8月16日(火)午後、小池百合子・都知事が築地市場を視察した。7月の選挙中から、オリンピック・パラリンピックと並び「いったん立ち止まるべき」と態度表明し、2日に初登庁した知事は、12日に移転推進・移転慎重のそれぞれの市場関係者と面談しこの日「都民の食の安心、市場で働く人の環境がどうなのか」判断するため視察した。知事になってまだ2週間なので対応は早い。
しかし8月16日はお盆休みで市場は休みだった。閑散とした市場をみて、いったい何を判断するのだろう。周りについていたのは都庁の関係者ばかりだった。「老朽化し、暗く、狭い築地」を確認させたかったのだろう。リオ・オリンピック閉会式への参加という日程もあったにせよ、狙いすまして休市のこの日を選んだのに違いない。
人も車も少なく閑散とした市場
この日「守ろう!築地市場パレード実行委員会」と「築地市場 有志の会」のメンバーが13時過ぎに正門前に集まった。2つのグループは8月10日(水)に「築地市場の移転日程の延期を求める要請書」を知事に提出(要請書の内容はこちらのリンク参照)し、記者会見していた。
この日は『築地市場の移転「延期発表」後、直ちに行って頂きたい政策の要請』というタイトルの要請書を直接知事に手渡すことが目的だった。
この要請の内容は
1 全事業者・関係者(小売店、飲食店、生産者等も含む)への聞き取り調査の実施と、問題への対処
延期にともなう混乱を避けるための聞き取り調査、とりわけ都の予算措置も含めた中小・零細事業者への配慮
2 築地市場・施設の補修
本来、4年に一度仲卸業者は抽選で店舗移動しておりそのつど造作部分を改修してきた。しかし移転の関係で長期間補修・舗装が行われなかったことへの対応
3 第三者による調査・検証委員会の設置
関係者の合意形成、豊洲新市場の施設設計、建設費用・維持費・移転費用などの設定、など、混乱を来した原因に関し公開の場での検証
4 土壌汚染問題についての調査委員会の設置
300か所以上の汚染区画隠ぺい、室内空気のベンゼン汚染検出が発生している。土壌汚染調査・対策が適切であったかの検証など
5 築地市場・取引業務運営協議会の招集
11月3日~6日が休市の日程になっているが、これをどうするかという問題の検討
6 仲卸店舗移動の5月実施と施設使用料・光熱費の減免措置
豊洲新市場の仲卸店舗が狭いため、かなりの数の業者が廃業や営業譲受している。都のイニシアチブでの店舗移動の調整や減免
7 公開の説明会の開催、大規模意向調査の実施
開かれた説明会の開催と事業者・関係者への意向調査の実施
の7項目である(項目の内容説明については筆者が要約して記載)
いずれも重要な論点であり、また移転延期が決まればすぐ手がけるべき現実的な問題ばかりである。
正門前のメンバーたち
知事の視察スケジュールは、13時30分正門前到着、35分駐車場屋上(7階)、車で移動し50分に水産仲卸市場、5分見学して青果部2階駐車場、14時5分豊洲に向けて出発と5分刻みのスケジュールが発表されていた。
正門を通過するときに要請書を手渡そうと、13時過ぎから正門脇で待ちかまえていたが一向に乗用車の姿は見えない。そのうち駐車場屋上で何かやっているのに気づきあわてて向かったが時すでに遅し。車は合計5-6台だったが、少なくとも正門からは入ってこなかった。いったいどこから入ったのか、忍者のようだった。
次に駐車場から水産仲卸市場に向かうときに手渡そうとした。しかしさすがに車は早い。走って追いかけたがとうてい追いつけず、どこから人が入り、車がどこに向かったのか見失った。「グリーンの服を着た人が出てきた」という声でそちらに向かった。
知事一行が水産仲卸市場から青果部へ徒歩で向かうところだった。「青果のなかには入らないで」と制止する声を振り切って入った瞬間に、仲卸のメンバーが要請書を手渡した。(正確にいうとSPが走ってきて取り押さえようとしたので、小池知事の目の前でSPにことづけた)。忍者ユリコとコミュニケーションをとるのは難しい。
うまく撮れなかったが左から2人目のグリーンの服の女性が小池知事。
(手前の男性はSPと思われる)
わたくしは残念ながら写真は撮れなかったが、プロの方で足の早い方が無事に何枚か撮影に成功した。たった5分でいったい魚市場の何をみたのか、それも休市で人気(ひとけ)も活気もない市場である。しかし忍者だから普通の人にみえないものがみえているのかもしれない。
そうはいっても、石原知事以後、知事が築地に来ることは数えるほどで、なかには一度も来なかった知事もいるそうなので、ましではある。
小池知事が築地を出て豊洲に向かったころ、猛烈な夕立が降りだした。メンバーの一人が「水神さまが怒っている」とつぶやいた。築地の氏神は市場の脇にある波除神社だが、市場のなかの氏神は水神社である。この神社は神田明神の水神社の分社で、歌舞伎の市川團十郎が『助六』を務める際には、江戸時代の2代目團十郎が初演して以来、水神社をおまいりする風習があるそうだ。
この日の豪雨は台風7号の影響もあったのだろうが、そもそもこの季節に関東に台風がやってくること自体異例で、ひょっとすると水神の祟りかもしれない。
報道によれば、「リオから帰国する24日以降に結論を出す」とのことだ。
豊洲移転の先行きには暗雲がたれこめているが、事は食生活に直結したことであり、築地(&豊洲)市場を通過する魚介類を食べる可能性のある人すべて、日本も海外の人も含んで関係者なのだから熟慮し、ちゃんとした調査をしてから結論を出していただきたい。
しかし8月16日はお盆休みで市場は休みだった。閑散とした市場をみて、いったい何を判断するのだろう。周りについていたのは都庁の関係者ばかりだった。「老朽化し、暗く、狭い築地」を確認させたかったのだろう。リオ・オリンピック閉会式への参加という日程もあったにせよ、狙いすまして休市のこの日を選んだのに違いない。
人も車も少なく閑散とした市場
この日「守ろう!築地市場パレード実行委員会」と「築地市場 有志の会」のメンバーが13時過ぎに正門前に集まった。2つのグループは8月10日(水)に「築地市場の移転日程の延期を求める要請書」を知事に提出(要請書の内容はこちらのリンク参照)し、記者会見していた。
この日は『築地市場の移転「延期発表」後、直ちに行って頂きたい政策の要請』というタイトルの要請書を直接知事に手渡すことが目的だった。
この要請の内容は
1 全事業者・関係者(小売店、飲食店、生産者等も含む)への聞き取り調査の実施と、問題への対処
延期にともなう混乱を避けるための聞き取り調査、とりわけ都の予算措置も含めた中小・零細事業者への配慮
2 築地市場・施設の補修
本来、4年に一度仲卸業者は抽選で店舗移動しておりそのつど造作部分を改修してきた。しかし移転の関係で長期間補修・舗装が行われなかったことへの対応
3 第三者による調査・検証委員会の設置
関係者の合意形成、豊洲新市場の施設設計、建設費用・維持費・移転費用などの設定、など、混乱を来した原因に関し公開の場での検証
4 土壌汚染問題についての調査委員会の設置
300か所以上の汚染区画隠ぺい、室内空気のベンゼン汚染検出が発生している。土壌汚染調査・対策が適切であったかの検証など
5 築地市場・取引業務運営協議会の招集
11月3日~6日が休市の日程になっているが、これをどうするかという問題の検討
6 仲卸店舗移動の5月実施と施設使用料・光熱費の減免措置
豊洲新市場の仲卸店舗が狭いため、かなりの数の業者が廃業や営業譲受している。都のイニシアチブでの店舗移動の調整や減免
7 公開の説明会の開催、大規模意向調査の実施
開かれた説明会の開催と事業者・関係者への意向調査の実施
の7項目である(項目の内容説明については筆者が要約して記載)
いずれも重要な論点であり、また移転延期が決まればすぐ手がけるべき現実的な問題ばかりである。
正門前のメンバーたち
知事の視察スケジュールは、13時30分正門前到着、35分駐車場屋上(7階)、車で移動し50分に水産仲卸市場、5分見学して青果部2階駐車場、14時5分豊洲に向けて出発と5分刻みのスケジュールが発表されていた。
正門を通過するときに要請書を手渡そうと、13時過ぎから正門脇で待ちかまえていたが一向に乗用車の姿は見えない。そのうち駐車場屋上で何かやっているのに気づきあわてて向かったが時すでに遅し。車は合計5-6台だったが、少なくとも正門からは入ってこなかった。いったいどこから入ったのか、忍者のようだった。
次に駐車場から水産仲卸市場に向かうときに手渡そうとした。しかしさすがに車は早い。走って追いかけたがとうてい追いつけず、どこから人が入り、車がどこに向かったのか見失った。「グリーンの服を着た人が出てきた」という声でそちらに向かった。
知事一行が水産仲卸市場から青果部へ徒歩で向かうところだった。「青果のなかには入らないで」と制止する声を振り切って入った瞬間に、仲卸のメンバーが要請書を手渡した。(正確にいうとSPが走ってきて取り押さえようとしたので、小池知事の目の前でSPにことづけた)。忍者ユリコとコミュニケーションをとるのは難しい。
うまく撮れなかったが左から2人目のグリーンの服の女性が小池知事。
(手前の男性はSPと思われる)
わたくしは残念ながら写真は撮れなかったが、プロの方で足の早い方が無事に何枚か撮影に成功した。たった5分でいったい魚市場の何をみたのか、それも休市で人気(ひとけ)も活気もない市場である。しかし忍者だから普通の人にみえないものがみえているのかもしれない。
そうはいっても、石原知事以後、知事が築地に来ることは数えるほどで、なかには一度も来なかった知事もいるそうなので、ましではある。
小池知事が築地を出て豊洲に向かったころ、猛烈な夕立が降りだした。メンバーの一人が「水神さまが怒っている」とつぶやいた。築地の氏神は市場の脇にある波除神社だが、市場のなかの氏神は水神社である。この神社は神田明神の水神社の分社で、歌舞伎の市川團十郎が『助六』を務める際には、江戸時代の2代目團十郎が初演して以来、水神社をおまいりする風習があるそうだ。
この日の豪雨は台風7号の影響もあったのだろうが、そもそもこの季節に関東に台風がやってくること自体異例で、ひょっとすると水神の祟りかもしれない。
報道によれば、「リオから帰国する24日以降に結論を出す」とのことだ。
豊洲移転の先行きには暗雲がたれこめているが、事は食生活に直結したことであり、築地(&豊洲)市場を通過する魚介類を食べる可能性のある人すべて、日本も海外の人も含んで関係者なのだから熟慮し、ちゃんとした調査をしてから結論を出していただきたい。