今年も実家の隣町に住む妹が岡山県の寄島牡蠣を送ってくれました。
岡山では牛窓の牡蠣が有名ですが、最近では寄島牡蠣も県内でのシェアを伸ばしてきているようです。
岡山の牡蠣と言ってもご存じない方が多いかと思いますが、国内の収穫量では1位の広島県、2位の宮城県に次いで第3位が岡山県なのです。
(参考)
農林水産省の資料によると、平成30年のカキ類の養殖収穫量は全国で17万6698トンで、その内、上位3県の県別収穫量は次のようになっています。
1位 広島県(10万4014トン)
2位 宮城県(2万6086トン)
3位 岡山県(1万5510トン)
日本では牡蠣と言えば広島県、宮城県が知られているところですが、アメリカで日本の牡蠣と言えば「KUMAMOTO(熊本)」なのだそうです。
何故なのでしょうか?
「クマモト・オイスター」
アメリカは牡蠣の一大消費国で、戦前も日本から輸入していた実績がありました。
しかし、太平洋戦争中に輸入が途絶えたことから、昭和20年(1945年)GHQは、日本国政府に種牡蠣の対米輸出を再開するよう命じました。
ところが牡蠣の産地である広島市は被爆しており、それどころではありませんでした。
宮城産では到底数が足りなく、そこで目を付けたのが、当時、牡蠣の養殖が盛んにおこなわれていた熊本県でした。
熊本の牡蠣は小ぶりですが、クリーミーで濃厚な味はマッカーサーもお気に入りだったと言われています。
当時、指導にあたっていた元熊本県職員の太田氏は、小粒な牡蠣が欧米では好まれることから、シカメガキを中心に輸出を行ったところ大成功しました。
その味に惚れ込んだアメリカ人が自国でその種牡蠣を使い、見事に養殖に成功したのです。
それからというもの、熊本生まれの牡蠣はアメリカで「KUMAMOTO」の名で人気を博したということです。
その後、アメリカでは、これら熊本県からの輸出種ガキに含まれていたと考えられる小型で殻幅が大きいシカメガキが「熊本産カキ・Kumamoto Oyster」としてブランド化され、アメリカで高い評価を得て、今日に至っているという事です。
・クマモト・オイスターです。
「オリジナルの熊本オイスター」
「Kumamoto Oyster」の名前がブランドとして確立されている一方、発祥の地・熊本県では、シカメガキが生産されていませんでした。
そこで、平成15年(2005年)絶滅したと考えられていたシカメガキを県水産研究センターが県内をくまなく調査し、DNA分析によって八代市鏡町で再発見しました。
そして、正真正銘の「クマモト・オイスター」の養殖に向けて研究を重ね、平成23年(2011年)に半世紀ぶりの出荷にこぎつけることができたという事です。