ロビンソン本を読む

本とデザイン。読んだ本、読んでいない本、素敵なデザインの本。

親愛なる

2019-01-25 19:31:01 | 読書
いとうせいこう『親愛なる』





 小説の文中、突然自分の名前が出てきたらどんな気分だろう。

 そんな気分を味わえる。


 それは偶然ではなくて、あらかじめ、こちらから名前やメールアドレスの情報を送っておいたもの。

 知っていても、思わず後ろを振り返ってしまう、背後から見られている感覚になる。

 そんな仕掛けが施されている。
 

 オンデマンド印刷、簡単にいうとプリンターで印刷した本。だから、こんなことができる。

 カバーはない。

 表紙には、郵便物のごとく自分の住所と名前が印刷されている。

 知らない人からの手紙?

 印刷の精度のため、文字のふちがギザギザしていることさえ、手紙らしさを演出しているように思える。



 ネット限定4000部の本。

 現在書店で売っているものは違うはず。仕掛けはどう変わったのだろう。(2015)