★先月27日、大阪府と読売新聞大阪本社は教育・人材育成、情報発信、安全・安心、子ども・福祉、地域活性化、産業振興・雇用、健康、環境など8分野にわたる包括連携協定を締結した。包括連携協定は「パートナーとして密接な連携により、府民サービスの向上、府域の成長・発展を図ることを目的とする」という。
★当然各社から「権力監視や中立性はどう保つか」「巨大な行政機関が1つのメディアと特別な関係になるのは良くないのではないか」などの質問に府知事・吉村洋文(大阪維新の会代表)は「締結によって報道活動への制限、優先的な取り扱いはない。表現の自由、知る権利が協定で左右されるものではない」、読売新聞大阪本社社長・柴田岳は「取材・報道とは一切関係がない協定」と説明した。ところがその直後にスポーツ報知のウェブ記事に「吉村洋文知事、休日の筋トレ姿を公開!たくましい筋肉に黄色い声殺到『カッコ良すぎ』『キャー!』」などという記事が掲載されれば、うがった見方もしたくもなる。
★すると、いろいろ分かってきたことがある。16年に都城市と宮崎日日新聞が同様の提携をして以来、18年には横浜市とTBSなど、すでに多くの自治体とメディアが包括協定を結んでいる。「取材・報道と一切関係がない」かどうかはわからないが、行政との連携はどちらかというと広告や営業サイドのメリットは受けやすいかもしれない。だが、読者や視聴者が都合よくそう感じてくれるだろうか。メディアの信頼性や独立性の問題はあっても、経営的に背に腹は代えられないという意味合いがありそうだ。読者や視聴者が瞬時にこれは広告なのか、宣伝なのか、それとも取材した記事やニュースなのか判断がつかない限り、独立性はうたえない。(K)※敬称略
リテラ > 社会 > ジャーナリズム > 御用ジャーナリスト大賞(後編)5位〜1位発表!

左・橋下徹Twitter/右・『ひるおび!』に出演する田崎氏
権力に尻尾をふるコメンテーターのみなさんを表彰するリテラ恒例の「御用ジャーナリスト大賞」。前編(https://lite-ra.com/2022/01/post-6130.html)で紹介した10位から6位には谷原章介、ブラマヨ、三浦瑠麗、岩田明子、夏野剛などなかなか香ばしい顔ぶれがランクインしたが、後編では5位から2位、そして大賞を発表しよう。
今回も、菅政権の東京五輪強行開催を擁護した評論家、コロナ矮小化に躍起になったネトウヨ芸人、政権の意向を受けて野党叩きにいそしんだワイドショー、吉村維新の露骨な宣伝係を演じたMCとコメンテーターがズラリ顔を揃えている。さて、2021年、もっともタチが悪かった御用ジャーナリスト対象は誰なのか!? ぜひ最後まで読んでいただきたい。【5位】ほんこん(お笑い芸人)
陰謀論をテレビで撒き散らかすネトウヨ芸人がコロナ矮小化に加担! 高橋洋一内閣官房参与を露骨に擁護し、ついに菅前首相とも…
2020年度の「御用ジャーナリスト大賞」では7位にランクインとなったほんこんだが、今年は2ランクアップで5位に。もともとお笑いの腕やトーク力はさっぱりで、相方の板尾創路が俳優に専念し始めるとテレビで見なくなっていたほんこんだが、安倍政権下でネトウヨ丸出しの政権擁護や中韓攻撃をはじめたことで復活。2020年はそのネトウヨぶりがさらに本格化し、極右雑誌「正論」(産経新聞社)に登場。さらに2021年はついにヘイト雑誌「WiLL」(ワック)にまで進出するというネトウヨ芸人道を一直線に進んだ。
しかも、そのネトウヨ度は深刻で、1月におこなわれた米・バイデン大統領の就任式の際も陰謀論を平然と主張。1月9日放送の『正義のミカタ』(朝日放送)では、連邦議会議事堂乱入事件について「警官の方が招き入れている映像も残ってる」「ANTIFAっていう証言も出ている」などと発言し、ネット上では「BPO案件だ」という声があがった。
だが、さらにあ然とさせられたのは、菅義偉首相が内閣官房参与として重用した高橋洋一の「さざ波」発言時の露骨な擁護だ。
高橋氏は5月、新型コロナによる死者が1万人を超えていたにもかかわらず〈日本はこの程度の「さざ波」。これで五輪中止とかいうと笑笑〉とツイートし、問題に。菅首相の任命責任が問われる事態となり、その後、高橋氏は退職に追い込まれたが、高橋氏が批判を浴びていた際にも関西の番組で高橋氏と共演する吉本のネトウヨ芸人は揃って擁護を展開。
たとえば、東野幸治が〈次はさざ波問題か。コレ以前から言ってた事なのになぁ。さざ波なのにひっ迫してるのが問題ですって。T先生が叩かれていて、ZやNHKやマスゴミの人達は喜んでるだろうなぁ〉とツイートすると、ほんこんもこう主張したのだ。
〈ホンマやでT先生が全ワイドショー出て論理的に説明してあげればいい でも理解できるかな? 疑問です タレントさん達は情弱が露呈しましたな ブラマヨ吉田は賢い〉
言っておくが、高橋氏は「さざ波」だと主張するために掲げたグラフは、インド、カナダ、ドイツ、イタリア、アメリカ、イギリスと日本の新規感染者数を比較したものにすぎず、ニュージーランド、オーストラリア、台湾などと比べれば人口あたりの死者数は日本のほうが断然多かった。あるいは陽性率を比較すると、日本はネパール、インド、ドイツについで深刻で、アメリカやフランス、イギリスを上回っていた。いや、高橋氏の掲げたグラフを見ても、右端の直近のあたりでは、日本の新規感染者数がすでにイギリスを超えていたのだ。
実際、日本はその後、新規感染者数がどんどん膨れ上がり、そんななかで東京五輪を強行開催したことでさらに悪化。8月13日には新規感染者数が2万人を突破し、8月にコロナで自宅死した人数は250人にも及んだ。当時、高橋氏は「こんな感染状況で五輪を中止したら、世界で笑われる」などと述べ、ほんこんもそうした主張に丸乗りしていたが、これがいかに愚論であり、悲惨な結果を招いたかは、あらためてその後の数字を見れば一目瞭然だ。
ところが、ほんこんはいまなお高橋氏とつるみ、自身のYouTubeチャンネルの動画でも共演をしつづけ、年末も「もしも高橋洋一が総理大臣だったら」などというふざけた動画をアップする始末。また、高橋氏も自身のYouTubeチャンネルで菅前首相をゲストに招いた動画を投稿していたが、12月28日にはほんこんがTwitterに菅前首相の名刺を手に持つ自身の写真を貼り付けた上で〈昨日菅前総理から頂いた 「褒めてますで」と言ったらめっちゃウケた〉とツイート。政権擁護を繰り返してきた結果、なんと菅前首相に食い込むまでにいたっているのだ。
しかも問題なのは、このように悪質な陰謀論を公共の電波でがなり立てるというBPO案件級の問題を繰り返しながら、ほんこんはいまだに関西を中心にテレビに出続けているということ。ほんこんは政権のみならず維新応援団でもあるが、今年もこんなネトウヨ芸人をテレビはありがたがって出演させつづけるのだろうか。