風の数え方

私の身の回りのちょっとした出来事

待合室

2007年03月26日 | 清水ともゑ帳
からだの具合が悪かったので、午後からかかりつけの医者に行った。
それほど混んでないと思っていたけれど、時間的に幼稚園や保育所が終わるころで、待合室が親子連れで混んできた。

いつもなら雑誌などを読んで待ち時間を過ごす。
でも、今日は座っているのがやっとなくらい、できるなら横になりたいほどで、雑誌を手に取るどころではなかった。
早く順番が来ないかなぁとそればかりを念じていた。

しばらくして、私のすぐ向かいのソファに親子連れが来た。
子どもの手を引いていたおかあさんは、私の隣にいる人と知り合いらしく、子どもだけを向かい側のソファに残し、彼女は私と同じ側のソファに腰掛けて知人と話し始めた。

退屈した子どもは、ソファの上に立ち、トランポリンで遊ぶみたいに、ピョンピョン飛び跳ね始めた。
私は、オイオイと思ったけど、そのうち母親が何か言うだろうと黙っていた。
でも、彼女はおしゃべりに夢中。
子どもは飽きずに飛び跳ねている。

そのうち、若い男女が窓口に来て、受付をした。
彼らは二人並んで座れる場所がなかったためか、窓口のすぐ横の壁にもたれて立っていた。
彼が彼女の額に手を当て、熱を計るような仕草をしたかと思ったら、キスをした。
それが合図だったかのように、無言のまま二人は互いの腰に腕をからめ始めた。
見つめあったりキスしたり……。
私は、ぼ~っと意識が遠のきそうな頭だったので、見てちゃいけないんだ、と思考回路がつながるまで時間がかかってしまい、慌てて目をそらした。

ソファで飛び跳ねる子ども、無言だけど熱いカップル。
双方の動作を区別すると、子どもは「動」で、男女は「静」。
医者の待合室では、「静かな」方がいいんだろうけど、なんだかモヤモヤが残る。
なんだろう…って思ったけど、その場では考える気力がなかった。

「清水さま~、清水ともゑさま~」
看護師さんに呼ばれた。
患者が「様」付けで呼ばれることに、いつまでたっても慣れない。
そんなことにもモヤモヤしながら、ふらふらと診察室へ向かった。