唐史話三眛

唐初功臣傳を掲載中、約80人の予定。全掲載後PDFで一覧を作る。
その後隋末・唐初群雄傳に移行するつもりです。

田夫

2006-10-09 09:16:33 | Weblog
「なぜこんな男が同僚なんだ」

宰相李昭は宮門を入り、御殿に向かう道すがら

いらついていた、振り返ると

はるか後を太って鈍重そうな婁師徳が歩いてくる。

もう何度も立ち止まってまったことか

宰相として同等である以上勝手に行ってしまうことはできない

才子で鳴る昭はついにがまんできず吐き出すようにいった。

「愚図の田舎者め!」

さすがのことに周囲の官僚達は青ざめた。

ところが師徳はニコニコとして言った。

「私を田舎者と言わずして、誰が田舎者といえるでしょうかな」

昭もそれ以上言う言葉もなくぷぃと歩き始めた。

まもなく昭は失脚したが、師徳は健在であった。
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