キャサリン・ダン『異形の愛』
最後まで、この小説にどう向き合っていいのかわからなかった。
巡業サーカスで生きる、ある家族の話。
母親は、かつて鶏の頭を食いちぎるギークとして活躍し、団長とパートナーになると、奇妙な子供たちを産み出す。
サーカスで生きていくために必要な、最高のプレゼントとして、奇形の身体を持つ子らを。
物語は、その中の1人の娘が語っていく。
彼女は、妊娠中に毒物を服用した母の努力の甲斐もむなしく、アルビノでせむしだけの平凡な奇形。
そのことを恥じ、スターである、手足がヒレのようについている兄を慕い、ひとつの身体を共有する美しい双子を羨む。
一方、五体満足な普通の人を蔑む。
立ち位置が、普通の世界と逆で、なかなか馴染めない。
この物語の世界を受け入れるということは、作中登場する、自分の手足を切り落とす信者たちをも受容することになるわけで、そこまで心は広くなれない。
ただ、グロテスクに徹しないで、理解できないにしても愛が流れているからこそ、最後まで読み続けられる。
怖いもの見たさのフリークショーの、禍々しさを想起させる中に、美しさをこめた装丁が印象的。
装丁は木庭貴信氏+岩元萌氏。(2018)
最後まで、この小説にどう向き合っていいのかわからなかった。
巡業サーカスで生きる、ある家族の話。
母親は、かつて鶏の頭を食いちぎるギークとして活躍し、団長とパートナーになると、奇妙な子供たちを産み出す。
サーカスで生きていくために必要な、最高のプレゼントとして、奇形の身体を持つ子らを。
物語は、その中の1人の娘が語っていく。
彼女は、妊娠中に毒物を服用した母の努力の甲斐もむなしく、アルビノでせむしだけの平凡な奇形。
そのことを恥じ、スターである、手足がヒレのようについている兄を慕い、ひとつの身体を共有する美しい双子を羨む。
一方、五体満足な普通の人を蔑む。
立ち位置が、普通の世界と逆で、なかなか馴染めない。
この物語の世界を受け入れるということは、作中登場する、自分の手足を切り落とす信者たちをも受容することになるわけで、そこまで心は広くなれない。
ただ、グロテスクに徹しないで、理解できないにしても愛が流れているからこそ、最後まで読み続けられる。
怖いもの見たさのフリークショーの、禍々しさを想起させる中に、美しさをこめた装丁が印象的。
装丁は木庭貴信氏+岩元萌氏。(2018)
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