2022年7月のブログです
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平野啓一郎『マチネの終わりに』(2019・文春文庫)を読む。
平野さんの小説を読むのは初めて。
旭川の古本屋さんで、本の帯に映画で主演をした石田ゆり子さんがうつっている本書を見つけて、美人恐怖症のじーじだが、つい購入してしまった。
210円。安い。
しかしながら、これがなかなかすごい小説。
あらすじだけをたどれば、下手をすると何ともない小説になりかねないかもしれないが、平野さんのていねいな文章のちからもあってか、切ないけれども、なかなか重厚な物語になっている。
主人公の男女が少しかっこう良すぎるが、しかし彼らも悩み多き普通の人々であり、内省的であるがゆえに、その悩みや不安に深みを与えている。
読者が一緒に体験をする物語のテーマは重層的で数多くあり、重みのあるどきどき感が最後まで続く。
驚いたのは、過去は変わる、あるいは、変えられる、というテーマ。
精神分析でも重要で、じーじも時々考えさせられるテーマ。
このテーマをめぐっても、物語が進行して、なかなか興味深かった。
もともとは毎日新聞に連載された小説とのことだが、こんなすごい小説を連載する毎日新聞を見直した。
久しぶりに小説の世界にどっぷり浸った一冊だった。
210円でこんな幸せな時間を過ごせたことをうれしく思う。 (2022.7 記 )
石田ゆり子さんに惹かれたのも事実ですが、じーじは美人恐怖症ですから…。
たしかにあの女性は石田ゆり子さんのイメージとは少し違いますね。もう少し硬質な感じかな?
石田ゆり子さんはもっとぼぉーとしていて、『幸福な食卓』のお母さん役がぴったりだったかもしれません。
クリンたちも読みましたが、とってもキュンキュンしますよね💛(でも、あの女性は石田ゆり子さんじゃないと思います⚠イメージ的に・・)