ロビンソン本を読む

本とデザイン。読んだ本、読んでいない本、素敵なデザインの本。

時代をひらく書体をつくる。

2021-03-21 15:50:59 | 読書
 雪 朱理『時代をひらく書体をつくる。』





 マニアックな本だ。

 活版、写植、デジタルと、日本語書体を作り続けている橋本和夫氏へのインタビューを通し、書体の変遷をたどるもの。

 
 書体のデザインは、文字を一つ一つ作るだけではなく、それらが文字列として繋がったときのばらつきがないようにしないといけない。それは隣にどんな字がきても違和感がないようにするもの。その微調整ができるのは、文字に対する感覚の鋭さと経験によるのだろう。


 文字の美しさが、いまや伝説のように語られる写植時代の写研の書体は、橋本氏がその多くを監修している。

 パソコンを使って印刷物を作るのが当たり前になって随分と経つ。

 デジタルフォントの品質もかなり良くなり、デジタルフォントを作らない写研の存在をすっかり忘れてしまった。

 今年1月に、写研とモリサワが共同でフォントを作るというニュースを見たとき、いまさら写研は必要だろうかと思った。

 しかしこの本を読み、久しぶりに写研の書体を眺めて、いま使っているデジタルフォントとは違う美しさを感じた。急に使ってみたくなった。

 すでに揃っている書体とはいえ、それをそのままデジタルで使えるものではないと聞く。調整を繰り返しリリースされたとき、改めてその美しさに驚くのを楽しみにしている。

 
 装丁は水戸部功氏+北村陽香氏。(2021)



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