北の三角地帯(ゴールデントライアングル)とは、赤羽を頂点に、池袋、田端を結ぶ三角形(狭義には赤羽、十条、東十条の三角形)のことで、いい居酒屋が多い地帯という意味である。
まるます家は赤羽駅東口の一番街という商店街にある。朝9時からやっている貴重な店だ。「東京銘酒肴酒場」(三栄書房 2008.11)では「呑兵衛の聖地」というキャッチフレーズを付けている。わたしは、さすがに休日でもそんなに早い時間には行ったことはない。この店をはじめて訪れたのは10年近く前のことで、たぶん「下町酒場巡礼」(大川渉・平岡海人・宮前栄 四谷ラウンド 98.10)をみて来たように思う。
この日は5時前に入店した。5人待ちでどうなることかと思ったが、一人客の人が気遣ってくれたのか、次々に出て行ってくれた。
早い時間に来る客はどんな人かというと、中年のアベック、外出先から直帰のサラリーマン連れ、いちばん多いのはリタイア後の常連客である。カウンターを隔ててわたくしの向かいに座っていたのは壮年の女性2人連れだった。一人は四角いフレームのメガネ、もう一人は黒ふちのメガネをかけていた。いったいどんな会話を交わしているのか興味があったが、案外、男性同様「お疲れ様でした」の一杯だったのかもしれない。
夏なのでドアは開けっ放しで、外の商店街の風景がよくみえる。向かいは八百屋で、このまるます家は店売りもしているので、主婦や子どもも大勢通りかかる。区立赤羽小学校もほんの40mほど先にある。日常と非日常が交錯している光景だった。まあ、酒飲みにとっての結論は「飲めばこの世は天国」なのだが。
いつ来ても客がよく入っているが、料理の待ち時間は短い。
ホールのスタッフは女性ばかり5人。よく通る声で帳場へ注文を通している。その点は立石の「江戸っ子」とよく似ている。女性たちは、いわゆる「接客」はしない。注文を聞くだけに徹している。あまりにも忙しすぎて結果的にそうなっている店はあるが、これは合理的なシステムだと思った。店のセンターに立つべっこうのメガネをかけた女性はみじんも動かず、注文を価格別の色プラスチック札で整理して、勘定を計算し、店内全体を見渡す重要な役を務めている。アメフットの観客席最上段で全体を展望し指令を送るスタッフのような感じだ。
うなぎと鯉が名物の店なので、うざく(酢の物)、お新香、げそ天を注文した。メニューは山のように短冊で壁に貼り出されているが、一例を挙げると次のとおり。
鯉のあらい400、鯉こく(みそ汁)300、鯉のうま煮700、鯉生刺600、うざく(酢の物)450、かぶと焼(1人前2本)300、どじょうとじ(丸煮)650、カニみそ350 ままかり450 げそ天350、じゃこ天350、おひたし300、お新香300、さばみそ煮500、明太子400、ちげ鍋600
この店も秋葉原の赤津加と同じように表札が壁に掲げられている。一番組から十番組まで、そして川岸、村野、手塚、内山などである。消防団の班かと思ったが、スタッフの方々はみなさん忙しそうなので聞く暇(いとま)はなかった。
隣は赤羽トロ函、近辺を一回りした。1本線路寄りの路地はOK横丁のいう名で、飲み屋がずらりと並んでいる。こういう激戦地は店にとって商売敵が多くやりにくいのか、それとも遠方から客が集まり、客が客を呼び繁盛するのか、いったいどっちなのだろう。
住所: 115-0045 東京都北区赤羽1-17-7
電話: 03-3901-1405
営業: 09:00-21:30、月休
生ビール(大)650、(小)350 びんビール(サッポロ 大)500
焼酎(甲)250、芋300、日本酒(金升)300、レモンハイ、ライムハイ350
まるます家は赤羽駅東口の一番街という商店街にある。朝9時からやっている貴重な店だ。「東京銘酒肴酒場」(三栄書房 2008.11)では「呑兵衛の聖地」というキャッチフレーズを付けている。わたしは、さすがに休日でもそんなに早い時間には行ったことはない。この店をはじめて訪れたのは10年近く前のことで、たぶん「下町酒場巡礼」(大川渉・平岡海人・宮前栄 四谷ラウンド 98.10)をみて来たように思う。
この日は5時前に入店した。5人待ちでどうなることかと思ったが、一人客の人が気遣ってくれたのか、次々に出て行ってくれた。
早い時間に来る客はどんな人かというと、中年のアベック、外出先から直帰のサラリーマン連れ、いちばん多いのはリタイア後の常連客である。カウンターを隔ててわたくしの向かいに座っていたのは壮年の女性2人連れだった。一人は四角いフレームのメガネ、もう一人は黒ふちのメガネをかけていた。いったいどんな会話を交わしているのか興味があったが、案外、男性同様「お疲れ様でした」の一杯だったのかもしれない。
夏なのでドアは開けっ放しで、外の商店街の風景がよくみえる。向かいは八百屋で、このまるます家は店売りもしているので、主婦や子どもも大勢通りかかる。区立赤羽小学校もほんの40mほど先にある。日常と非日常が交錯している光景だった。まあ、酒飲みにとっての結論は「飲めばこの世は天国」なのだが。
いつ来ても客がよく入っているが、料理の待ち時間は短い。
ホールのスタッフは女性ばかり5人。よく通る声で帳場へ注文を通している。その点は立石の「江戸っ子」とよく似ている。女性たちは、いわゆる「接客」はしない。注文を聞くだけに徹している。あまりにも忙しすぎて結果的にそうなっている店はあるが、これは合理的なシステムだと思った。店のセンターに立つべっこうのメガネをかけた女性はみじんも動かず、注文を価格別の色プラスチック札で整理して、勘定を計算し、店内全体を見渡す重要な役を務めている。アメフットの観客席最上段で全体を展望し指令を送るスタッフのような感じだ。
うなぎと鯉が名物の店なので、うざく(酢の物)、お新香、げそ天を注文した。メニューは山のように短冊で壁に貼り出されているが、一例を挙げると次のとおり。
鯉のあらい400、鯉こく(みそ汁)300、鯉のうま煮700、鯉生刺600、うざく(酢の物)450、かぶと焼(1人前2本)300、どじょうとじ(丸煮)650、カニみそ350 ままかり450 げそ天350、じゃこ天350、おひたし300、お新香300、さばみそ煮500、明太子400、ちげ鍋600
この店も秋葉原の赤津加と同じように表札が壁に掲げられている。一番組から十番組まで、そして川岸、村野、手塚、内山などである。消防団の班かと思ったが、スタッフの方々はみなさん忙しそうなので聞く暇(いとま)はなかった。
隣は赤羽トロ函、近辺を一回りした。1本線路寄りの路地はOK横丁のいう名で、飲み屋がずらりと並んでいる。こういう激戦地は店にとって商売敵が多くやりにくいのか、それとも遠方から客が集まり、客が客を呼び繁盛するのか、いったいどっちなのだろう。
住所: 115-0045 東京都北区赤羽1-17-7
電話: 03-3901-1405
営業: 09:00-21:30、月休
生ビール(大)650、(小)350 びんビール(サッポロ 大)500
焼酎(甲)250、芋300、日本酒(金升)300、レモンハイ、ライムハイ350