは理解できる。多くの政治家はこの地球温暖化を無視しているが、恐ろしいところまで来ている事を認識するべきだ。しかし我々はそれを認識させる事が出来ない。どうすべきだろうか?


海とサンゴは気候変動による激しいストレスにさらされていて、すでに回復が不可能になるレベルのダメージを受けている可能性がある。(PHOTOGRAPH BY ALEXIS ROSENFELD, GETTY IMAGES)
 

 地球は緊急事態にあると、気候科学者らが警鐘を鳴らしている。複数の地球システムが連鎖的に「臨界点」を超えることで、地球全体が後戻りできなくなる可能性があるという。

 これは「文明の存亡の危機」だと英エクセター大学の気候科学者ティム・レントン氏らは11月28日付けで学術誌「Nature」に寄せた論説に書いている。

 地球システムが崩壊すれば、世界は「ホットハウス・アース(温室地球)」状態になりかねない。つまり、気温は5℃上昇し、海面は6〜9m上昇し、サンゴ礁とアマゾンの熱帯雨林は完全に失われ、地球上のほとんどの場所が居住不可能になる世界だ。

「臨界点はずっと先のことだろうと思われてきましたが、すでに差しかかりつつあるのです。恐ろしいことです」とレントン氏は言う。

 例えば、西南極の氷床は徐々に崩壊が進んでいるが、最新のデータによると、東南極の氷床の一部も同様に崩壊が起きている可能性があると同氏は説明する。両方の氷床が融解すれば、今後数百年で海面は7mも上昇する。

 地球の気候に多大な影響力をもつ要素のうち9つが、後戻りできない臨界点に近づいている。そのうちの2つが西南極と東南極の氷床の融解であり、他にはアマゾンの喪失、広範囲での永久凍土の融解などがそうだ。

かつての理論は今や現実に

 臨界点の概念は、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)によって20年前に導入された。ひとたび臨界点を超えると、一気に不可逆的な変化が起こる。斧で20回打っても耐えて立っていた森の大木が、21回目の打撃でついに倒れるようなものだ。

 かつては、気候が臨界点を超えるのは5℃以上の温暖化が起きたときだと考えられていた。しかしIPCCは2018年の報告書で、それが1〜2℃の温暖化でも起こりうると警告した。気温がわずかに上昇するたびに、30の主要な臨界点のいずれかを超えてしまうリスクが高まる。1℃温暖化した現時点で、すでに9つの臨界点を超えようとしているのだ。次の斧、つまりさらなる気温上昇で何が起きるかは、誰にもわからない。

 各国がパリ協定で約束した温室効果ガス排出量の削減に取り組んだとしても、気温はさらに3℃以上も上昇すると予想されている。

 11月26日に発表された国連の報告書によると、世界の炭素排出量は年々増加していて、気温上昇を1.5℃程度に抑えるためには2030年までに毎年7.6%ずつ排出量を減らす必要があるという。

 太陽からの熱エネルギーを受けた大気や海洋、氷床、森林などの生態系、土壌は、地球の熱循環に影響を及ぼす。それらは相互作用しているため、いずれかの要素が大きく変化すれば、ほかの要素にも影響が及ぶ。21回目の斧で倒れた森の木は、ほかの木を巻き込み、ドミノ倒しを引き起こすかもしれない。


「存在すらしないはず」の巨大な恒星ブラックホール、銀河系内で発見

2019年11月30日 20時15分07秒 | 日記

 

AFPがNatureの記事を紹介していた。中国の天文学者が、『「存在すらしないはず」の巨大な恒星ブラックホール、銀河系内で発見』と言う。中国が独自開発した国家重大科学技術基礎施設「口径4mの郭守敬望遠鏡(LAMOST)」とその独自のサーべイ能力を利用し発見したと言う。従来、自然科学の分野でも中国の発見はあまり聞かなかったが、やはり中国の基礎体力が上がってきていると言う事だろう。

「存在すらしないはず」の巨大な恒星ブラックホール、銀河系内で発見
 

青い伴星からのガスを吸い込む恒星ブラックホールの想像図。中国科学院、北京天文館提供(2019年11月26日提供)。(c)YU JINGCHUAN / BEIJING PLANETARIUM VIA THE CHINA ACADEMY OF SCIENCES / AFP

【11月28日 AFP】太陽系が位置する天の川銀河(銀河系、Milky Way)内で、極めて巨大なブラックホールを発見したとする研究結果が28日、発表された。このブラックホールはあまりに巨大なため、星の進化に関する既存のモデルに疑問が投げ掛けられている。

 英科学誌ネイチャー(Nature)に掲載された論文によると、地球から1万5000光年の距離にあるこのブラックホール「LB-1」は、太陽の70倍の質量を持つとされる。

 今回の研究を率いた中国科学院国家天文台(China's National Astronomical Observatories)の劉継峰(Liu Jifeng)教授によると、大質量星の中心核が重力崩壊して形成される恒星ブラックホールが銀河系には約1億あると推定されるが、LB-1は科学者らの間で存在し得ると考えられていた重い恒星ブラックホールの2倍の質量を持つという。

「現在の恒星進化モデルの大半によれば、これほどの質量を持つブラックホールは、銀河系内には存在すらしないはずだ」と劉教授は話す。

 また、銀河系内の典型的な恒星は恒星風を通じてガスの大半を放出するため、LB-1ほどの巨大なブラックホールは出現しないというのが研究者らの考えだと説明し、「今回の発見により、理論研究者らはLB-1の形成を説明するという難題に立ち向かわなければならなくなる」と続けた。

 恒星ブラックホールは通常、超新星爆発によって形成される。超新星爆発とは大質量星が燃え尽きてその一生の最後に起きる現象だ。

 今回の研究には参加していないが、米カリフォルニア工科大学のデービッド・ライツェ(氏は、「LB-1の大質量は、超新星で生成されてはいないはずで『対不安定型のギャップ』として知られる範囲に分類される」「これは、LB-1が別の物理学的機構で形成された新たな種類のブラックホールであることを意味する」とコメントしている。 (c)AFP

 

「給与は低いが満足度が高い企業」は存在するか?

2019年11月30日 19時51分25秒 | 日記

 

ダイアモンドと言う経済紙が『意外! 「給料は低くても社員の士気が高い」会社の共通点』と言う記事を掲載していた。著者は、北野唯我と言う方で、ワンチャンスと言う経営コンサルタントの役員。中々、ハッとさせられる。以下その要約::::::::::

「給与は低いが満足度が高い企業」は存在するか

 『OPENNESS  職場の「空気」が結果を決める』なる著書で調査した約2400社の調査データによると、「待遇面の満足度」と「社員の士気」は思ったよりも相関が高くないことがわかりました。

 給与は士気に相関していない。
 金満主義の人にとって、これは意外すぎる事実でしょうか?

 実はデータでみると、日本には「『待遇面の満足度』は低いが、『社員の士気』が高い企業」があります。これは、ものすごくわかりやすい言い方をすると、従業員が「もっと金くれよ!」と思っているが、それでも「士気が高い」企業は、実際に存在しているということです。

 下図は、待遇面の満足度の高低と、社員の士気の高低で、企業を分類したものです。このうち、右下の欄を見てください。「待遇面の満足度は低いが、社員の士気は高い企業」が、27社。この内訳は、人材大手企業、有名なITベンチャーや、農業テックベンチャー、ホテル会社、日系コンサルティングファームなどです。ここから何が学べるでしょうか?
 

27社に共通する「3つの特徴」

 図を見ると、まず、基本的には、この国の職場のほとんどは中庸的(給与には普通の満足度で、士気は高くない)に分類されることがわかります。一方で、これら27社の企業は、独自のルートを進んでいるように見えます。ここで考えるべきは、「私たちが、これらの企業から学ぶべきことは何か?」です。そもそもなぜ、これらの企業は高い士気を保つことができるのでしょうか?

 

これら27社の企業の特徴は、「風通しの良さ」「社員の相互尊重」「20代の成長環境」の圧倒的な高さにあります。その他の企業と比べて、これら3つのスコアがきわめて高いのです。これはとても示唆に富んだ話です。

 たとえば、中小企業やスタートアップにとって「待遇を上げること」は容易ではありません。とくに上場前や調達前のスタートアップは資金が大企業に比べて乏しく、経営者が従業員に高待遇を準備できないケースは多くあります。その際、経営者としては何かしらの「代わりとなるもの」を提供する必要が出てきます。

 データからは、十分な給与を準備できない際に、経営者がより大切にすべきなのは、次の3つの要素だと結論づけることができます。
①風通しの良さ
②社員の相互尊重
③20代の成長環境

 実際、これは私自身が経営者として働いてきた経験とも一致します。昔、パートやアルバイト、学生インターンをマネジメントしていた時期がありましたが、当時私が見ているチームでは、離職率が異常に低く保たれていました(そして雰囲気もとてもよかったのです!)。その際、私が最も大事にしていたのは、まさにこの3つでした。
 パート・アルバイトスタッフに対しては、「お互いに対するリスペクトをもてる人だけを選ぶこと」と「なんでも意見を自由に言える環境をつくること」、学生インターンに対しては「成長できること」を大切にしていました。

 結局、人が待遇だけを見るか、それ以外の要素も見るかは、人の「期待値(バー)」で決まります。給与が高くても、成長がない仕事を嫌がる人もいるし、その逆もありえるのです。

できる限り気持ちよく働いてもらうためには、「風通しの良さ」「社員の相互尊重」「20代の成長環境」の3つを高めることが大切なのです。具体的には、それぞれ次のようなアクションをとる必要があります。

【風通しの良さを高めるアクション】
・情報のシェアや成功事例を多部署に展開するなどの行為を賞賛する
・成功例やいい話だけではなく、悪い話や過去の失敗談をリーダーが率先して話す

【社員の相互尊重を高めるアクション】
・メンバーの仕事の能力や成果だけを確認するのではなく、「本人の意思や希望」も確認する機会をもつ
・立場やポジションに関係なく、誰もが自分の意見を主張する機会を定期的に設ける

【20代の成長環境を高めるアクション】
・年齢や役職に関係なく、成果や意思に応じて、業務を配分、アサインさせ
・定期的にキャリアディベロップメントの面談を行い、中長期のキャリア戦略を設計する


ローマ教皇フランシスコが手を差し伸べ難い、1億人の中国人クリスチャン

2019年11月30日 19時17分18秒 | 日記
 


ニューズウィークによると、『中国には、1億人の隠れクリスチャンがいる』と言う。中国共産党は、マルクス・レーニン主義を信奉しており、その主義では宗教は麻薬であるとしているから、クリスチャンだけでなく宗教信者は激しく弾圧されているのは確かの様で、如何にローマ教皇と言えども、中国共産党の宗教者排除で中国訪問は激しく拒絶されているであろう。徳川幕府のキリスト教排斥を思い起こされる。

 

ローマ教皇の訪日ニ触れてそう記述していた。


ローマ教皇フランシスコが手を差し伸べない、1億人の中国人クリスチャン

25日に東京ドームで開催されたミサには5万人が集まった Kim Hong-Ji-REUTERS

<アジア諸国を歴訪した教皇フランシスコはリベラルな姿勢で知られるが、弾圧に苦しむ渦中の中国の「ヒツジ」たちへの支援は?>

ローマ教皇フランシスコが11月23日から26日の日程で日本を訪問した。ローマ教皇の訪日は1981年以来38年ぶりだ。アジア歴訪の一環として日本を選んだのにはそれなりの戦略からだろう。教皇はリベラルな姿勢を強く打ち出し、改革派として発声をし続けたが、受け入れ側の日本をはじめとするアジア諸国は踏み込んだ態度を示さない。教皇にとって忸怩(じくじ)たる旅かもしれない。

 

教皇は長崎市では原爆が落とされた爆心地と、かつて26人の信徒が処刑された西坂町公園の日本二十六聖人記念碑を訪れる。広島市でも平和記念公園を訪問する。こうした行動は彼がかねてから唱える核兵器の廃絶とつながるが、日本政府から積極的な反応は引き出せないだろう。無理もない。市民が原水爆の永久廃絶と禁止を希求する一方で、日本自体はアメリカの核の傘の下にいるからだ。

私は1985年に1度、そして今春にも再度、長崎・広島を訪問した。どちらの時も施設そのものから深い感動を感じ取ることはできなかった。一瞬にして数十万人もの人の命が奪われた両市の平和関連施設の展示では、日本が起こした戦争の目的と世界にもたらした負の影響、原爆が投下されるまでの過程に関する説明が貧弱だったからだ。

あたかも日本がずっと平和に暮らしていたところへ、ある日突然原爆が投下されたような錯覚に陥ってしまいそうな展示である。大勢の修学旅行生や市民がいたが、笑い声を発して騒ぐ者も少なくない。世界各地にあるほかの平和関連施設の雰囲気との差を感じざるを得なかった。施設側も市民側も「核の傘」に頼る国家に生き続けている以上、人類にもたらした凄惨な出来事をリアルに展示できないのだろう。

核の傘に頼りながら、毎年行われてきた広島・長崎の原爆慰霊式典の挨拶で「核廃絶」を世界に訴える日本政府と、原爆の被害者であることばかりを強調する市民――日本政府と日本人の核兵器をめぐる意識はかくも矛盾している。

香港デモにも「内政干渉」せず

もちろんこれは私個人の感じ方にすぎない。教皇は「人間の命を奪うことで問題は解決しない」との立場に立って「使徒的勧告」を発している。そのため、東京では東日本大震災の被災者や、冤罪の可能性が指摘されている袴田事件で死刑判決を受けた袴田巌氏とも交流する。他者の痛み、亡き者の声に耳を傾けた交流といえよう。

 

ただフランシスコ教皇が、現在まさに「痛みの中」で「苦しんでいる信者」に対して明確なメッセージを送らないのには不満がくすぶる。ほかでもない香港と台湾、そして中華人民共和国の「ヒツジ」たちだ。

教皇は就任以来、「宗教は人民を毒害する麻薬」であり、「カトリックは西欧列強の中国侵略の先兵だ」との歴史観を持つ中国政府と「密談」を重ねてきた。台湾の信者たちを裏切って共産中国と国交関係を結ぶのではないかと取り沙汰されたバチカンの動きに対し、台湾から反発が起きた。

 

それでも教皇は昨秋、中国政府と彼らが任命した司教の正統性を追認することで合意した。その後、民主主義を求める香港の若者たちと市民が抗議に立ち上がって半年がたったが、教皇から彼らへの支援のメッセージは届いていない。

日本のカトリック人口は44万人であるのに対し、地下教会信者を含めた中国のクリスチャンは1億人に迫る勢いを見せている。習近平(シー・チンピン)政権から苛烈な弾圧を受けている地下教会の中国人クリスチャンも教皇からの救いを待っているはずだ。しかし、教皇は決して「内政干渉」しない。引き続き「裏取引」を進めるためだろう。