ロビンソン本を読む

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異形の愛

2018-11-16 18:44:17 | 読書
キャサリン・ダン『異形の愛』


 最後まで、この小説にどう向き合っていいのかわからなかった。

 巡業サーカスで生きる、ある家族の話。

 母親は、かつて鶏の頭を食いちぎるギークとして活躍し、団長とパートナーになると、奇妙な子供たちを産み出す。

 サーカスで生きていくために必要な、最高のプレゼントとして、奇形の身体を持つ子らを。

 物語は、その中の1人の娘が語っていく。

 彼女は、妊娠中に毒物を服用した母の努力の甲斐もむなしく、アルビノでせむしだけの平凡な奇形。

 そのことを恥じ、スターである、手足がヒレのようについている兄を慕い、ひとつの身体を共有する美しい双子を羨む。

 一方、五体満足な普通の人を蔑む。


 立ち位置が、普通の世界と逆で、なかなか馴染めない。

 この物語の世界を受け入れるということは、作中登場する、自分の手足を切り落とす信者たちをも受容することになるわけで、そこまで心は広くなれない。

 ただ、グロテスクに徹しないで、理解できないにしても愛が流れているからこそ、最後まで読み続けられる。


 怖いもの見たさのフリークショーの、禍々しさを想起させる中に、美しさをこめた装丁が印象的。

 装丁は木庭貴信氏+岩元萌氏。(2018)


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