ロビンソン本を読む

本とデザイン。読んだ本、読んでいない本、素敵なデザインの本。

ネザーランド

2018-09-15 16:02:42 | 読書
ジョゼフ・オニール『ネザーランド』





 この本の帯は、つい外してみたくなる。

 表紙に描かれた、ハドソン川越しに眺めるニューヨーク、マンハッタンの遠景が、この本を手に取るきっかけとなった。
 装画はクサナギシンペイ氏。装丁はハヤカワ・デザイン。

 表紙の半分以上が薄曇りの空で、タイトルがその低い位置に、細い明朝で慎ましく入っている。
 希望を言うならば、日本語のタイトルを取ってしまって、緑の川に小さく入っている英語のタイトルだけでもいい。

 街を遠くから眺めるというのは、作中のオランダ人の心を表しているようだ。
 ニューヨークに完全には馴染めない、妻との間がうまくいっていない、不安定な感じ。

 さまざまな記憶が錯綜して語られるので、前後関係を一瞬見失う。
 そういう空気感が、表紙と一体になっている。(2011)


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