
さて、札幌に帰還して朝の散歩路を歩いていたら、
円山自然林のなかで、去年からその群生ぶりを見掛けていた
オオウバユリたちの元気のいい姿が際だってきていました。
去年の発生ぶりと比較しても、さらに多数の個体が群舞しています。
この様子では、円山の森でも最優勢な植物群になるような勢い。
ある種に注目して見ていると、こういった変化が見えてくるのですね。
昨年、はじめてこの植物を注目して見たのですが、
ちょうど今の時期、すっくりと立ち上がった姿から、
頭頂部の花芽が大きく開こうとしている。
その個体によって、さまざまなプロセスにあって、
立ち姿がそれぞれに個性的な美しさを見せてくれています。


昨年もこの植物について書いたので
記憶されている方も多いでしょうが、
このオオウバユリは、アイヌの人たちにとって貴重な炭水化物摂取源。
この花の根の部分を粉にして、食用に供するのだそうです。
ごく少量しか農耕を行わなかったかれらにとって、
森の中で自生するこのオオウバユリは、いのちをつないでいく
民族的なエスニック食源だったのだということ。
そういうことを知ってから、あるリスペクトを感じている次第。
自然林のなかで、この姿を探し続けるようになったのです。
昨年は姿を見るのが、もうちょっと早かったようにも思うのですが、
ことしはちょうどいまが、いちばん面白い時期だと思います。
一番下の写真では、左から昨年のオオウバユリで、
こんなふうに枯れているのですが、
そこから種子が周辺に群生をはじめて芽吹き、
徐々に花芽が膨らんでいくのです。
そのさまざまな表情を、きのうは各所で見ることができました。
きょうもこれから散歩に出かけたいのですが、どんな表情で迎えてくれるか、
無上に楽しい気分を味わわせてくれています。
可憐でゴージャスな美しさ、しばらく楽しみたいと思います。