中国迷爺爺の日記

中国好き独居老人の折々の思い

オリンピックと新聞

2010-02-19 09:22:29 | 身辺雑記
 カナダのバンクーバーで冬季オリンピックが開催されて1週間がたった。私がとっている新聞は連日オリンピックの記事を書きたてているが、他紙も同じだろう。

 私はおそらくは非常に少数派なのだろうが、オリンピックにはほとんど興味がない。冬は夏に比べると競技種目に馴染みが薄いからだからではない。私は夏のオリンピックにも関心が薄い。個々の競技には好きなものがあり関心もあるし、北京オリンピックは時差の影響がないからいくつかの競技は見た。それでもテレビにかじりつくというようなものではない。とりわけメダルというものに興味がなく、国ごとにメダル数を競うようなことはバカらしいとも思っている。どの競技であれ、そこに参加しているアスリート達の姿を見るのがいい。

 だから、この1週間は新聞を開くといささか辟易している。毎日見ているのはもちろん普通紙だが、まるでスポーツ紙かと思うくらいにオリンピックの記事が溢れている。競技が始まった翌日の朝刊には驚いた。1面のトップを大きく占めていたのは、女子モーグルの上村愛子選手に関する記事で、大きな見出しが「上村全力 涙の4位」というものだ。メダルを取らなかったのに1面トップはおかしいと言うつもりはない。しかし何となく違和感を覚えたのだった。1面には他に「消費税論議『来月に』」とか「子ども手当て『無駄削減分で』」、「大証取引 未明まで延長」という3本の記事がある。記事の位置からすると新聞社としてはオリンピックの記事が読者にとっては一番関心があり重要だと考えたのだろう。

 私がオリンピックに関心が薄いからこのように言うととられるかも知れないが、本当に読者の多くはオリンピックを最重要に考えているのだろうかと思う。上村選手は前からよく記事になっていたようだから、あるいはメダルを取ることが期待されていたのかも知れない。それで1面の記事としてスペースを取っておき、結果は期待はずれに終わったが予定していたスペースはそのまま使ったのではないかと、新聞編集の技術についてはよく知らないから単純に想像してしまった。1面だけではないスポーツ面は「愛子の速さ見たかった」という大きな写真付の記事。社会面は「愛子の母でよかった」と情緒過剰の記事と応援する母親の写真、ざっと目を通しただけで食傷気味になった。

 それ以来、朝刊も夕刊も連日1面には日本選手の記事が掲載されている。オリンピックは間違いなくスポーツの一大イベントで、これに熱狂する者が多いのは当然だ。しかし一方では私以上に無関心な者もいるだろうし、嫌いな者もいるはずだ。オリンピックどころじゃないと言う人もいるかも知れない。だからマスコミは絶叫調ではなくて、もう少しバランスの取れた姿勢で報道するべきだ。何でも彼でも1面の記事にする必要はないのではないか。戦時中のスローガン「一億一心火の玉だ」というような感じを受けないようにしてほしい。