★元首相・安倍晋三の一周忌を8日に控え経産相・西村康稔が雑誌のインタビューに答え、安倍派(清和会)の後継会長は党国対委員長・高木毅、官房長官・松野博一、党政調会長・萩生田光一、党参院幹事長・世耕弘成、そして西村のいわゆる「安倍派5人衆」の集団指導体制で行くと言い出した。過去の清和会の権力闘争と分裂の歴史を踏まえた発言だろうが、この5人は決して仲良しグループではない。高木、松野はいわゆる福田系、萩生田、世耕、西村は岸系と清和会の2大系譜、福田赳夫系列と岸信介系列に分かれる。

★高木、松野が当選8回、西村7回、萩生田6回、世耕が参院で当選5回といずれも微妙な序列がある。派内の重鎮、下村博文が9回、現在同派会長代理を務める塩谷立は当選10回とこの序列も複雑に影を落とす。下村は岸系、塩谷は福田系だ。つまり互いがけん制し合って、あいつがやるなら俺は派を割るという声が聞こえると共に、それぞれが若手を引き連れて動かれると厄介だ。それが集団指導体制にならざるを得ない実情だ。だが集団指導体制というならば、派閥の総裁候補は出さないということなのか。そう思われないように西村は仕掛けを打つ。来年の総裁選挙に首相・岸田文雄が出馬しないならば「安倍総理の下で経験も積ませていただきましたので、これは仲間と相談しなければいけないけれども、清和会の皆さんから、まさにこれこそ理解が得られれば、ぜひ挑戦をしたいという気持ちは持っております」と自らを5人衆の中でも別格ですから、私が総理候補ですと宣言した。

★「西村は『総裁選に意欲』の一言が余計。5人で固めて行きますだけ言えばかわいいのに、そう言われれば萩生田も世耕も面白くない。若手は当選4回ながら総務会長も歴任した福田達夫で時間をかけて本格総理候補に育てて満を持すべきとの声もある」(同派中堅議員)。この調子だと歴史は繰り返されそうで、一周忌を過ぎれば第3次清和会戦争の勃発か。(K)※敬称略