あちこちと東北全域を飛び回っておりました。
多くの建築関連のみなさんとお話ししてきました。
で、そのなかで、福島県で応急仮設住宅について、
その地域工務店の木造での応募についてサポート活動を行った
JIAの中心メンバーの方と、電話で話したとき、
まったくの手弁当で、めざましい活動をしてきている様子を伺いました。
深い共感を持つことが出来ました。そのなかで、
「だってね、こんな千年に一度の時に、
建築家という職能に従事していて、なにかを働きかけることが出来るという
そういうことこそ、最大の幸せだと思うんですよね」
という言葉を聞きました。
その通りだろうと思います。
これほどに無惨に人間の営為が大自然から打ちのめされて
それでも、どうすればいいのか、
そう考えなければいけないという歴史的な一瞬一瞬を
いま、わたしたちは生きていると思います。
さまざまな沿岸地域の再生のための試案や、提案が
実に多くの建築関係者から出されてきている動きがあります。
その職業的な、あるいは人間としての素朴な倫理観に触れる部分で、
多くの人が突き動かされている。
この事態がどのような収斂に向かっていくのか、
まだ定かではありませんが、
まるで、明治憲法制定直前の社会的な沸騰にも似た光景が広がっている。
こういうことこそが重要なのだと思います。
住宅建築は、結局、人間の営みを考え、そのイレモノを作り上げていく営為。
こういった大災害から、人間はどう向き合い、
それを乗り越えていこうと考えるのか、
そしてそれが新たな建築の可能性に高まっていくプロセスなのかも知れません。
まさに千年に一度の民族的体験の最中にいるということは
その現場で、なにができるかのか、という切所を生きていることなのだ。
こんな大きな共感の渦の中で、
物事が動いているという実感は、そう持てるものではないでしょう。
いま、なにをするかということが大切ですね。