写真は、沖縄の民家でふと目に焼き付いた光景。
ちゃぶ台が、なにげなく置かれている空間ですが、
記憶として立ち上ってくるのは、幼い頃の家族関係のぬくもりです。
現代では、よほど物好きな建て主でない限り、
このような「ダイニング」を思い描く人は少ないでしょうね。
ただ、人間は記憶の中から「豊かな空間」という思いを脳裏に描いて、
それを「注文住宅」として表出させるべく設計するけれど、
そこで描かれているのは、どうも後の本来的な意味での
「その人が持っている豊かさのイメージ」とは限らないのかも知れない。
いやむしろ、既成のイメージ写真などの表現力に同調してしまって
本来の「自分自身の豊かさ」という見方が出来なくなっているかも知れない。
わたしは、自分自身の家を頼んだときに
やはりこういった丸テーブルを囲む家族イメージが強くて
座りはしなかったけれど、そういうイメージにして貰いました。
そんな「豊かな家族の記憶」のようなもの、
それを自分自身で再度作り上げるのが、家づくりであり、
そういう場を主体的に作って、人生も創造していくのが
本来的な意味での「注文住宅」というものの醍醐味なのではないか。
注文住宅というのは、そういった主体的な決断の
人生に、そうたくさんはないかもしれない機会なのだと思います。
もちろん、そうしたからと言って、
それがそのひとの「幸せ」に繋がるのかどうかはわからない。
けれど、そのときにじっくりと考えて選び取った結論は、
それを大事にして生きていくしかない。
家づくりの時に、いろいろ決めたことって、
そのあとの人生にかなり大きなウェートを占めてくる。
ぜひそういった決断の機会を
楽しみながら、家づくりを進めていって欲しいものだと思います。