東洋経済社のオンラインニューズで『JR東日本のSuica、「QR決済」をどう迎え撃つ?』と報じていた。Suicaはソニーが開発した非接触型通信方式のICカード、一方のQRコード、トヨタ系の自動車部品会社デンソーの開発した映像で判定できる図形化されたコードシステム。
したがって、相対したり、競合するものではないのに、東洋経済の記事によると、競合しているという。 一体全体、どういうことなのか解説を読みたい。
ということで、記事を引用した:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
JR東日本の「Suica」。都市部の駅では対応改札機が普及しているが、地方ではまだ少ないエリアもある
スイカの発行枚数は約7467万枚(2019年1月末時点)と、交通系ICカードでは断トツ。電子マネーの中には発行されても使われないというカードも少なくないが、乗車券として使われる交通系ICカードは使用頻度が高い。
スイカはICカード乗車券として2001年に首都圏エリア424駅で利用が始まった。また、2004年にJR西日本のICカード乗車券「ICOCA(イコカ)」と相互利用を開始したのを契機に、2013年に全国の交通系ICカードと相互利用を実現している。
2004年には電子マネーサービスが開始され、駅ナカなどでの買い物が可能になった。2006年にはJR東日本とNTTドコモが共同で、スイカを含む複数の決済サービスが利用できる共通インフラを運営していく有限責任事業組合を設立。これにより、スイカの活用の場が一気に広がった。2011年には全国のセブン-イレブンで利用可能になるなど、買い物で使える電子マネーとしての存在感は増すばかりだ。利用できる店舗は2019年1月末で約57万店に上る。
交通系ICカードとしての機能はさらに向上し、新幹線の指定席や自由席をネットで予約すれば、スイカなどの交通系ICカードを自動改札機でタッチするだけで乗車できるという新幹線のチケットレスサービスを2019年度末に導入する。
使える駅は意外に少ない?
ただ、肝心な乗車券としてのスイカを利用できる駅は意外に少ない。JR東日本エリアにおけるスイカ利用可能駅は首都圏、仙台、新潟エリア合わせて818駅にとどまる。JR東日本全1667駅の半分にすぎないのだ。
普及にあたってネックとなっているのが、ICカードに対応した自動改札機の導入コストだ。現状のスイカ対応型自動改札機は、乗降客が多い駅での使用を前提にしている。大勢の利用者が早足で改札機を通り抜ける間に、改札機に設置されたスイカ端末が瞬時にデータを読み取り、運賃を計算し、決済を行う。この処理に時間がかかると改札機の前で利用者が滞留してしまうため、大量のデータを高速で処理する性能を必要とする。
自動改札機の1台当たりの価格が明示されることはほとんどないが、多くの関係者の話を総合すると数百万円~1000万円台にも及ぶ。
東海道新幹線の自動改札機。ICカードの情報を読み取って乗車票を発行する機能がある(編集部撮影)
他社の事例で、機能も異なるが、JR東海は2014年4月に「約52億円を投じて、東海道新幹線の全17駅、295通路の自動改札機を取り替える」と発表した。ここから1台当たりの価格は諸費用込みでおよそ1700万円と推察することができる。東海道新幹線の改札機はICカードの情報を読み取って乗車票を発行するという機能を持つため、割高になっているようだ。
電子マネーに対応した自動改札機を導入していない駅が地方に多いのは、価格の高さが一因である。利用者の少ない駅でそこまで高性能な改札機は必要ないからだ。
そこでJR東日本は、クラウド技術を用いるなどの工夫を行い、改札機側で高度な処理をする必要がない簡易版システムの導入を検討中だ。改札機の導入コストを引き下げることによって、スイカが利用できる駅を管内全域に広げようとしている。地方駅は首都圏の駅ほど利用者が多くないので、データの処理量や速度を落としても利用者に不便をかけないという考え方は十分成り立つ。
JR西日本のイコカは大阪近郊区間のほか、岡山、広島などの一部区間で対応しているが、今春から境線(米子―境港間)に車載型IC改札機を導入して利用可能エリアを広げる。車載型とは、列車内にIC改札機を設置し、車内で運賃を自動精算する仕組み。全国の路線バスや路面電車ですでに実施されている。ゲートがない分だけ導入コストは安くつく。
JR東日本は簡易版システムを駅と列車内のどちらに設置するのかも含めて、「これから検討していく」と述べるにとどまるが、低コストを理由に車載型IC改札機の導入がJR東日本エリアでも進む可能性はある。
QRコード決済が台頭
地方の駅でスイカの利用環境が整えば、地方の小売店舗でもスイカの利用者拡大が見込める。
日本銀行の調査によると、2017年におけるクレジットカードの決済金額58兆円に対して、電子マネーは5.1兆円と、クレジットカードの規模は電子マネーを圧倒的に上回る。しかし、2017年度末における1人当たりの平均保有枚数はクレジットカードの2.15枚に対して、電子マネーは2.9枚で、電子マネーがクレジットカードを上回る。東日本エリアの各地でスイカの普及が進めば、電子マネーの勢力はさらに拡大しそうだ。
経済産業省が2015年に18%だったキャッシュレス決済比率を2025年に40%まで引き上げる目標を掲げていることも、この動きを後押しする。その先には同比率80%の達成も目指す。今年10月の消費増税後に9カ月限定で、販売店でキャッシュレス決済を行った場合に、消費者に2~5%のポイントを還元するという制度も導入する予定だ。
そのスイカの周辺がにわかに騒がしくなってきた。QRコードやバーコードを使った決済サービスの台頭である。
店舗での導入が容易なQRコード決済は中国の「アリペイ」や「ウィーチャットペイ」が海外で普及しているが、日本でも昨年から大きな盛り上がりを見せている。ソフトバンクとヤフーが合弁で展開する「PayPay(ペイペイ)」は昨年末に実施した「100億円あげちゃうキャンペーン」が、わずか10日間で原資を使い切るほどの人気ぶりを見せた。2月12日からは100億円キャンペーンの第2弾を実施中である。
こうしたスマホ決済サービスは、楽天が運営する「楽天ペイ」、LINEが展開する「LINE Pay(ラインペイ)」といったネット系に加え、ペイペイのほかにも多数ある。
QRコード決済にどう立ち向かう?
これまでICカード一辺倒だった鉄道会社の中にも、QRコード決済に関心を示す会社が出てきた。
沖縄都市モノレール「ゆいレール」は昨年6~7月に改札機でアリペイを利用可能にする実証実験を行った。ゆいレールは改札でもともとQRコードを利用しており、ほかの鉄道路線と連結していないことから導入が容易だった。
大手では、交通系ICカード「SUGOCA(スゴカ)」を運営するJR九州が昨年7月にアリペイを運営するアリババグループと提携した。アリババは自社の旅行サイトを活用して2023年度に中国から九州に送客し、JR九州は九州域内へのアリペイ導入を支援する。JR九州グループ内のドラッグストアやホテルではすでにアリペイによる決済が可能だ。
日本国内でもアリペイやウィーチャットペイなどを使える店舗は急速に増えている。
アリペイを交通系ICカードのように乗車券として活用する可能性について、青柳俊彦社長は、「改札の仕組みをすべて変えないといけない」として、慎重姿勢を崩さない。ゆいレールと違い、路線網が複雑なJRでアリペイを導入するのは容易ではないだろう。しかし、券売機や窓口で鉄道切符を購入する可能性については「クレジットカードが使えるのだから、導入は難しくないはず。使用できるなら大いに結構」と言う。
私鉄では、南海電鉄が昨年8月から難波、関西空港など一部の駅で、アリペイやウィーチャットペイで乗車券や特急券が買えるというサービスをすでに実施している。「日本円の現金をあまり持たない中国人観光客の利便性向上を狙った」(同社)という。こうした動きは鉄道各社に広がっていくかもしれない。
スマホで手軽に決済できるのがQRコード決済の特徴だが、JR東日本もiPhone、アンドロイド端末の両方でスイカの機能が使える「モバイルSuica(モバイルスイカ)」を展開している。ICカードと同様に、読み取り機に近づけるだけで簡単に決済できる。ペイペイやラインペイなど簡単な決済を売り物にするスマホ決済サービスよりもさらに簡単かもしれない。会員数は、2019年1月末で約685万人に達した。
電子マネーでは圧倒的な存在感を示すスイカは、QRコード決済にどう立ち向かうか。昨年8月にはみずほ銀行の口座から直接チャージできる「Mizuho Suica(みずほスイカ)」というサービスも開始。また、昨年10~12月には赤羽駅でスイカなど交通系電子マネー専用の無人店舗の実証実験も行なうなど、JR東日本はスイカによるサービスの幅をぐいぐいと広げている。キャッシュレス戦国時代で覇権を握るには、サービス改善の手綱を緩めるわけにはいかない。
したがって、相対したり、競合するものではないのに、東洋経済の記事によると、競合しているという。 一体全体、どういうことなのか解説を読みたい。
ということで、記事を引用した:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
JR東日本の「Suica」。都市部の駅では対応改札機が普及しているが、地方ではまだ少ないエリアもある
スイカの発行枚数は約7467万枚(2019年1月末時点)と、交通系ICカードでは断トツ。電子マネーの中には発行されても使われないというカードも少なくないが、乗車券として使われる交通系ICカードは使用頻度が高い。
スイカはICカード乗車券として2001年に首都圏エリア424駅で利用が始まった。また、2004年にJR西日本のICカード乗車券「ICOCA(イコカ)」と相互利用を開始したのを契機に、2013年に全国の交通系ICカードと相互利用を実現している。
2004年には電子マネーサービスが開始され、駅ナカなどでの買い物が可能になった。2006年にはJR東日本とNTTドコモが共同で、スイカを含む複数の決済サービスが利用できる共通インフラを運営していく有限責任事業組合を設立。これにより、スイカの活用の場が一気に広がった。2011年には全国のセブン-イレブンで利用可能になるなど、買い物で使える電子マネーとしての存在感は増すばかりだ。利用できる店舗は2019年1月末で約57万店に上る。
交通系ICカードとしての機能はさらに向上し、新幹線の指定席や自由席をネットで予約すれば、スイカなどの交通系ICカードを自動改札機でタッチするだけで乗車できるという新幹線のチケットレスサービスを2019年度末に導入する。
使える駅は意外に少ない?
ただ、肝心な乗車券としてのスイカを利用できる駅は意外に少ない。JR東日本エリアにおけるスイカ利用可能駅は首都圏、仙台、新潟エリア合わせて818駅にとどまる。JR東日本全1667駅の半分にすぎないのだ。
普及にあたってネックとなっているのが、ICカードに対応した自動改札機の導入コストだ。現状のスイカ対応型自動改札機は、乗降客が多い駅での使用を前提にしている。大勢の利用者が早足で改札機を通り抜ける間に、改札機に設置されたスイカ端末が瞬時にデータを読み取り、運賃を計算し、決済を行う。この処理に時間がかかると改札機の前で利用者が滞留してしまうため、大量のデータを高速で処理する性能を必要とする。
自動改札機の1台当たりの価格が明示されることはほとんどないが、多くの関係者の話を総合すると数百万円~1000万円台にも及ぶ。
東海道新幹線の自動改札機。ICカードの情報を読み取って乗車票を発行する機能がある(編集部撮影)
他社の事例で、機能も異なるが、JR東海は2014年4月に「約52億円を投じて、東海道新幹線の全17駅、295通路の自動改札機を取り替える」と発表した。ここから1台当たりの価格は諸費用込みでおよそ1700万円と推察することができる。東海道新幹線の改札機はICカードの情報を読み取って乗車票を発行するという機能を持つため、割高になっているようだ。
電子マネーに対応した自動改札機を導入していない駅が地方に多いのは、価格の高さが一因である。利用者の少ない駅でそこまで高性能な改札機は必要ないからだ。
そこでJR東日本は、クラウド技術を用いるなどの工夫を行い、改札機側で高度な処理をする必要がない簡易版システムの導入を検討中だ。改札機の導入コストを引き下げることによって、スイカが利用できる駅を管内全域に広げようとしている。地方駅は首都圏の駅ほど利用者が多くないので、データの処理量や速度を落としても利用者に不便をかけないという考え方は十分成り立つ。
JR西日本のイコカは大阪近郊区間のほか、岡山、広島などの一部区間で対応しているが、今春から境線(米子―境港間)に車載型IC改札機を導入して利用可能エリアを広げる。車載型とは、列車内にIC改札機を設置し、車内で運賃を自動精算する仕組み。全国の路線バスや路面電車ですでに実施されている。ゲートがない分だけ導入コストは安くつく。
JR東日本は簡易版システムを駅と列車内のどちらに設置するのかも含めて、「これから検討していく」と述べるにとどまるが、低コストを理由に車載型IC改札機の導入がJR東日本エリアでも進む可能性はある。
QRコード決済が台頭
地方の駅でスイカの利用環境が整えば、地方の小売店舗でもスイカの利用者拡大が見込める。
日本銀行の調査によると、2017年におけるクレジットカードの決済金額58兆円に対して、電子マネーは5.1兆円と、クレジットカードの規模は電子マネーを圧倒的に上回る。しかし、2017年度末における1人当たりの平均保有枚数はクレジットカードの2.15枚に対して、電子マネーは2.9枚で、電子マネーがクレジットカードを上回る。東日本エリアの各地でスイカの普及が進めば、電子マネーの勢力はさらに拡大しそうだ。
経済産業省が2015年に18%だったキャッシュレス決済比率を2025年に40%まで引き上げる目標を掲げていることも、この動きを後押しする。その先には同比率80%の達成も目指す。今年10月の消費増税後に9カ月限定で、販売店でキャッシュレス決済を行った場合に、消費者に2~5%のポイントを還元するという制度も導入する予定だ。
そのスイカの周辺がにわかに騒がしくなってきた。QRコードやバーコードを使った決済サービスの台頭である。
店舗での導入が容易なQRコード決済は中国の「アリペイ」や「ウィーチャットペイ」が海外で普及しているが、日本でも昨年から大きな盛り上がりを見せている。ソフトバンクとヤフーが合弁で展開する「PayPay(ペイペイ)」は昨年末に実施した「100億円あげちゃうキャンペーン」が、わずか10日間で原資を使い切るほどの人気ぶりを見せた。2月12日からは100億円キャンペーンの第2弾を実施中である。
こうしたスマホ決済サービスは、楽天が運営する「楽天ペイ」、LINEが展開する「LINE Pay(ラインペイ)」といったネット系に加え、ペイペイのほかにも多数ある。
QRコード決済にどう立ち向かう?
これまでICカード一辺倒だった鉄道会社の中にも、QRコード決済に関心を示す会社が出てきた。
沖縄都市モノレール「ゆいレール」は昨年6~7月に改札機でアリペイを利用可能にする実証実験を行った。ゆいレールは改札でもともとQRコードを利用しており、ほかの鉄道路線と連結していないことから導入が容易だった。
大手では、交通系ICカード「SUGOCA(スゴカ)」を運営するJR九州が昨年7月にアリペイを運営するアリババグループと提携した。アリババは自社の旅行サイトを活用して2023年度に中国から九州に送客し、JR九州は九州域内へのアリペイ導入を支援する。JR九州グループ内のドラッグストアやホテルではすでにアリペイによる決済が可能だ。
日本国内でもアリペイやウィーチャットペイなどを使える店舗は急速に増えている。
アリペイを交通系ICカードのように乗車券として活用する可能性について、青柳俊彦社長は、「改札の仕組みをすべて変えないといけない」として、慎重姿勢を崩さない。ゆいレールと違い、路線網が複雑なJRでアリペイを導入するのは容易ではないだろう。しかし、券売機や窓口で鉄道切符を購入する可能性については「クレジットカードが使えるのだから、導入は難しくないはず。使用できるなら大いに結構」と言う。
私鉄では、南海電鉄が昨年8月から難波、関西空港など一部の駅で、アリペイやウィーチャットペイで乗車券や特急券が買えるというサービスをすでに実施している。「日本円の現金をあまり持たない中国人観光客の利便性向上を狙った」(同社)という。こうした動きは鉄道各社に広がっていくかもしれない。
スマホで手軽に決済できるのがQRコード決済の特徴だが、JR東日本もiPhone、アンドロイド端末の両方でスイカの機能が使える「モバイルSuica(モバイルスイカ)」を展開している。ICカードと同様に、読み取り機に近づけるだけで簡単に決済できる。ペイペイやラインペイなど簡単な決済を売り物にするスマホ決済サービスよりもさらに簡単かもしれない。会員数は、2019年1月末で約685万人に達した。
電子マネーでは圧倒的な存在感を示すスイカは、QRコード決済にどう立ち向かうか。昨年8月にはみずほ銀行の口座から直接チャージできる「Mizuho Suica(みずほスイカ)」というサービスも開始。また、昨年10~12月には赤羽駅でスイカなど交通系電子マネー専用の無人店舗の実証実験も行なうなど、JR東日本はスイカによるサービスの幅をぐいぐいと広げている。キャッシュレス戦国時代で覇権を握るには、サービス改善の手綱を緩めるわけにはいかない。