Replan東北版で、よく取材している建築家に
佐々木文彦さんがいます。
木造らしい美しさを追求したデザインがよく、
東北らしい、という木造美があるとすれば、かれの作る世界ではないかと
そう思っている建築家です。
いわゆる「デザイナーズファッション」のようなデザイン感覚ではなく、
むしろ木の質感を生かしたここちよさをテーマにしているので、
見方が変われば、なかなか感受できない部分もあると思いますが、
しかし、東北には気仙大工という木造の伝統があり、
そういう美しさを、継承していこうという建築家の動きは好ましい。
そんな風に思っています。
今回の東日本大震災で、
生まれ故郷に対する愛着を強く持っていたかれは、被災しました。
石巻市のリアス式海岸地帯、というか、
もう、南三陸に近いのではないかという宮城県石巻市北上町十三浜字小指が
かれの本拠地。
小さな集落の家屋のうち、7割以上が全損したということです。
かれの事務所兼用住宅も1階のコンクリート部分のみを残して
2階3階の木造部分は、その原型のまま船のように海に流されていったそうです。
そんなかれが、「きょう、北海道に来ているんだわ」(正確には27日月曜です)と
知らせてくれたのが、岩見沢の武部建設さん。
なんでも、中小企業家同友会南空知支部の招きで
岩見沢地区のオープン例会で、講演すると言うことなのだそうです。
「・・・」とほぼ絶句。
締め切りの日が迫って、なかなか原稿進行のメドが立たない中、
しかし、佐々木さんが来たんなら、行かなくちゃ、
でも原稿関係、どうしよう、と悩みながらも小1時間車を飛ばして駆けつけました。
震災後、なんども電話やメールやらで連絡を取り合っていて、
その体験については聞き知っているのですが、
直接会う機会はなかったのです。
地震と、津波のことについては、
「起きたことはもうどうしようもない」
ということで、ある種の開き直りなのか、
前を向いて、復興していくしかない、という強い意志を感じます。
建築の世界で、復興についてのさまざまな動きがあり、
同時に、社会の矛盾点もたくさん出てきていると思います。
それぞれの立場で、
なにをどうすればいいか、
全力で立ち向かっていく、その最前線で立ち上がっている、
そういう印象を強く持った次第です。
私自身もなにがしか、できることを前向きに取り組みたいと思っています。
っていうことでしたが、
きのう、佐々木さんが当社社屋を訪ねてくれまして
すっかり時間を忘れて(笑)、実は大失敗に。
でもまぁ、たいへん楽しく交流できて、大いに勇気づけられました。
失敗の中身は・・・そのうち、書きます(笑)。
<写真左手が佐々木さん>