軍事ブロック・軍拡に反対
世界の進歩勢力と連帯を
欧州左翼党大会が閉幕
【ウィーン=吉本博美】当地で9日から開かれ11日に閉幕した欧州左翼党第7回大会は、新議長の閉会演説で、欧州だけでなく世界の左翼勢力が軍事ブロックに反対し、軍事費の大幅拡大に反対することを強調しました。これは、日本共産党の緒方靖夫副委員長が10日、軍事ブロックと軍事費大幅増に共同して反対しようと提案したことに呼応したもので、今後、欧州左翼党と日本共産党の間でこれらの課題で協力を強めることになりました。(関連記事)
(写真)大会で選出されたバイアー新議長をはじめとする指導部=11日、ウィーン(吉本博美撮影)
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大会は、今後3年間の活動方針を示した政治文書の採択と、新指導部の選出を行いました。
欧州左翼党の新議長に選出されたワルター・バイアー氏(シンクタンク「トランスフォーム欧州」元理事長、元オーストリア共産党議長)は大会を総括する閉会演説で、ロシアによるウクライナ侵略を機に各国で進む軍事費増大、軍拡、特に核軍拡競争への強い懸念を表明。「暮らしと環境を破壊する」と、北大西洋条約機構(NATO)をはじめ軍事ブロック反対を強調しました。
バイアー氏は、「核兵器禁止条約が国際法となり、欧州を平和に導く手段となる」と指摘。欧州の各国政府に条約の批准を求める運動を発展させようと呼びかけました。
採択された政治決議「左派による代替案」は、「より公正で平和な世界は軍事同盟ではなく、政治的な合意で築くべきだ」「劇的な軍事費増額にストップを」と明記しました。
バイアー氏が、「欧州中心主義」を排して世界の左翼・進歩勢力との連帯を深めようと述べると、大きな拍手が起きました。
日本共産党と欧州左翼、共同を
大会終了後、バイアー氏は、緒方靖夫副委員長が新議長就任への祝意を伝えた際に、「欧州左翼党と日本共産党はともに、軍事ブロック、軍事費増大反対で共同を強め、国連憲章に基づく世界の平和秩序の回復と強化のため力を合わせましょう」と述べ、緒方氏と抱擁を交わしました。
欧州左翼党 2004年に結成。欧州23カ国で活動する27の左翼・進歩政党とオブザーバー10政党で構成されます。各国の加盟政党を拘束する決定はしませんが、欧州議会では、北欧緑の左翼グループなどとともに左翼会派「欧州統一左翼・北欧緑左翼」をつくっています。
安保3文書 自公が合意
敵基地攻撃を明記
自民・公明両党は12日、国家安全保障戦略など安保関連3文書の改定に向けた実務者によるワーキングチーム(WT)を国会内で開き、3文書の内容で合意しました。歴代政権が違憲としてきた敵基地攻撃能力(反撃能力)の保有が明記され、米国製の長距離巡航ミサイル・トマホークの導入も示す方向です。5年間で総額43兆円の大軍拡も盛り込まれます。
中国の位置づけをめぐって自公両党間で協議が続けられてきましたが、国家安保戦略では「最大の戦略的な挑戦」とし、情勢認識を米国と横並びにすることで一致したとみられます。
安保3文書は、国家安全保障の基本方針である「国家安全保障戦略」、防衛力の戦略的な在り方を示す「国家防衛戦略」、10年間の経費総額や装備数量などを示す「防衛力整備計画」で構成されています。
3文書は両党内の手続きや、週内に開かれる与党税制調査会で軍事費の財源に関して方向性を示した上で、週内にも閣議決定される見通しです。
2022年12月13日(火)