北極振動とは、北極付近と中緯度の地上気圧が互いにシーソーのように変動する現象です。
北極付近の地上気圧が平年よりも高い時には中緯度の地上気圧が平年よりも低くなり、その一方で北極付近の地上気圧が平年よりも低い時には中緯度の地上気圧は平年よりも高くなります。このような振動は、特に極夜ジェット気流の強弱と関係があることが知られています。
前者の「北極付近の地上気圧が平年よりも低く、中緯度の地上気圧は平年よりも高くなる」場合を「AOプラス」と言います。AOプラスの状態では、極夜ジェット気流が強く、その流れはゾーナル・タイプ(東西流型)になりやすいため、北極付近に寒気が蓄積されていきます。
一方、上記とは反対の「北極付近の地上気圧が平年よりも高く、中緯度の地上気圧は平年よりも低くなる場合」を「AOマイナス」と言います。AOマイナスの状態では、極夜ジェット気流が弱くなり、その流れはメリディオナル・タイプ(南北流型)となるため、北極付近に蓄積された寒気が、中緯度地方に向かって放出されます。
つまり、「AOマイナス」の時には、北からの寒気の南下が顕著になりやすく、状況次第では日本海側で豪雪に見舞われやすい、言う事なのです。
北極付近と中緯度との間では、このような「AOプラス」と「AOマイナス」の状態を交互に行きつ戻りつしているのです。
気候変動については色々な見解がありますが、その中には地球温暖化に伴う海面水温の上昇が上空の偏西風の蛇行を促進するという見方もあるようです。もしそうだとすると、偏西風の蛇行がより一層大きくなると(メアンダー増大)、北極振動の影響がより顕著に現れやすくなると考える事もできます。
北極振動は20年程前に提唱された、新しい理論です。
一般的に「エル・ニーニョが発生すると暖冬の傾向」と言われますが、そのようなシーズンでも寒波が襲来することがあります。
そのような時に、影で糸を引いている(一つの要因となっている)のが、北極振動(AOマイナス)です。
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