ロベール・ブラジヤック『パリの小鳥売り』

表紙のイラストが醸し出す、ちょっと古くてお洒落な雰囲気は、1930年代のパリが舞台の小説とわかると、納得する。
でも読んでみると、思っていたようなお洒落な街は描かれてはいない。
むしろ貧しい人の姿が目立つ、煤けたイメージ。
小鳥売りとは、天秤棒で鳥かごをかついで公園にやってくる老人のこと。
彼が知り合う、女子大生や、食料品店の女店主、スラムに住む少年らのことが語られていく。
温かい空気が大半をしめるのだが、ときどき冷たくなることもあって、共感させるのを拒んでいるようだ。
その中で、恋がかなわなかった男子大学生の思いは、真っすぐにぶつかってくる。
寂しさと、パリの風景とのコントラストが美しい。
装画は牛尾篤氏、装丁は矢萩多聞氏。(2019)

表紙のイラストが醸し出す、ちょっと古くてお洒落な雰囲気は、1930年代のパリが舞台の小説とわかると、納得する。
でも読んでみると、思っていたようなお洒落な街は描かれてはいない。
むしろ貧しい人の姿が目立つ、煤けたイメージ。
小鳥売りとは、天秤棒で鳥かごをかついで公園にやってくる老人のこと。
彼が知り合う、女子大生や、食料品店の女店主、スラムに住む少年らのことが語られていく。
温かい空気が大半をしめるのだが、ときどき冷たくなることもあって、共感させるのを拒んでいるようだ。
その中で、恋がかなわなかった男子大学生の思いは、真っすぐにぶつかってくる。
寂しさと、パリの風景とのコントラストが美しい。
装画は牛尾篤氏、装丁は矢萩多聞氏。(2019)
