【11月22日 AFP】中国が水面下で狡猾(こうかつ)に組織的なスパイ活動と利益誘導を駆使してオーストラリア政治体制の「乗っ取り」を企てていると、オーストラリア保安情報機構(いん)の元トップが豪紙とのインタビューで警告した。

 このインタビューは、今年9月までの5年間ASIOの長官を務めていたダンカン・ルイス氏のもので、22日付の豪紙シドニー・モーニング・ヘラルドに掲載された。ルイス氏がASIO長官退任後にメディアのインタビューに応じるのは初めてだ。

「(中国の)スパイ活動や内政干渉は水面下で狡猾に行われている。その影響が表面化するのは何十年後かもしれないが、その時は既に手遅れになっているだろう。ある日、目を覚ましたら、我が国の政府が我が国にとって有益でない決断を下していたということになりかねない」

 さらにルイス氏は、中国による乗っ取りは政界にとどまらず、地域社会や財界にも及んでいると指摘。基本的に活動の指令はオーストラリア国外から出ているという。

 中国による大規模な利益誘導作戦の例としてルイス氏は、豪政党に多額の献金をしている中国人工作員の存在を挙げ、メディアや大学も標的となっていると警告。「疑心暗鬼を引き起こすつもりはないが、賢明に認識しておく必要がある」と訴えた。(c)AFP