今に始まったことではないのだが、時々酒が飲めたらなあと思うことがある。私はまったくの、と言うよりは少しだけは飲めるが、それでも分類上は辛党には入らない、言うところの下戸だと思う。
アルコール類は嫌いではない。ウォッカや中国の白酒(パイチョウ)などのような強烈な酒はだめだが、醸造酒は日本酒も中国の紹興酒やワイン、ビールなど少しくらいなら飲めるし、おいしいと思う。蒸留酒も、焼酎はうまさが分からないが、ウィスキーやブランデーなどは香りが好きだし口に含んだ時の味わいもいいと思う。もっともいわゆる酒飲みに比べたら舐める程度しか飲めない。酒は嫌いではないが弱いのだ。すぐに体が火照ってきてだるくなってくるし、顔が赤くなる。だから外では飲まないようにしているが、それだけに人がうまそうに飲んでいるのを見ると羨ましくなる。とりわけ暑い日に昼食をとりに店に入り、うまそうにビールを飲んでいる人を見ると、自分の人生には楽しみ、歓びが1つ欠落しているように思ったりもする。
酒は飲めないくせに、肴になりそうなものは何でも好きだ。塩辛などの辛いものがいい。これは多分父の影響ではないかと思う。父は酒(日本酒)が好きだった。毎日母の手作りの料理で晩酌を楽しんでいたが、きれいな酒で乱れたのを見たことがなかった。父は口が奢っているところがあり、鮎のうるか(鱁鮧)やこのわた(海鼠腸)、からすみ(鱲子)などが好きだった。父はそのような肴を私にほんの少しくれることがあり、私も子どものくせにそれを美味しいと思った。そのような高級品は長じてからは口にすることは稀になったし、父も戦後は逼塞していたので縁遠いものになったが、不思議にその味の記憶は残っている。それやこれやで酒は飲めないのに肴になるようなものは何でも好きになってしまった。父は私達子どもには優しい人だったが一面では厳格なところがあり、私が未成年の間は酒を飲ませることはなかった。小さい時から舐めさせる程度でいいから酒を口にさせてくれていたら、少しは強くなったかも知れない。そうすれば父と酒を酌み交わす楽しみもあったろうになどと思ったりすることもある。
辛党という語を「辛い物好き」と誤用することもあるようだが、その意味では私はかなり辛い物好きだから辛党なのかも知れない。父は酒好きだったが、厳密な意味での辛党ではなく、甘いものも好む、いわゆる「両刀遣い」だった。私も甘い物は嫌いではないが、甘党と言うほどではない。「両刀下手遣い」とでも言うか。とくに年を取るにしたがって、最近流行りの「スイーツ」の類は敬遠しがちで、「ケーキバイキング」などは聞くだけで胸がもたれる思いがする。甘いものは西洋風の濃厚な甘さのものよりは、和菓子などの方が今では好みに合うようになった。
辛党にしても甘党にしても、何事にも程々が健康のためにもいいのではないかと思う。
アルコール類は嫌いではない。ウォッカや中国の白酒(パイチョウ)などのような強烈な酒はだめだが、醸造酒は日本酒も中国の紹興酒やワイン、ビールなど少しくらいなら飲めるし、おいしいと思う。蒸留酒も、焼酎はうまさが分からないが、ウィスキーやブランデーなどは香りが好きだし口に含んだ時の味わいもいいと思う。もっともいわゆる酒飲みに比べたら舐める程度しか飲めない。酒は嫌いではないが弱いのだ。すぐに体が火照ってきてだるくなってくるし、顔が赤くなる。だから外では飲まないようにしているが、それだけに人がうまそうに飲んでいるのを見ると羨ましくなる。とりわけ暑い日に昼食をとりに店に入り、うまそうにビールを飲んでいる人を見ると、自分の人生には楽しみ、歓びが1つ欠落しているように思ったりもする。
酒は飲めないくせに、肴になりそうなものは何でも好きだ。塩辛などの辛いものがいい。これは多分父の影響ではないかと思う。父は酒(日本酒)が好きだった。毎日母の手作りの料理で晩酌を楽しんでいたが、きれいな酒で乱れたのを見たことがなかった。父は口が奢っているところがあり、鮎のうるか(鱁鮧)やこのわた(海鼠腸)、からすみ(鱲子)などが好きだった。父はそのような肴を私にほんの少しくれることがあり、私も子どものくせにそれを美味しいと思った。そのような高級品は長じてからは口にすることは稀になったし、父も戦後は逼塞していたので縁遠いものになったが、不思議にその味の記憶は残っている。それやこれやで酒は飲めないのに肴になるようなものは何でも好きになってしまった。父は私達子どもには優しい人だったが一面では厳格なところがあり、私が未成年の間は酒を飲ませることはなかった。小さい時から舐めさせる程度でいいから酒を口にさせてくれていたら、少しは強くなったかも知れない。そうすれば父と酒を酌み交わす楽しみもあったろうになどと思ったりすることもある。
辛党という語を「辛い物好き」と誤用することもあるようだが、その意味では私はかなり辛い物好きだから辛党なのかも知れない。父は酒好きだったが、厳密な意味での辛党ではなく、甘いものも好む、いわゆる「両刀遣い」だった。私も甘い物は嫌いではないが、甘党と言うほどではない。「両刀下手遣い」とでも言うか。とくに年を取るにしたがって、最近流行りの「スイーツ」の類は敬遠しがちで、「ケーキバイキング」などは聞くだけで胸がもたれる思いがする。甘いものは西洋風の濃厚な甘さのものよりは、和菓子などの方が今では好みに合うようになった。
辛党にしても甘党にしても、何事にも程々が健康のためにもいいのではないかと思う。