私が住まいする大阪泉州地方は、「桃の節句」が過ぎて漸く春らしくなってきました。
桃の花は3月中旬から下旬にかけて咲き始めますが、我が家の桃の蕾は、昨日現在まだ固く、開花は下旬になりそうです。
「桃の漢字の成り立ち」
ところで、漢字の「桃」は「木+兆」からできています。
漢字の成り立ちを調べてみると、「木」は大地を覆う木の象形、「兆」は亀の甲を焼いて占いをする際に甲羅に現れる割れ目の象形で、「木」と組み合わせて、実が2つに割れる木の実、即ち「もも」を意味する「桃」と言う漢字ができたのだそうです。
桃に関する早口言葉に「すもももももももものうち(李も桃も桃のうち)」があります。
その桃や李(すもも)については次のような諺もあります。
「桃李の装い」
桃は同じバラ科の李(すもも)と相性がよく、しばしばセットで用いられます。
この美しい李と桃の花を譬えた言葉に「桃李(とうり)の装い」があります。
その意味は、桃や李の花のような美しいよそおい。あでやかな容姿を表現する時の言葉です。
「桃李もの言わざれども下自ずから蹊(みち)をなす」
更に、「桃李もの言わざれども下自ずから蹊(みち=細い道)をなす」という諺もあります。
これは中国の歴史書「史記」の「李将軍列伝」にあるもので、その意味は、桃やすももは何も言わないが、花や実を慕って人が多く集まるので、自然に小道(蹊)ができるように、人徳のある人には自然と人が集まることを例えた諺です。
そして、この諺には次のような逸話があります。
「逸話」
前漢時代に李広(?~紀元前119年)という将軍がいました。
彼は清廉な人物であり、大変な部下思いの将軍でした。
泉を発見すれば部下に先に飲ませ、食事も下士官と共にし、全員が食事を始めるまで自分の分には手をつけなかったと伝えられています。
後に司馬遷はこの人柄について触れ、「桃李もの言わざれども 下自ずから蹊を成す」(とうりものいわざれども したおのずからみちをなす)と評したということです。
なお、俳優の松坂桃李の名前は、これが由来と言われています。
そのような美しい桃の花がサクラに先駆けて間もなく開花します。
待ち遠しいですね。