多面体F

集会報告、読書記録、観劇記録などの「ときどき日記」

高田馬場の不死鳥「うどの大木」

2009年11月17日 | 居酒屋・銭湯紹介
高田馬場の早稲田口を出て、山手線沿いに路地を入り30mほど行くと大きなちょうちんにのれんがかかった純和風の居酒屋がある。純系名古屋コーチンの焼鳥屋「うどの大木」である。

名古屋コーチン、フランス産シャラン鴨、完熟トマトなど素材にこだわりがあり、焼き鳥の値段が、レバー300円、ねぎま350円、ハツ280円、手羽先400円など少し高めだ。10月には季節ものだが、だだ茶豆や千住ねぎ焼きを置いていた
4回目にして初めて入れたというお客さんがいたので、ずいぶん人気があるようだ。わたしは2回とも早い時間に入ったせいか大丈夫だった。一度目は若い男女が多く、二回目は中年男性のグループが多かった。日本酒愛好派なのでお銚子と注文すると、竹筒で常温のお酒が出てきてびっくりした。
最後にトリのスープと蜂蜜をかけたフルーツが出る。こういうサービスが女性客を呼び込んでいるのかもしれない。

わたくしは30年ほど前にこの店に来ていた。正確にいうと前身の店だが、かつては高田馬場駅西側のさかえ通りの神田川に近いところにあった(いまガルーダという店がある場所)。10年くらい前、高田馬場を歩いていて店を探すと、やはりというべきか違う店になっていて、ちょっと寂しい思いをしたことがあった。
聞いてみると店主が大沢哲郎さんに代わり、一時、茗荷谷に移転していたそうだ。そして2005年はじめに高田馬場のこの場所に戻ったとのこと。わたくしはHPで偶然見つけた。
この店は、1979年9月1日それまでの店名「和幸」を「うどの大木」に改称してスタートした。おじさん(菊地慶次さん)とおばさん(容子さん)、そして甥の哲ちゃんが手伝っていた店だった。当時もメニューにトリ料理はあったが洋風の料理だったように思う。

会社の同期とこの店に乱入するのは、餃子荘ムロで玉ぎょうざ(にんにくが丸ごと1つ入ったぎょうざ)などを食べてからだったので23時ごろだったはずだ。酔っ払って暴言を吐いていたようで、「この人は3杯までだよ」とよく言われた覚えがある。6人がけくらいの木のテーブルは以前のまま、20代のわたしたちが激論(?)をかわしたままだった。いまでは考えらないが、帰りは早稲田通りから乗り合いタクシーで帰宅するのが常だった。血気盛んな20代の日々だった。
わたしは81年12月に転勤したのでわずか2年だけ、それも数ヵ月に1度の客だったが、この店といつも威勢がよくおしゃれなおじさんの人柄が、強く印象に残っている。店内に「美味しさは尋ね来て見よ馬場にある早稲田の杜のうどの大木(詠み人知らず) 」というのれんがかかっていた。なんとなく記憶があり、聞いてみると昔はマッチに使っていたそうだ。
おじさんは今年76歳、おばさんが75歳だそうだ。だから昔お世話になっていたころは40代後半だったことになる。おじさんたちは88年に沼津に引っ越し、今はつり三昧の生活だそうだ。

「うど半醒記」(講談社出版サービス 2003年2月)という自費出版の本が備え付けられていた。
この店が早稲田の落語研究会ニューオルリンズジャズクラブヤングテニス同好会広告研究会のたまり場であったことは聞いたことがあった。そこでこの本の章編成は「落研の楽しい仲間たち」「ニューオルリンズクラブのやつら」「広告研究会の懲りない面々」などとなっており、「三億円事件の犯人に間違えられたGさん」「今でもAさんの顔が目に浮かぶなあ。本当に残念!」「後輩にギャンブルの世界に引き込んだTさん」「ブルーシャトーばかり歌っていたMさん」などすべて実名入り(本物はイニシャルではない)の小見出しが並んでいる。語りもおじさんの口調そのままだった。学者や芸能人など有名人を載せた居酒屋の自費出版本をみたことはあるが、普通の人を実名入りで大勢掲載した本ははじめてみた。なるほど、これなら100人単位でいる各部のOBたちも買いたくなるだろう。お店の自費出版には、こういうふうに常連客を表に出す方法があるのだと感心した。
この本で、おしとやかだったおばさんは三味線の先生でもあったことを知った。

住所: 東京都新宿区高田馬場2-19-8 阿部大竹ビル1F
電話: 03-3207-3121
営業: 18:00-23:00(ラストオーダー22:30)、日祝休
   キリン小びん 480円、アサヒ黒生小びん 450円
   日本酒・〆張鶴(月)600円、芋焼酎いも神550円
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