三木奎吾の住宅探訪記 2nd

北海道の住宅メディア人が住まいの過去・現在・未来を探索します。
(旧タイトル:性能とデザイン いい家大研究)

重厚な建具文化

2009年05月07日 05時27分39秒 | Weblog



写真は増毛に保存されている重要文化財・本間家の
商家部分の区切りの建具。
こういう商家の建具って、実に多彩な工夫が凝らされていて
目を見張るほどなんですね。
なによりも手仕事での造作なんですが、
その造形のみごとさに圧倒される。
この建具では、かんぬきが仕込まれていて、
閉めると自動的にロックがされる仕掛けまで施されている。
たぶん、それを開放する鍵の仕掛けもあるのでしょう。
構造材は重量感のある広葉樹種の脂身のある材が使用されています。
一目見ただけで、相当の熟練の工務であり、
工芸品に近い出来映えであります。
いつも思うのですが、こういう実用の建具って、
その手仕事のレベルで言えば、工芸品を上回っていて、
しかも日常使いの実用の用を完全に満たしている。
日本の手仕事、職人のレベルの高さをみごとに証明していると感じます。
ただし、工芸品のように移動可能ではないので
仕事への価値、売買価格というような部分では評価されない。
なんとも不思議なものだなぁと思っています。

一度など、秋田での取材だったですが、
ものすごい重量の立派な建具が家の中で使われていて、
聞いたら、建て主さんがインターネットで購入したのだと聞きました。
ところが、100kgは軽く超しそうな超重量物で
しかも材料は、もう入手困難と思われる本物素材でありながら、
値段を聞いてびっくり。
なんと、輸送費も10000円程度の宅配便扱いで、
本体価格も20000~30000円だったものでした。
宅配便価格は寸法に対してしか値段規格がなくて
ものすごい重量物にもかかわらず、タダ同然だったと聞きました。
いかに日本では、こういう建具の価値について評価がないか、
よく表しているお話しだなぁと思った次第。

しかし、以前に見た余市の漁家の蔵の扉のみごとさなど、
ちょっと筆舌に尽くしがたかった。
こういう建具文化に対する価値観の低さって、
そのうちに必ず見直されると思います。
いいものを永く使って、エコロジカルに、というのが
本物の流れであれば、やがて必ず見直されると思うのです。
ただ、現状では、住宅建築の側では、
施工の簡易性や、合理性にばかり目を奪われていて
こういう手仕事の価値観について正当な評価がない。
こういうみごとな昔の手仕事を収集しておくと、
そのうち、「お宝鑑定団」で超高額な資産になるかも知れません(笑)。
いまから、買い占めに入ろうかなぁ(笑)。




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