多面体F

集会報告、読書記録、観劇記録などの「ときどき日記」

つまみも酒もセルフが原則 立飲み居酒屋ニューカヤバ

2024年04月19日 | 居酒屋・銭湯紹介

地下鉄東西線茅場町の駅(1番口)から東へ60mほど霊岸橋を右折すると、入口にエンジ色のスバル・フォレスターXEがあり「銘酒コーナー 焼き鳥」の大きな赤提灯の居酒屋・ニューカヤバがある。外見は地味だが、店内に入るとかなり広いホールがある。

奥左オーナーが店番をされている
わたしは早い時間に行くので、スタッフは女性1人でやっている。少し混んでくる18時から19時にもう1人女性または男性が出勤するので、てっきりこの男性がオーナーかと思った。じつは女性が3代目だとのこと。
この店は、特色ありすぎの立ち飲み居酒屋だ。

ほかのサイトにもよく出てくるが、まず焼き鳥のセルフ炭火焼きコーナーがあり、だれでも驚く。
店の奥左側に大きな長方形の焼き台があり、客が自分の好みで塩やたれの焼き鳥を、自分の好きな焼き具合で焼いてつまみをつくる。炭火の火力がそれほど強くないからか、素人が焦がしにくくするためなのか、あるいは炭火からやや距離があるからか、表裏焼くには結構時間がかかる。でも肉が新鮮なのでおいしい。
わたしは早い時間の、まだあまり人がいないときに一度焼いただけだが、たいてい10人くらいの客が焼き台を囲み談笑しながら飲食している。
ただ焼き鳥とつくねの2種類しかない。

次に、飲み物も原則セルフなのだ。焼酎(宮崎本店和ら麦琥珀の夢 白波喜界島)、酒(宮の雪花の舞辛口)、ウィスキーはトリスで、100円玉2枚の自販機がある。職場などのお茶やコーヒーの無料給湯器と似ているがコインを入れる点のみ異なる。わたしは、こういう装置をはじめて見た。日本酒は常温と燗とを選べる。1年半ほど前、わたしが初めて来たときは100円、文字通りワンコイン居酒屋だった。
200円で量は50ccくらい、日本酒は少なすぎるのでもう100円追加で入れることが多い。ただ人によっては、このあと会社に戻ったり、仕事でどこか訪問する人もいるので、少な目ベターの人もいるので、このほうが都合がよいのかもしれない。お湯はポットに入っており、受付に100円払うと60分間使えるので、お湯割りの濃度は自分の好みで調整できる
その他、びんビール(サッポロ赤600円 エビス400円)、ホッピー(白、黒各250円)、炭酸(100円)、ハイピーレモン・レモン炭酸(各200円)などは冷蔵ケースに入っていて、自分で取り出し受付で精算する。
セルフが原則だからと思われるが、壁にハーフ&ハーフのビールとぽん酢サワーの作り方のレシピが貼ってあった。ぽん酢サワーは、グラスに氷を入れ、焼酎45mlと炭酸水を注ぎ、ぽん酢30mlを注ぐと完成、とある。焼酎や炭酸水はもちろんそのつど買切りだが、ぽん酢だけはボトルキープできる。これが面白いところだ。

つまみは、立ち飲みの店は乾きものか缶詰が多いがこの店は異なる。シメサバ、まぐろぶつ、いわし甘露煮など魚はそこそこおいしい。合鴨も他の店では食べるどころか、メニューで目にすることもない。ためしに注文すると、結構量もあり満足した。この店で調理するのでなく、どこかから仕入れているのかもしれない。おひたし、しらすおろし、きんぴらなど野菜類は新鮮で普通においしい。その他、ちくわ、ゆで玉子、冷や奴、サラダ、マカロニサラダなどもある。なおつまみはカウンターの上に並んでおり、普通にキャッシュオンデリバリーで自分の席に持っていくシステムだ。もちろんピーナツ、ポリッピー、柿の種、でん六豆などの乾き物も置いている。
立飲みというと、ふつうはカウンター席だが、この店は3-4人で囲める5つの丸テーブルがメインだ。ということは自然に3人くらいのグループ客が多くなる。場所が茅場町なので8割くらいはサラリーマン&キャリアウーマンだ。テーブルには、醤油、七味、サッポロビールのグラスにタテに差された割り箸の束、驚くことにテーブルの真ん中には昔懐かしい金属製の灰皿がある(埋込式)。つまり今どき珍しいタバコ吸い放題の店ということだ。たしかにうまそうにタバコをふかしている客をときどきみかける。店の奥の壁際と入口右手にいちおう6-7人立てるカウンターがある。しかし、とくに冬のあいだは荷物置き場になっていることが多い。

この店のいろんな特色を書いてきたが、なかでも一番の特色は、丸テーブルを囲む客たちのくつろぎぶりだ。場所柄サラリーマンが8割くらい。わたしは一人客なのでどこかに混ぜてもらうことになるが、どのテーブルも原則ウェルカムのようだった。聞くともなく話を聞いていると、あるテーブルでは人事の話や上層部の人脈の話、あるテーブルは東京支社の社員たちで先輩社員が後輩社員にときどき上京する社長の講話の話、まあよくあるアフターのサラリーマンの飲み屋会話だ。
その隣は、交通系の工事業者らしく、〇〇駅のときはこうだったああだったと思い出話に花が咲いていた。だいたい立飲み店は、個人客がカウンターで飲むのが普通だが、サラリーマンの多さから、かつての渋谷の富士屋本店を思い出した。

店内の装飾をみると、いろいろ珍しいものがある。日本盛やヱビスビールの美人画ポスター、大阪麦酒(現アサヒビール)のポスター、宮崎本店とミツカンのぽん酢サワーのポスター、さつま白波の神棚、サッポロビールの「赤星と共に50年」昭和39.10.28創業の記念豆しぼり(手ぬぐい)、江戸火消の組の80種類のマーク、海上自衛隊の観艦式の写真、時節柄「GO TO NOTO」のイラスト入りタオルも貼ってあった。
店主に「ここで商売を始めたて何年くらい?」と聞くと、即「今年の10月で60年」と答えが返ってきた。ちょうど還暦というわけだ。コロナ禍も乗り越え大したものだ。焼き台も創業当時からのものとのこと。きっとひとつひとつの道具に、常連客などとの深いエピソードが付属しているのだろうと想像される。

ニューカヤバ
住所 東京都中央区日本橋茅場町2-17-11
営業時間 17:00~21:30
     (開業は17時で間違いないが、終了時刻は確認していただいたほうがよい)
定休日 土曜日、日曜日、祝日

●アンダーラインの語句にはリンクを貼ってあります。

 


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« いまは幻、たばこ屋の変遷――... | トップ | 駒込武の「帝国の狭間の台湾... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

居酒屋・銭湯紹介」カテゴリの最新記事