お盆で、ご子息やご令嬢、お孫さんたちが帰省されて、久しぶりの再会を喜び合われたことでしょう。
中にはお客様も来られたご家庭もあるかと思います。
皆さまはお客様が来られたらどちらの部屋にご案内されますか?
床の間があって、座卓が置かれている部屋でしょうか?
それとも応接セットが置かれている洋室でしょうか?
最近では後者の応接セットのある洋室にお客様をお通しするご家庭が多いのではないでしょうか?
そのためかどうかわかりませんが、最近の建売住宅や新築住宅には床の間が作られていない家が目立ちます。
我が家の隣地に数年前に建築された戸建て住宅は若い夫婦が建てたものですが、完成時の内覧会で見学したところ、床の間は作られていませんでした。
そこで今日は床の間にはどの様な意味合いがあるのか調べてみました。
「床の間の本来の意味や目的」
昔ながらの家や田舎にある大きな一軒家など、いわゆる日本家屋にはほぼ床の間があります。
床の間とは、床を一段高くし、正面の壁に書画などの掛け軸をかけ、床板の上に置物、花瓶などを飾るところです。
「床(とこ)」とは、座る場所や寝る場所のことを指し、殿様など身分の高い人が座る場所を一段高いところにしていたのが始まりと言われています。
床の間はお客様をおもてなしする最上の部屋に作られ、床の間を背にする人が最も身分の高い人と言われています。
江戸時代には、領主など自分よりも身分の高いお客様を迎え入れるために、庶民の家にも床の間が作られるようになってきました。
また、床の間に装飾を施すことにより、自分の権威を演出していたそうですが、時代の流れとともに目的は変わり、現在では掛け軸や生け花などを飾って、お客様をもてなす部屋という位置づけになってきています。
「床の間の役割」
床の間には「客人をもてなす」という大切な役割があります。
床の間に季節の花や掛け軸、書画を飾ることは、お客様をおもてなしする心のあらわれであり、現在では、そのことが最大の目的となっているようです。
また、床の間のある方が上座となり、来客者には床の間に近い方へ座って頂くのがマナーとなります。
「床の間の成り立ち」
室町時代、社会が公家から武家へと移り変わると、建築様式も寝殿造りから書院造りへと変化していきました。
書院造りが確立する過程で、身分の上下を表す「上段の間」と「下段の間」ができました。
上段の間には君主が着座し、家臣と対面します。
家臣は1段低くなっている下段の間に着座し、家臣の中でも身分の高い者ほど上段の間に近い所へ着座する事ができました。
この上段の間が「床の間」へと変化を遂げるのですが、床の間に近い方を上座とするのは、この時の習わしから来ています。
やがて家臣が忠誠心を表すため、君主が着座する上段の間を自身の自宅にも取り入れるようになりました。
床の間はお客様をおもてなしする部屋であり、日本家屋において特徴のある作りとなっています。
大事なお客様は床の間のお部屋でおもてなししたいですね。