三木奎吾の住宅探訪記 2nd

北海道の住宅メディア人が住まいの過去・現在・未来を探索します。
(旧タイトル:性能とデザイン いい家大研究)

マイナーな書籍の購入方法革新

2008年10月21日 06時43分02秒 | Weblog



最近、とみにインターネット経由での古書購入が続いています。
中世北方日本についての歴史記述を求め続けているのです。
いちばん参考になるのは、図書館ではあるのですが、
調べようとすると、けっこう「貸出禁止」書籍が多い。
たぶん、出版部数が少なくて万一、散逸したとき
取り返しが付かないというのが理由だろうと思うのですが、
借り出して調べたい、という側にしてみると
どうにも困ってしまう。
また、借り出せて、資料的に手元に置いていつも確認しながら使う、
となったら、どうしてもその書籍を買い求めたくなる。
そういう場合には、出版社に当たるしかなくなるけれど、
場合によっては、もう絶版になっているケースも多い。
そういうときに、便利になってきたのが、インターネット販売。

図書館から借りてきて、ぜひ手元に置いておきたくなった書籍を
購入したくなって調べると、
Amazonの古本販売などが実に重宝する。
そのうえ、当然ながら古書なので値段も安く購入することができる。
本の値段は1円、っていうケースも多い。
たぶん、送料が結構かかっているので、配送業者との話し合いで安くして貰って
送料の定価と実勢の差額で利益を出しているのではないかと思われます。
で、販売に当たっているのは個人というよりも業者。
ということで、推測はほぼ当たっているのではないかと思います。
でもまぁ、これまで古書店に足を運んで
目を皿のようにして背表紙の文字情報を目で追うという作業から解放された。

こういうことで、いまのところ、結構
調査作業がはかどっております。
なにせ、定点ポイントに近い歴史領域のことなので、
それを調べてきた先人の知的作業を足場として利用させて貰う。
歴史博物館などの収集書籍コーナーにある本って、
まさにそういうことだと思うのですね。
でまぁ、最終的には発掘調査資料のような出版されていない報告書のようなものに
たどりつくことにはなります。
そこまで来れば、だいたいその領域の現在時点の収集可能情報という地点になる。
イメージしている歴史領域を攻め挙げていく作業は
まぁ、大体こんなことになると思われます。
しかし、最後は現地を見に行くっていうことになるものと思われます。

現代の情報収集方法、やはりインターネットをどう活用するか
ということが決定的だろうなと
まさに実感させられている次第です。
<写真は住宅構造模型、骨組みですね。>



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マグロの解体ショー

2008年10月20日 06時54分19秒 | Weblog



JIA建築家大会、レセプションの様子です。
っていうか、おいしそうなごちそうを前に
お偉いみなさんのお話しが続いて(笑)、なかなか、食べ物にありつけなかったのですが
ようやく終わった、っていうところで
マグロの解体ショーを実演していただけました。
テレビなどでは見たことはありますが、
なんともすさまじいものですね~。
迫力満点で、ちょっとかわいそうでもあるけれど
しかし、食欲は盛り上がってくる。
解体したてのマグロ刺身、行列しながら食べさせて貰いました。
うんまい、ですなぁ、これが!

レセプションは2時間以上続いていたのですが、
北海道と、東北と両方の支部にたくさん知人がいるので、
お話しをするのに忙しくて、
あんまり食事はできませんで(涙)、ちょっと残念でした。
はじめて参加したのですが、
関東以南の方とも知り合えて、有意義に楽しませて貰いました。

という3日間で、きのうは最終日。
昨年まで審査委員をさせられていて、気が重かった
「東北住宅大賞」の第1次審査の様子も全作品を拝見してきました。
全体として、シンプルモダンが主流のような気がします。
外壁がだいたいガルバリウム鋼板主流で、
それも白っぽいシルバー系の素地というのが多いなぁと感じます。
べつにそれがどうこうではないのですが、
結構、流行的にそれが増えてくると、
本当にこれでいいのか、っていうような気がしてきます。
っていうようなことで、
最終便で仙台から札幌に10時過ぎに帰還。
ふ~やれやれ、というところですが
でも、JIA東北支部のみなさんは、本当に大変だったことと思います。
お疲れさまでした。


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JIA環境建築賞

2008年10月19日 06時06分57秒 | Weblog



きのうも建築家大会2日目。
わたしはてっきり開会式からが初日と思っていたのですが、
実は開会式前の前日から始まっていたと言うことで、
きのうは3日目なのですね。
で、きのうは前から見てみたいと考えていた
JIA環境建築賞の受賞者のプレゼンが行われていました。
3時間に、12人の受賞者の発表があり、
しかもそれに対するパネルディスカッションもあり、
最後には東北フォーラム・吉野理事長などのまとめなどもあるという
なんとも盛りだくさんで、とても消化しきれないのでは、
と思われる内容でしたが、まぁ、なんとか時間内に収まっておりました。

審査委員長の野沢正光さんの総評の中に
1800年代以降、建築は常に問題に立ち向かって来た歴史である、
そして現代の最大の問題が、
どうすれば、2050年段階でCO2排出を半減以下にすることができるのか、
というエネルギーの問題だ、という指摘がありました。
まさに言われるとおりだと思います。
そのための要素技術の蓄積があり、設備機器の進化がある。
こういうものを具体的な建築デザインとして、
いかに良い建築として作り上げていくのかが、建築家に課せられた
もっとも、今日的な課題なのだと思います。

そして、これまでどちらかといえば、
寒冷北方のテーマと思われてきたこの部分に
多くの設計者の興味が集まってきており、
温暖地域でも、いろいろな取り組みが見られてきていると言うことが
実感できてきた次第です。
断熱気密の基本技術を踏まえ、さらに自然エネルギーを活用する
さまざまな技術の組み合わせ・活用が考えられ実践されてきていると思います。
CASBEEという考え方、住宅レベルで考えているケースなんて、
ほとんどないのではないかと思っていたのですが、
認識を新たにさせられました。
また、再生利用という、建築の今日的な課題についても
実に豊かな想像力による挑戦が行われてきているようです。
なにより、多くの実践が積み重ねられてきていることが
多いに勇気づけられた次第。
会場にはさすがに、北海道からの参加者が多かったのですが、
それ以外にも、全国から会場一杯の参加者が詰めかけていました。
こういう熱気を体感できて、たいへんうれしかったです。

先日書いた「東屋」~あずまや~について、
読者の方から、漢字では四阿という表記が一般的だけれど、
なぜ、こういう書き方になるのか、調べてブログで書いて欲しい、
という意見が寄せられました。
わたしの使っているATOKでは、四阿も東屋も同義とされていたのですが、
確かに四阿って書き方、不思議ですよね。
ちなみにWikkipediaには、こういう情報はありませんでした。
う~~ん、困った。
とんだ宿題になった感じがいたします。
読者の方で、問題探求の心当たりのある方、ぜひ教えていただきたいです(笑)。
<写真は定禅寺通り~これもきのう書き間違えました~
 での建築家大会向けのデモンストレーション>



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JIA建築家大会2008

2008年10月18日 06時35分18秒 | Weblog



きのうから仙台に入りまして、
日本建築家協会の建築家大会に参加しています。
会場は、こういう大会らしく定善寺通りに面したメディアテークです。
北海道と東北と、たくさんの知り合いが集まっているので、
まぁ、次から次へと、あいさつばかりしている1日でした。
とは言っても、はじめて参加しましたので、
勝手がわからず、一応報道プレス側と言うことで、
開会式と、その後のメーンパネルディスカッションを聴き、
その後、懇親会に参加いたしました。

パネルディスカッションでは、出江会長が進めている
「建築家」職能認定活動を中心とした活発な論議が行われました。
世界的に、建築家職能の認定が大きな潮流になっている中で、
日本の現在の「建築士」制度の問題点を明らかにして、
制度的な改変を視野にしていこうということ。
法律の専門家の方から、制度の歴史的な経緯に詳しい方、
さらにいま、公共発注の建築設計業務で地方公共団体を提訴して
話題になっている、山本理顕さんも参加。
第3者的な立場から見ているので、いろいろ勉強になりました。

まぁ、ようするに
設計料はただでもいいですよ、という大手ゼネコンから始まる
日本の建築業界の風潮に対して、建築家の職能制度の確立を対峙させて
きちんとした設計業務の社会的認知を獲得させたいと言うことですね。
しかし、話題は多岐にわたりすぎた感があって、
シンプルに「良い建築が生み出されるためには、どういう制度がよいのか」
という軸線がやや、みえにくいなと感じた次第です。
そういうなかで、
国交省などの官僚システムの側から、
自動車などは、設計と施工は一体のものとして価格が設定されている、
という議論があると紹介されていました。
なぜ、建築も同様に考えられないのか、という立場。
さらに、現行の建築確認システムでは、
基準を満たしている申請に対しては
どのような建築でも認可されるという問題点の指摘がありました。
一例として、楳図かずおさんの住宅の周辺景観論争が
提起されていました。
で、ああいった個人の欲望発露に近い建築計画が
現状ではそのまま建築確認がなされるのは仕方ないにしても、
それに対して、意見を申し立てるような建築家は存在していない、
というような鋭い指摘がありました。
建築家という存在が、ただの建築施主の「代理者」として
社会的に存在している現実をどう考えればいいのか、
というような提起ですね。
う~む、さすがに論議は根源的になっていて、興味深い。
残念ながら、時間の制約で、様々に提起された問題点は
論議未了、というようなことだったと思います。
しかし、これはやむを得ないでしょうね。

こういう基本的な論議が交わされると言うことでは
やはり意義深いものを感じました。
これから、それぞれのみなさんの発表をもう少し深く分析していきたいと感じた次第です。
ということで、本日は結論未了のブログです(笑)。ではでは。



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掘っ立ての東屋

2008年10月17日 05時32分45秒 | Weblog



先日書いた平取町の「義経神社」境内で
思わずシャッターを切りたくなったのが、この東屋。
用途としては清めの手水所で、竜の蛇口から水が流れておりまして、
なかなか立派なんです。
流水を受ける流し台は岩をくりぬいたようなんですね。
こういうしつらいは、
「お、なかなか、いけるじゃんか!」っていうところ。
で、外観全体もなんともいけているのです。
柱は、地面からそのまま生えているような掘っ立て柱。
それも自然木の皮を剥いだままの木材を使用しているので、
垂直といっても、寸法はきっちりと決まってはいない。
掘っ立てって、技術的には単純なだけにすごく難しいもの。
わが社でも、外部に古電柱の照明を連続させたときにその工事を見たのですが、
三内丸山遺跡以来、っていうような縄文から続くであろうような
技術伝統をかいま見せてくれる工法なんですね。
それに梁を渡して、屋根組みしていますが、
屋根もなんと、茅葺き。
すべて自然素材の質感そのまま、屋根からは青々とした草も見えている。

っていうようなたたずまいの空間が、境内の森の一隅に
つつましやかに建っている・・・。
ふむふむ、なかなかにいい仕事、していますなぁ
(なんでも鑑定団ふうのため息)
という感想を持った次第であります(笑)。
本体の神社自体は、あまり歴史的な由緒に価値はないのではと思われましたが、
どっこい、こっちのほうは、一見の価値がある。
むしろこういうところにこそ、日本的な美的感覚のエッセンスがある。
どっちかというと、自然の木をそのままそこにおいて、
しかも建築的機能を果たしていますよ、というような感覚でしょうか。
岩も、ごく普通にある岩が、よく見ると手洗いシンクになっていますよ、
というようなさりげなさを装うデザインマインド。
ちょうど西洋式の庭園がこれでもかと人工的に作るのに対して
日本の庭園が、ひたすら自然な表現を心がけているのに通底している。
残念なのは、仰々しく立て札が置かれてあって
なにやらこれ見よがし風に読ませられそうな点。
ここまでさりげなく作っているのなら、それを貫徹して欲しかった(笑)。
でもまぁ、許してあげたいところです。



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トイレのバリアフリー

2008年10月16日 06時37分43秒 | Weblog



先日見学に行った現場公開での写真。
トイレの手すりの面白い製品が取り付けられておりました。
うねうねと折れ曲がっていて、色もなんとも鮮やか。
強烈な印象なんですが、
黄色って、毎日見ていると、そう強烈感は持続しない色。
だんだん馴染んできて、思ったよりも落ち着きはある色だと感じています。
あ、わが家でも家の真ん中にあるらせん階段を黄色く塗っているんですよ。
ちなみに風水では黄色って、金運を呼ぶ色とかで、
カミさんから聞いて以来、黄色を好きになるように自己暗示をかけ続けている
一般的大衆のごく一部分がわたくしであります(笑)。

ってまぁ、色はおいといて、
人間工学を考えたと言うことで、複雑な形状になっていますね。
たぶん、よっこいしょっというひと動作ごとに
過不足なく、体を支える働きをするものと理解されます。
以前はこういう装置について、
イマイチ、現実感をもてなかったのですが、
だんだん、高齢化がわたし自身の肉体にも影響が現れてきているので、
このような手すりとか、現実感が高くなってきています。
そういえば、文字の大きさというのも、
ちょっと前まではほとんど気にしていなかったのですが、
たとえば名詞などで、英文のメールアドレスなどは
ほとんど解読不能になってしまっています。
デザイナーとかに注文するのですが、
かれらはどうしても全体のバランス感覚を優先してくるので、
機能要素のような、文字のベタな伝達性優先という考え方は基本的にしない。
でも、高齢化の時代、バリアフリーということは
デザインの分野でも大変重要なテーマだと思います。
それとして、でかくしました、っていうようなレベルではなく、
わかりやすさという根本的なテーマをしっかり追求して欲しいものだと考えます。
若い世代でも、高齢世代でも誰にもわかりやすい、ということが重要。

そういう意味ではこうした手すり、
毎日使い続ける中で、使い勝手優先で考えられている感じがします。
目に鮮やかな色合いも、そう考えると納得もできる。
まぁ、考え方はいろいろにできるとは思いますが、
生活上のわかりやすさ優先のひとつの形ではあると思いますね。



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暖房の未来形

2008年10月15日 06時46分24秒 | Weblog



写真は北総研の方の講演時のスライドから。
暖房用エネルギーといっているけれど、
住宅の性能が向上していくと、生活廃熱と太陽日射の割合が高くなってくる。
熱損失係数が1.0あたりからは
暖房用負荷としても、そっちのほうが大きい割合になってくる。
これは北海道でのことなので、
だとえば東京くらいだと、
暖房はゼロエネルギーっていうようになってくる。
北海道内でいま建築中の「北方型住宅ECO」は、換気の条件抜きで
熱損失係数1,3を性能要件としているので、
もし、第1種換気を装置した場合には1,0くらいが相当するレベル。
この写真で見る○をしたくらいのエネルギー構成になるのですね。

この場合は、生活廃熱と日射熱を足した方が
暖房専用エネルギーを上回ってくるという結果になる。
このレベルの住宅が、ことし一気に123棟も建設されているのです。
たしかにこれまでも先進的なビルダーは
ごく標準的にこういうレベルの住宅を建ててきたのですが、
そういう住宅がひとつの住宅運動として大量に一気に市場に公開される意義は高い。

こういう住宅になってくると、
暖房というものが、もっと意味合いが変化してくるような気がします。
いまは、補助暖房的に使われている薪ストーブですが、
性能が低い住宅では確かに「補助」としてしか考えられないけれど、
人間がコントロールできて、しかも
精神的にも高い癒しを提供してくれるものとして
場合によっては、主暖房の位置を占めてくるかも知れない。
環境問題で考えても、薪のような熱源は再生可能エネルギーとされているのです。
そのほかの暖房装置も十分に可能性検討が可能になってくると思います。
そしてその場合、性能要件的なものよりも
もっと、精神性を豊かにさせる方向に向いていく気がします。
同じ機能を果たしても、形態や見え方がまったく従来とは違うものになっていくとか。
そういう変化って、たぶん、北方圏生活デザインとして
本州以南地域に売り込んでいくことが可能なのではないかと思われます。

おおいに進化していって欲しいものだと念願しますね。



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北海道の義経伝説

2008年10月14日 07時44分56秒 | Weblog



北海道には義経伝説がけっこう残されている。
アイヌ語に地形を表す言葉として、「ペンケ」「パンケ」という言葉があり、
ペンケが川上の(上の)パンケが川下の(下の)を意味します。
まぁ、一般名詞というわけなんですね。
この地名に、いちいち「なに、弁慶がここに来たのか?」
「そうそう、ペンケ、ペンケ」
というような和人とアイヌの会話が行き違いながら成立して
「弁慶が、やっぱり。ならば義経も北海道に渡ったんだ・・・」
ということになったのだろうと思われます。

日本の正史側との関連をなんとか付けたい、
というような意識が和人の認識の中に強かったのか、
ちょうど格好だったのでしょうね。
先日訪問した平取町でも、「義経神社」なるものがありました。
周辺には「義経ロード」だかという道も整備されていて、
観光資源として活用したいという願望の強さが見て取れる。
で、正面からの写真です。
ご神木として栗の木があったりしています。
なんでもご神体として鎧甲があるのだそうですが、
よく記述を読んでみると、江戸期に幕府側のはからいでこの神社に寄贈されたものだそうです。
この地域はアイヌとの交易の拠点であったので、
比較的早くから和人が定住していた地域なんですね。
たぶん、そうした和人側から現地幕府機関に誓願があって、
ご神体とされたものだと思われます。
神社の中を見ていたら、禰宜さんがいましたので、
義経と言うことなので源氏の氏神・八幡神社ではないのですか?
という質問に対して、
「いや、義経といえば騎馬武者、ということでお馬さんの神社なんです・・・」
ということなのだそうですね。
ようするに馬産地になってきた近代の歴史の中で、
地元の要請に応えてきているという次第のようなのです。
いちおう「資料館」まであったので見学してきましたが、
外観からしてサイディング張りで、信憑性はいまひとつ・・・。
陳列されているのは、せいぜい江戸期の「錦絵」で義経に関連しているものくらい。
「地元の洞窟には鎧甲も発見されているんですよ・・・」
っていうのが、まぁ、か細いながらも義経との関連を示す根拠。

確かに反逆者になったワケなので、
源氏の素性を追認するような八幡系の神社になるということにはならないでしょうが、
有名人の名前だけを利用しているというのも
なんとも情けない感じもある。
歴史的事実では、平泉藤原氏の頼朝軍への敗退に際して
敗残軍が北海道に渡ったという事実はあるようなので、
そういう軍が、自らを「義経軍」と名乗った可能性はあると思われます。
そういう中の一団が、平取に流れ着いて、洞窟に鎧甲を脱ぎ捨てた可能性は高い。
たぶん、そうしたひとびとはその後、ほとぼりの冷めるのを待って
北東北の故地にすこしずつ帰還しただろうと思われます。
で、当地には伝説のタネだけが残った・・・。

ということのようですが、
現在は競走馬の活躍をひたすらに祈る空間として、
地元のみなさんに活用されているようで、まぁ喜ばしいことと思いました。



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イベント満員御礼

2008年10月13日 06時21分25秒 | Weblog



きのうはご案内していた「たかたのりこ個展」の
クライマックスで、ハーブの演奏と独唱というイベントもありました。
来場者は、そこそこで推移していたのですが、
イベントが迫ってきたら、どんどこ入場者が増え、
最終的には、なんと、50人を越すみなさんが来場!
大体30人くらいが定員の会場なものですから、
立ち見のみなさんも出るという盛況ぶりでした。
スライドショーでは、たかたのりこさんの絵がカットバックで流されていて、
優美なハーブ演奏、独唱が会場に響いておりました。
小さいお子さんもいて、少々心配だったのですが、
演奏中も、おとなしく聞いていてくれたので、大助かり。
あわててカメラを取りに行って、写したのが写真です。

ほんとうにぎゅう詰めするとこんなに入場できることが確認できました。
まんなかに展示用の大テーブルもあるので、これを整理したら
もっと入れるのかも知れません。
ただ、椅子は全部で40脚くらいしかないので
どうしても立ち見が出てしまいます。
やはりたかたさんの絵が全体を柔らかく包んでくれていて、
木質の床壁天井にいい雰囲気を醸し出してくれています。
こんなに人が集まると温度上昇も激しく、
換気のために窓を開放しなければ間に合わない。

これからこの会場では、
住宅関係のイベントをいろいろにやっていく考えなのですが、
その予行演習として、大変参考になった次第です。
しかし、まったく宣伝もしていないイベントで、
口コミだけが頼りだったのですが、
まったく予想外の入場ということでびっくりいたしました。
やはりたかたさんの癒し系の絵と、似合った音楽という取り合わせで、
「ちょっと行ってみようかな」という気になっていただけたのでしょうね。
たかたさんの個展は、本日までやっています。
ぜひ連休の最後、足をお運びください。



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クマさんに出会った

2008年10月12日 08時07分36秒 | Weblog



800年から1200年頃の北海道中部低地帯での暮らしぶりを研究しています。
時代考証していく手がかりがなかなかない。
でも断片的には文字記録のものも残っている。
また、江別や恵庭には古墳が残っている。
古墳って、要するに一定の有力者の存在をうかがわせるもの。
古代のヤマト権力が、連合的な国家を形成するときに
各地域の有力者に対して古墳という祭祀形態を与えたと考えられるもの。
まぁ、どのような経緯でこうした祭祀が広がったのかは定かではないけれど、
日本中にこの形態の墳墓が盛んに作られて、
北海道の中央部でも造営されたことがわかってきた。
ということは海の道を通っての交流が広くヤマト側となされていたことを表している。
また一方で、積丹半島北部側では、北東アジア世界との交流も特定できる痕跡が多く
この地域が、さまざまな交流・交易が
活発に行われていたことを指し示していると思われます。
ちょうど、北東アジアの「渤海」から
727年~919年の間、
何回も北の日本海ルートで使節が来ているし、
日本側からも使節が派遣されている記録がある。
ヤマト政権側としては、正規の外交ルートは博多の太宰府なので
そちらに来なさいと何度も伝えるけれど、
渤海側は、それを無視して、北からのルートを下ってくる、ということ。
きっと、そのルートが安定的な航路を保証してくれていたのでしょう。
アムール川河口域からサハリン西岸を南下して、北海道を西海岸を下っていく。
そして、最後の難関が津軽海峡だったのでしょうが、
たとえば松前と竜飛岬は天気が良ければ、一気に渡れる近さ。
そうすれば、常に陸地を見ながら、万一天気が悪くなってくれば
陸地に接岸して天候の回復を待って航海することができる。
そういったルートが交流ネットワークとして当たり前に存在していただろうことを示している。

こんなような背景を想定して、
当時の北海道人の暮らしように思いを巡らせているのです。
そんなとき、ちょうど見たのが写真のジオラマ。
狩猟採集は基本的な生業手段ですから、
こんなようにクマさんの生活領域とバッティングしたでしょう。
クマさんもびっくり、人間もびっくりという様子が伝わってユーモラス。
なんですが、こういう危険が日常茶飯だったことでしょうね。
後の時代のアイヌの儀礼でクマの存在感が大きいのはこういう事情でしょうね。



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