時の過ぎるのはいつだってあっという間で、こないだ始まったばかりのような気がするブラジルW杯だが、今日でちょうど32試合、すでに全64試合の半分が終わってしまった。
悲喜こもごも--とりわけわが日本代表はこの2戦厳しい結果を突きつけられている。
ギリシャ戦後、選手たちが口々に語ったのは「いいサッカーをしていても、点を取らないと勝てない」ということだ。
日本にもブンデスリーガで15点も取った岡崎、Jリーグ昨季得点王の大久保、ドルトムントでは旋風を巻き起こした香川。柿谷や大迫とてヨーロッパ・リーグの強豪が欲しがるようなゴールゲッターだ。次のコロンビア戦ではぜひ真価を発揮してほしいと思う。
とはいえ、世界には桁違いと言いたいほどの決定力をもつゴールゲッターがいることもまた事実だ。それこそどうしたらそんな選手が出来上がるのか、これはもう人知を超えた創造物でもいうしかない。
最強の2人
このW杯が始まる前からそう思っていたし、W杯でさらにそれを確信させたプレーヤーが2人いる。
1人はオランダのロビン・ファン・ペルシー。もう1人はウルグアイのルイス・スアレスだ。
ファンペルシ同点ゴール!スペインVSオランダ 2014ワールドカップ 6月13日
もちろんこのゴールは美しい。完璧だった。歴史に残るゴールだと思う。ただ、ファン・ペルシーの凄いのはやはり決定力だ。だから昨季プレミアの得点王も当然だし、今季は長引く故障であまり試合に出てなかったが、出たときの決定力は変わらない。
あえてどちらをよりすごいかと問うなら個人的にはスアレス。前回南ア大会でチームの勝利のためにゴール前で手を使って相手のシュートを止め1発レッド。自分は準決勝のひのき舞台に上がれなかった。そんなことは百も承知なわけだし、ハンドはほめられるものではないだろう。しかし、このプレーは衝撃的だった。大事なもののためならなんだってやる、というすさまじい覚悟がに心を奪われた。前回一番印象に残ったのがこのプレーだ。
ウルグアイのFWが神の手セーブでPK
※まあそういうルールはないんだろうけど、こんなケースは「認定ゴール」とでもすべきケースだと思う。相手チームにしたらたまったもんじゃない。PKを外してしまったわけだから。
今季は圧倒的なパフォーマンスを見せつけ31ゴールでプレミア得点王。リヴァプールでもチーム愛を見せつけた。彼のチームへの忠誠心というのはどこでも同じように篤く献身的だ。
このW杯も故障で出場が危惧される中、初戦に敗れたチームを救うべく2戦目のイングランド戦に登場。いきなり美しくも難しいシュートをいとも簡単に得点に結びつけた。2本とも素晴らしかったと思う。この決定力! 信じがたいほどだ。
スアレス2ゴール!ウルグアイVSイングランド戦ハイライト 2014ワールドカップ
香川のおかげでプレミアの試合を見る機会が増えた。他のリーグも同じくらい見てたら他の選手を選ぶかもしれないけど(とくにリーガ・エスパニョーラは日本人がいないのでほとんど見てない、放送もない)、W杯でも感じていた通りの活躍で文句なしだ。
その他の注目すべき天才たち
この2人に続き、決定力を感じさせるプレーヤーは、次の9人。
ルーニー、メッシ、C.ロナウド、ネイマール、ベンゼマ、バロテッリ、ロッベン、デンプシー、エトオ。
この中で個人的に最も気になる選手は--好きなプレーヤーといってもいい--実はルーニーだった。これも香川のおかげだけど、ルーニーは本当にすごい選手だと思う。
極端な話、GK以外ルーニーが10人いたら世界一強いチームになるのではないかと思うほどだ。それほど彼は守備にも手を抜かないし、どんなポジションでもトップレベルでこなすことができる(もちろんDFとして試合に出ることは実際にはないけど)。
決定力だって世界屈指の1人だと思うけど、ルーニーはやるべき仕事が多すぎる。それなりの質のボールを持てば必ずゴールに正確にボールを運ぶ。自分で切り裂く強引さと繊細さも持ち合わせている。だが、特に今シーズンのようにファンペルシーのような選手がいないとあらゆることを彼がしなくてはならなくなる。
イングランドでのルーニーも同じだ。プレミアリーグは世界最強のリーグだが、各チームの主力は海外の有力選手ぞろいで、ファンタジスタもストライカーもルーニー以外目立った選手がいない。ジェラードのようなクラシックな闘将も少なくなり、イングランド自体は或る意味負けるべくして負けてしまったように思う。それでもルーニーは10試合目でW杯初得点を記録した。
ルーニー ついにW杯初ゴール! ウルグアイ×イングランド 2014ワールドカップ
メッシとロナウドは現時点での大スターであるばかりでなく、おそらくサッカーの歴史上に残る偉大な選手に違いない。能力、実績など総合力でこの二人は図抜けている。ロナウドのコンディションがあまりよくないのが残念だが、彼は泣き事言わずにチームのために戦い続けていて、そういう点でも偉大な選手なのだなと改めてわからせてくれた。
メッシは2試合連続素晴らしいゴールを奪い、チームは予選を突破。予選、決勝とも組合せに恵まれており、ブラジルとの決勝も見られる可能性はかなりある。この大会はメッシの大会となるかもしれない。
次代の大スター候補は何と言ってもネイマールだろう。彼は人間的にも魅力がある。ガツガツしてない。金にもどうやら大した執着もない。子どもが大好きで、練習中に邪魔されても、追い出された子どもを連れ戻して一緒に遊んだり写真を撮ってやったりする。
しかし、オープニングゲームのブラジル初ゴールは見事の一言に尽きる。そしてPKも。年齢的にもキャリアとしても発展途上だけど、この大会がネイマールの大会だと言われる可能性も多いにある。
ファンペルシーと並ぶオランダの2枚看板世界最速ドリブラーであるロッベンもその実力をいかんなく発揮して3得点。切り返してDFを振り払いGKまで翻弄してのゴールは見事というほかない。「最強の3人」としなかったのは、ブンデスリーガをわたしが見てないせいかもしれない。
フランスのエースストライカーではあるが、この大会でのベンゼマの活躍は驚きだった。目を見張るものがある。PKを含む3得点だが、ホンジュラス戦でのオウンゴールはベンゼマの得点に等しい。フランスのFWはW杯であまり活躍できてない印象があるが、今大会のベンゼマはこれを打ち破る可能性がある。
バロテッリは、もちろん本田がミランに移籍してくれたおかげで試合を見る機会が格段に増えた。はずすこともないではないが、やはりプレーは足元もヘッドも正確だ。しかも強くスピードもある。まだ1点だけど、このヘディングも完ぺきだった。はずしようがない。イタリアが勝ち進めば(ウルグアイに勝たねばならない! 相当難しい仕事になる)得点が増えてくることは疑いない。
アメリカのデンプシーはMLS所属であまりなじみがないが、W杯は3度目でW杯を見続けているファンなら名前に覚えがある。ガーナ戦、ポルトガル戦とここまで2試合に渡り決定的な仕事をしている。
その他の8人は、いまさら語るのもおこがましいような世界の名選手、大スターばかり。
エトオはまたしても何もできないまま終わってしまうのだろうか? クラブでの彼はスアレス、ファンペルシーに匹敵する決定力を発揮しているのに、残念だなあ。
その他の複数得点プレーヤー
1点ならともかく2点取ってるとなると、それはやはり偶然ではなく得点能力が高い選手だといえるだろう。
ここまで各1~2試合で複数得点をゲットした選手は全部で14人しかいない。上述以外の選手では
・ミュラー(ドイツ バイエルン・ミュンヘン)3(1PK)
・バレンシア,エネル(エクアドル パチューカ[メキシコ])3
・ロドリゲス(コロンビア モナコ)2
・マンジュキッチ(クロアチア バイエルン・ミュンヘン)2
・アイェウ,アンドレ(ガーナ)2
・ケーヒル(オーストラリア ニューヨーク・レッドブルズ)2
・ジェルビーニョ(コートジヴォワール ASローマ)2
みんな名のある名選手ばかりだ。ミュラーは前回得点王の1人でもあるし、マンジュキッチは出場1試合で2得点。エクアドルのエネル・バレンシアはすでに3得点。コロンビアの若き司令塔ロドリゲスのスピードとキレもすごい。ケーヒルは日本も痛い目に遭っている。ベテランだが今大会の決定力もすばらしい。ジェルビーニョのドリブルからのシュートも正確だ。
彼らからももちろん目が離せない。
そして最後に、南アでの2得点も含めて我らが本田圭祐もこの列に加えておこう。今大会最初のゴールは、広く開いたゴール右ではなく狭い左の上隅を狙ったゴール。このタイミングで決めてしまう決定力、意志の強さはワールドクラスだ。
ぜひコロンビア戦でもスーパーゴールを期待したい。
悲喜こもごも--とりわけわが日本代表はこの2戦厳しい結果を突きつけられている。
ギリシャ戦後、選手たちが口々に語ったのは「いいサッカーをしていても、点を取らないと勝てない」ということだ。
日本にもブンデスリーガで15点も取った岡崎、Jリーグ昨季得点王の大久保、ドルトムントでは旋風を巻き起こした香川。柿谷や大迫とてヨーロッパ・リーグの強豪が欲しがるようなゴールゲッターだ。次のコロンビア戦ではぜひ真価を発揮してほしいと思う。
とはいえ、世界には桁違いと言いたいほどの決定力をもつゴールゲッターがいることもまた事実だ。それこそどうしたらそんな選手が出来上がるのか、これはもう人知を超えた創造物でもいうしかない。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/soccer.gif)
このW杯が始まる前からそう思っていたし、W杯でさらにそれを確信させたプレーヤーが2人いる。
1人はオランダのロビン・ファン・ペルシー。もう1人はウルグアイのルイス・スアレスだ。
ファンペルシ同点ゴール!スペインVSオランダ 2014ワールドカップ 6月13日
もちろんこのゴールは美しい。完璧だった。歴史に残るゴールだと思う。ただ、ファン・ペルシーの凄いのはやはり決定力だ。だから昨季プレミアの得点王も当然だし、今季は長引く故障であまり試合に出てなかったが、出たときの決定力は変わらない。
あえてどちらをよりすごいかと問うなら個人的にはスアレス。前回南ア大会でチームの勝利のためにゴール前で手を使って相手のシュートを止め1発レッド。自分は準決勝のひのき舞台に上がれなかった。そんなことは百も承知なわけだし、ハンドはほめられるものではないだろう。しかし、このプレーは衝撃的だった。大事なもののためならなんだってやる、というすさまじい覚悟がに心を奪われた。前回一番印象に残ったのがこのプレーだ。
ウルグアイのFWが神の手セーブでPK
※まあそういうルールはないんだろうけど、こんなケースは「認定ゴール」とでもすべきケースだと思う。相手チームにしたらたまったもんじゃない。PKを外してしまったわけだから。
今季は圧倒的なパフォーマンスを見せつけ31ゴールでプレミア得点王。リヴァプールでもチーム愛を見せつけた。彼のチームへの忠誠心というのはどこでも同じように篤く献身的だ。
このW杯も故障で出場が危惧される中、初戦に敗れたチームを救うべく2戦目のイングランド戦に登場。いきなり美しくも難しいシュートをいとも簡単に得点に結びつけた。2本とも素晴らしかったと思う。この決定力! 信じがたいほどだ。
スアレス2ゴール!ウルグアイVSイングランド戦ハイライト 2014ワールドカップ
香川のおかげでプレミアの試合を見る機会が増えた。他のリーグも同じくらい見てたら他の選手を選ぶかもしれないけど(とくにリーガ・エスパニョーラは日本人がいないのでほとんど見てない、放送もない)、W杯でも感じていた通りの活躍で文句なしだ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/soccer.gif)
この2人に続き、決定力を感じさせるプレーヤーは、次の9人。
ルーニー、メッシ、C.ロナウド、ネイマール、ベンゼマ、バロテッリ、ロッベン、デンプシー、エトオ。
この中で個人的に最も気になる選手は--好きなプレーヤーといってもいい--実はルーニーだった。これも香川のおかげだけど、ルーニーは本当にすごい選手だと思う。
極端な話、GK以外ルーニーが10人いたら世界一強いチームになるのではないかと思うほどだ。それほど彼は守備にも手を抜かないし、どんなポジションでもトップレベルでこなすことができる(もちろんDFとして試合に出ることは実際にはないけど)。
決定力だって世界屈指の1人だと思うけど、ルーニーはやるべき仕事が多すぎる。それなりの質のボールを持てば必ずゴールに正確にボールを運ぶ。自分で切り裂く強引さと繊細さも持ち合わせている。だが、特に今シーズンのようにファンペルシーのような選手がいないとあらゆることを彼がしなくてはならなくなる。
イングランドでのルーニーも同じだ。プレミアリーグは世界最強のリーグだが、各チームの主力は海外の有力選手ぞろいで、ファンタジスタもストライカーもルーニー以外目立った選手がいない。ジェラードのようなクラシックな闘将も少なくなり、イングランド自体は或る意味負けるべくして負けてしまったように思う。それでもルーニーは10試合目でW杯初得点を記録した。
ルーニー ついにW杯初ゴール! ウルグアイ×イングランド 2014ワールドカップ
メッシとロナウドは現時点での大スターであるばかりでなく、おそらくサッカーの歴史上に残る偉大な選手に違いない。能力、実績など総合力でこの二人は図抜けている。ロナウドのコンディションがあまりよくないのが残念だが、彼は泣き事言わずにチームのために戦い続けていて、そういう点でも偉大な選手なのだなと改めてわからせてくれた。
メッシは2試合連続素晴らしいゴールを奪い、チームは予選を突破。予選、決勝とも組合せに恵まれており、ブラジルとの決勝も見られる可能性はかなりある。この大会はメッシの大会となるかもしれない。
次代の大スター候補は何と言ってもネイマールだろう。彼は人間的にも魅力がある。ガツガツしてない。金にもどうやら大した執着もない。子どもが大好きで、練習中に邪魔されても、追い出された子どもを連れ戻して一緒に遊んだり写真を撮ってやったりする。
しかし、オープニングゲームのブラジル初ゴールは見事の一言に尽きる。そしてPKも。年齢的にもキャリアとしても発展途上だけど、この大会がネイマールの大会だと言われる可能性も多いにある。
ファンペルシーと並ぶオランダの2枚看板世界最速ドリブラーであるロッベンもその実力をいかんなく発揮して3得点。切り返してDFを振り払いGKまで翻弄してのゴールは見事というほかない。「最強の3人」としなかったのは、ブンデスリーガをわたしが見てないせいかもしれない。
フランスのエースストライカーではあるが、この大会でのベンゼマの活躍は驚きだった。目を見張るものがある。PKを含む3得点だが、ホンジュラス戦でのオウンゴールはベンゼマの得点に等しい。フランスのFWはW杯であまり活躍できてない印象があるが、今大会のベンゼマはこれを打ち破る可能性がある。
バロテッリは、もちろん本田がミランに移籍してくれたおかげで試合を見る機会が格段に増えた。はずすこともないではないが、やはりプレーは足元もヘッドも正確だ。しかも強くスピードもある。まだ1点だけど、このヘディングも完ぺきだった。はずしようがない。イタリアが勝ち進めば(ウルグアイに勝たねばならない! 相当難しい仕事になる)得点が増えてくることは疑いない。
アメリカのデンプシーはMLS所属であまりなじみがないが、W杯は3度目でW杯を見続けているファンなら名前に覚えがある。ガーナ戦、ポルトガル戦とここまで2試合に渡り決定的な仕事をしている。
その他の8人は、いまさら語るのもおこがましいような世界の名選手、大スターばかり。
エトオはまたしても何もできないまま終わってしまうのだろうか? クラブでの彼はスアレス、ファンペルシーに匹敵する決定力を発揮しているのに、残念だなあ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/soccer.gif)
1点ならともかく2点取ってるとなると、それはやはり偶然ではなく得点能力が高い選手だといえるだろう。
ここまで各1~2試合で複数得点をゲットした選手は全部で14人しかいない。上述以外の選手では
・ミュラー(ドイツ バイエルン・ミュンヘン)3(1PK)
・バレンシア,エネル(エクアドル パチューカ[メキシコ])3
・ロドリゲス(コロンビア モナコ)2
・マンジュキッチ(クロアチア バイエルン・ミュンヘン)2
・アイェウ,アンドレ(ガーナ)2
・ケーヒル(オーストラリア ニューヨーク・レッドブルズ)2
・ジェルビーニョ(コートジヴォワール ASローマ)2
みんな名のある名選手ばかりだ。ミュラーは前回得点王の1人でもあるし、マンジュキッチは出場1試合で2得点。エクアドルのエネル・バレンシアはすでに3得点。コロンビアの若き司令塔ロドリゲスのスピードとキレもすごい。ケーヒルは日本も痛い目に遭っている。ベテランだが今大会の決定力もすばらしい。ジェルビーニョのドリブルからのシュートも正確だ。
彼らからももちろん目が離せない。
そして最後に、南アでの2得点も含めて我らが本田圭祐もこの列に加えておこう。今大会最初のゴールは、広く開いたゴール右ではなく狭い左の上隅を狙ったゴール。このタイミングで決めてしまう決定力、意志の強さはワールドクラスだ。
ぜひコロンビア戦でもスーパーゴールを期待したい。