◎ただたふれゆく民をおもひて
(2011-04-25)
環境省によると、東北地方などで風力発電をさらに導入した場合に見込まれる発電量を環境省が試算したところ、最大に見積もって現在の国内での原子力による発電量を上回ることがわかったと報道されている。
これでは電力供給のために安全を犠牲にして原子力発電をやっていることについての大義名分は薄いことになる。原子力発電を継続させてきた動機は、核兵器開発・保有が日本の為政者の念頭からどうしても離れなかったためだと見える。
日本が世界で最初に原爆を発明したと見ているのは、出口王仁三郎である。彼は大概のことは霊眼で見ているので、マスコミで報道された事実と霊眼に映じた事実が異なることはよくあったようだ。
作家の五島勉が「日本・原爆開発の真実(祥伝社)」でそのあたりに肉薄したが、日本が原爆を完成させたかどうかの確証は得られなかったようである。
同書によると、岩田幸雄氏が広島の平和運動家の河内正臣氏に打ち明けた内容は、次のようなもの。
1944年夏、昭和天皇と東条英機首相と杉山元帥との三者会談が行われた。その内容は、日本のウラン型原爆の完成が見えてきたので、完成したらハワイに投下したいということを天皇に図った。
『昭和天皇のその発言(なぜ原爆攻撃に反対するかの理由)はこうだった。
「数カ国がその新兵器開発を競っているとのことだが、日本が最初に完成し使用すれば、他国も全力を傾注し完成させ使ってくるようになるであろうから、全人類を滅亡させることになる。
それでは、人類絶滅の悪の宗家に日本がなるではないか。
またハワイに投下する計画とのことだが、ハワイには日本の同胞が多数移住し、現地民とともに苦労し今日を築きあげたところである。そのような場所に新兵器を使用することは賛成しかねる」』
(日本・原爆開発の真実/五島勉/祥伝社P208から引用)
同書では、これで一旦原爆開発は打ち切りになったはずが、原爆を搭載するロケットの燃料実験の失敗が天皇陛下の上聞に達し、その後も天皇陛下に隠れて開発を進めていることを叱責されたことまで出ている。
広島の原爆はウラン型原爆、長崎の原爆はプルトニウム型原爆だが、原爆開発の中心人物だった仁科義雄博士の往復書簡集(みすず書房)を見ると、彼はウラン型原爆の製造を目指し、ウラン10キロでいけると見ていた。
原爆の人間に対する被害は、熱線、爆風と放射能。熱線、爆風は今回の福島原発事故ではとりあえずないとされる。放射性物質の中では、ヨウ素131は、半減期8日だから被曝初期にヨウ素剤を服用しておけば大過ない。セシウム137は半減期30年だが、体外に排出されやすい。 ストロンチウム90は、体内に蓄積し半減期30年であるから、原発事故で最も問題となるのはストロンチウム90である。
イタリアの原子物理学者フェルミなどは、ストロンチウム90の利用が軍事的に最も効果を挙げられるみたいな露骨な発言をしており、原子物理学の発展は、大量殺りくを主眼に置いてきた側面を無視できないものだと、改めて考えさせられた。
無辜の民の殺戮はそれを実行した人物、国家のカルマを大きく捻じ曲げる。それは史記などにも先例があり、イエスという無辜の聖者を殺害するのも同じような結果を生んでいる。
昭和天皇御製
身はいかになるともいくさとどめけり ただたふれゆく民をおもひて
(昭和20年)
ストロンチウム90についての報道が非常に少ないが、これは為政者が「ただたふれゆく民を思わない」姿勢の表れだと思う。その為政者を選んだ国民の責任も免れないのは、いうまでもない。
国民全体が悟りに向かう方向性を持たなければ、たとえ原子力発電が風力発電に変わったところで、個々人の中に悪の温床が温存されていることは変わらない。日々安全に暮らせることは重要だが、人の人生はそれがメインではない。人はパンのみにて生くるものにあらず。