今月22日に千秋楽を迎えた大相撲初場所は、大関貴景勝が12勝3敗で3度目の優勝を飾り、なんとか番付の面目を保ちました。
しかし、その前の九州場所、秋場所、名古屋場所では、史上初めてとなる3場所連続で平幕力士が優勝し、加えて、この間、2大関が陥落するという三役陣の不甲斐なさが目立つ場所が続いて、番付の重みが全く感じられませんでした。
こうした中、場所後の25日に行われた番付編成会議では、宮城野部屋の落合が幕下を1場所で通過して十両に昇進するというスピード出世を果たし、相撲界に令和の怪物が現れました。
19歳の落合は初場所では幕下15枚目付け出しで初土俵を踏み、7戦全勝で優勝して関取の地位を射止めたのですが、1場所での十両昇進は昭和以降では初めてのことです。
あの名横綱の輪島でさえも、付け出しが幕下最下位だったことから十両通過に2場所を要しているのです。
来場所以降の落合の土俵を大いに期待したいと思います。
・初場所の番付表です
「番付の由来」
ところで、大相撲の番付には横綱を始め、大関、関脇、小結、前頭などの序列がありますが、皆さんはこの由来をご存知でしょうか?
調べてみたのでご紹介します。
・「横綱」
横綱は白麻で編んだ太いしめ縄のことで、その横綱を「吉田司家(よしだつかさけ)=相撲行事の家元」から締めることを許された大関力士を言いました。
つまり、横綱は綱そのもの、または大関の中で品格・力量・技の最も優れた者をさしたもので、元々は力士の階級ではなかったようです。
・「大関」
大関は「横綱」の地位ができる明治時代までは力士の最高位でした。
古くは、最上位の力士は「最手(ほて)」と称していましたが、室町時代頃から「関(せき)」と呼ばれるようになりました。
この「関」は「関門」のことで、「関」の最上位の意味で「大」を冠した語が「大関」で、近世に出現した語という事です。
・「関脇」
関脇は、大相撲において大関の下の階級で、「大関」の「脇」をつとめる者、という意味が語源とされています。
・「小結」
「小結」は、「小口の結び」からきており、「小口」とは、「始まり」の意味です。
横綱の制度ができる前、「小結」「関脇」「大関」にあたる上位3人の取組を「結びの三番」と言いました。
このうち、最初に取組をする力士を「小口にあたる力士」ということから、「小結」と呼ぶようになりました。
・「前頭」
「前頭」の「前」は、新弟子たちの取組「前相撲」のことです。
「前相撲」で勝ち進み、「前」の「頭」を経験すれば、番付に載ることができるようになるので、番付の力士全てを「前頭」と呼ぶようになりました。
・「幕内とは」
現在、番付の一段目の力士は、「幕内」と言います。
これは、江戸時代、将軍が相撲をご覧になる際、強い力士だけが、張りめぐらした「幕の内側」に控えることができたので、「幕内」と言う言葉ができたということです。
その中で、「前頭」は、役についていない幕内の力士ということで、「平幕」とも呼ばれました。
・「十両」
正式な呼称は十枚目で、もともとは、明治初期に幕下の上位10枚目までに10両の給金を渡して特別待遇を与えたことが、この地位の由来だといわれています。
・「幕下」
正式には幕下二段目を言います。「幕内」の下、番付の二段目以下の力士を「幕下」と言うようになったようです。
・「三段目」
「三段目」は、番付で上からも下からも数えると「三段目」にあることからです。
・「序二段」
「序二段」は、上から数えると四段目ですが、「死」に通じるので、下から数えて二段目をいいます。
・「序の口」
「序二段」「序の口」の「序」は、「物事の始め」という意味で、番付がここからスタートすることから名づけられたとされています。
強くなって好成績を残せば番付が上がっていきます。
その最高位として横綱や大関などの地位があるのです。
その地位には、それだけの力量のある力士が就いているのです。
番付の重みに責任を持ち、平幕に優勝をさらわれないよう頑張ってもらいたいものです。