三木奎吾の住宅探訪記 2nd

北海道の住宅メディア人が住まいの過去・現在・未来を探索します。
(旧タイトル:性能とデザイン いい家大研究)

平泉、世界遺産「延期」

2008年06月06日 07時15分40秒 | 歴史探訪

やや旧聞に属しますが、先日の新住協全国大会中に
残念ながら、岩手県の平泉の世界遺産登録が「延期」となったニューズが流れました。

<以下は、朝日新聞からの抜粋>
文化庁は平泉の価値を「浄土思想が核心を担った平泉文化の伝統は、宗教儀礼や伝承、文学作品などを通じて、今も日本人の精神構造に多大な影響を与えている」と主張してきたが、核となる浄土思想が十分に理解されない結果となった。
 「平泉と浄土思想との関連性の重要さ」や「平泉の景観が『人類の歴史上の重要な段階を物語る見本』であること」などについて「十分に証明しきれていない」などと指摘。地下遺構が大半を占め、「浄土思想」が現在、目にみえる形ではわかりにくいことも、不利に働いたとみられる。
 世界遺産委員会は7月2日からカナダ・ケベック市で開かれる予定。審議結果はイコモスの勧告に従う例が多く、近年は新規登録を抑制する傾向にもある。延期が決まると、推薦書の提出と現地調査を再び行うことになり、登録は最短で2010年となる。

という残念な結果ですね。
わたしは浄土思想云々よりも、
日本文化の多様性の方に重点を置いてアピールした方が良かったのではないかと
思われてなりません。
確かに日本中世を支配した「浄土思想」が中心的であることはそうなのだけれど、
平泉の魅力は、日本歴史のなかで、鎌倉幕府に先行する
「二重権力状況」、半独立的な権力とその文化性、ということではと思われます。
日本の歴史が秘めてきた「多様性」を表すことになると思うのです。
あきらかに多賀城の機構とはまったく別に
平泉は独立国家の計画的首府であったと思うのですね。
日本国家に対して、外交的に対処しているという意味では、
鎌倉幕府は、平泉を多いに参考にし、
それだけに、頼朝の平泉に対する恐怖は大きかっただろうと思われます。

そういう平泉を、日本国家が世界遺産申請するのですから、
海外のみなさんからは、ちょっとアピールが明確でない、と見なされたのかも知れません。
大変がっかりしたのですが、さて、石見銀山のように
逆転で申請受理されるかどうか、
まだ、望みを捨てずに見守っていきたいです。

<写真は毛通寺境内の建物>

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