ロビンソン本を読む

本とデザイン。読んだ本、読んでいない本、素敵なデザインの本。

接触

2018-10-01 22:23:49 | 読書
クレア・ノース『接触』




 『ハリー・オーガスト、15回目の人生』と同じ角川文庫から出ているのに、カバーのイラストレーターが違っている。
 どうしてだろう。
 ずっと疑問に思っていたが、調べてみると、いつの間にか『ハリー・オーガスト』のイラストとデザインの方が、『接触』に合わせて変わっていた。
 なぜだろう。
 kindle版の表紙と区別するため? ものすごく気になる。

 『接触』のイラストが違っているのは、小説の雰囲気を表すためだろうと想像していた。

 一瞬の接触で、相手の身体に乗り移ることができるゴースト。
 どんな人物にもなれるが、自身の肉体を持たない。
 つまり、帰るところがない。
 望めば、若い身体に移ることで、永遠に生きられる。
 苦手なことから、永遠に逃げ続けられる。

 ゴーストのこの生態を羨ましく思ったりはしない。
 むしろ、行き場のない閉塞感に包まれる。

 この感じ、『ハリー・オーガスト』の感触に似ている。
 
 ゴーストは、男にも女にもなれる。
 性を飛び越え、どちらも愛せる。
 それゆえ、カバーのイラストに漂う、ボーイズラブの匂いに納得したのだった。

 イラストはRe゜。
 デザインは西村弘美氏。
コメント
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