天と地の間

クライミングに関する記録です。

由布川渓谷 遡上 第3弾

2012年08月22日 | 
由布川は日程が合わず、昨年の11月に行ったきりとなっていた。
残された課題は「めくらの滝」。ぼちぼち行こうかという話になったが、7月の豪雨に続き、お盆は毎日のように雨が降った。当然、水
量はかなりの量が予想される。もう少し、様子を見ようかとも考えたが、とりあえず、状態でも見ておこうかと、18日に入ることにした。
金曜日の夜、キャンプ場バンガローで久しぶりに白きりさん、ますもちゃんと再会する。ますもっちは、3日前にスイスの新婚旅行から
帰ったばかり。こんなことしてていいんだろうかと、ちと心配になったりするが、日本は猛暑の折、仲良くスイスアルプスを登ってきた
ことを思えばどうでも良くなってきた。

土曜日、6時起床。
椿大橋に一台車を置いた折に、橋から見下ろすと、昨年よりは増水は見られるものの、思ったほどではない。
椿の駐車場に車を置き、長い階段を下りる。

入渓8時15分。
水温は昨年よりはかなり暖かく感じられる。それもそのはず、最後に行ったのは11月であった。かなりの差であろう。
15分ほど遡上すると、3m程度の見覚えのある小滝が現われる。昨年よりは流れ落ちる水量が多い。ここは、白きりさんがトップで突破。


白きりさんと私。これから滝へと向かうところであるが、
まるで地底に行くよう。


ますもちゃんと私。快晴というのになんという暗さだろうか。
私は今回、はじめてライフジャケットを着用。


下流を撮影。ここからがらっと様相が変わる。

さらに10分ほど行くと、めくらの滝へと向かう狭いゴルジュに到着。ここからはめくらの滝まで70m。突破しない限り、足を休めるとこ
ろは無い。

登攀用具を身に付け、流れに逆らいながら狭い屈曲したゴルジュを泳ぐこと数分。広くなった箇所に出る。めくらの滝がある場所だ。滝
は瀑音とともにすさまじく大量の水を落としている。 流れるという形容はあたらない。直ぐに気づいたことは、前回来た時と景観が大
きく変わっているということ。流れが変わったためだろうか。また、今回は晴天の上、午前。前回の薄暮のような時とは違うのも違って
見える要因なのだろうか。もうひとつ気づいたことは、これを越えるのは絶望的だということ。
とはいえ、ここまできたからにはこのままでは引き下がれない。ひとまず、体勢を整えようと、滝下りのグループが打ったのであろうピ
ンに白きりさんが体重を預けると、スポット抜けてしまった。ピンを見ると径は細いものの長さは30cmあまりある。ホームセンターで購
入したものだろうか、だいたいそんなものが簡単に入る自体、岩質の弱さを推して知るべしといったところだ。代わりに白きりさんが長
めの厚いハーケンを打つが苦労している様子。当然だろう。立ち泳ぎしながら打っているため、コントロールが定まらず、打っても力が
逃げるのだ。それでも、少しずつでも効いていけば良いのだが打った先からリスが崩れ、ぐらつく。まったく効かない。実に厄介な岩質
だ。こうなると、カムしかない。近くにポケットを見つけ、カムを効かせて体重を掛けたところ、あっさりと外れ、放り出された。壁が
削られ開いたのである。今度は浮力を利用し、体重を掛けないようカムに縋る。
一息ついたところで、白きりさんが弱点を探りに滝へと向かうが翻弄されすぐに戻ってきた。代わって私がに向かうが流れが速い。なん
とか直下まで近づいたが、勢いよく落ちてくる水のため、呼吸が出来ない。無理にしようとすると水を飲み、一部は肺にまで入りそうな
る。危ない。咳き込みながら滝から離れる。


滝へ向かう白きりさん。
暗いため、シャッタースピードが落ちて滝は霧状に見えるが、
実際はすさまじい勢いで落ちている。


滝の周りは広くなりこれまでより、やや明るくなる。


喘ぐ私。満足に呼吸ができない。


波立つ水面。近づくのも体力を消耗する。

再び、白きりさんが果敢に向かう。何とか滝の右端にたどり着き奮闘するも、またも撤退。
戻ってきた白きりさんが云うには、体を引き上げる手がかりがあったとのこと。しかし、一歩上がったところで、この水圧には耐え切れ
ないだろう。それに呼吸も出来ないだろう。
条件の良い日を選び、出直そうということで撤退することに決めた。

椿が近づくにつれて、カメラを持った観光客がぽつぽつと現われる。登り口まで来ると家族連れの人も結構見られ、あらためて、ここが
観光地だということを確認する。


椿の駐車場へと上る階段。地上へ出た感がある。
行動時間は短かったが、水の中で予想以上に体力を消耗したのか
階段がきつかった。

椿大橋へ車の回収に行くと、折りしも滝下りの人がお客さんを連れてきていた。彼らは由布川渓谷には詳しいようだ。聞くと、水量はい
つもと変わらないという。しかし、大きく流れが変わったという。
それで納得。前回よりも難しく感じたはず。水量に関しては、いつもと変わらないということは無いと思うが、彼らが言うからには大幅な
違いは無いだろう。


入渓当初、高いと感じていた水温も1時間も浸かっているとさすがに冷えてくる。なんど震えがきただろうか。もたもたしてられない。も
っと保温を考え、速攻で攻めなければならないだろう。
それにしても、脆い岩質、あらゆるプロテクションをもってしても墜落を止めてくれる保障は無い。落ちても最終的には水の中だろうが、
それまでに岩で何度かバウンドするだろう。それを考えれば、次回も多少動きづらくともライフジャケット必携か。
いずれにせよ、次回は周到な準備と覚悟で望まなければならないだろう。

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