毎日新聞は17、18の両日、全国世論調査を実施した。岸田内閣の支持率は25%で、11月19、20日の前回調査の31%から6ポイント下落し、2021年10月の政権発足以降最低となった。不支持率は69%で前回(62%)より7ポイント増加した。岸田文雄首相が防衛費増額の財源について、1兆円強を増税で賄う方針を示したことが支持率低下につながったとみられる。
防衛費を大幅に増やす政府の方針については、「賛成」が48%で、「反対」の41%を上回った。「わからない」は10%だった。政府は防衛力強化のため、23~27年度の防衛費の総額を計43兆円とする。男女別でみると、男性は「賛成」が56%、「反対」が38%だったが、女性は「賛成」が35%、「反対」が46%だった。年代別でみると、50代以下は「賛成」が「反対」より多かったが、60代以上は「反対」が「賛成」を上回った。
防衛費増額の財源として、増税は「賛成」が23%で、「反対」の69%を大きく下回った。社会保障費などほかの政策経費を削ることについては「賛成」が20%で、「反対」の73%を大幅に下回った。国債発行は「賛成」が33%、「反対」が52%だった。
防衛費増額について「賛成」と回答した層でも、「増税」と「政策経費の削減」は、いずれも「反対」が5割を超えた。「国債発行」は「賛成」が5割を上回った。
政府は防衛費増額に伴い、27年度時点で財源が約4兆円不足するとして、うち1兆円強を増税で賄う方針。残りの約3兆円については、歳出改革や、決算剰余金、税外収入などで賄うと説明している。
政府が相手国のミサイル発射拠点などをたたく反撃能力(敵基地攻撃能力)の保有を決めたことについては、「賛成」が59%で、「反対」が27%だった。質問の仕方が異なるため単純に比較できないが、5月21日の調査では、保有について「賛成」は66%、「反対」は22%だった。
政党支持率は、自民党25%(前回29%)▽日本維新の会12%(同12%)▽立憲民主党11%(同12%)▽共産党5%(同3%)▽れいわ新選組5%(同4%)▽国民民主党5%(同4%)▽公明党3%(同3%)▽NHK党2%(同1%)▽参政党2%(同3%)――などで、「支持政党はない」と答えた無党派層は29%(同26%)だった。
調査は、携帯電話のショートメッセージ(SMS)機能を使う方式と、固定電話で自動音声の質問に答えてもらう方式を組み合わせ、携帯602件・固定411件の有効回答を得た。【伊藤奈々恵】