Aさんは初冬の光景を描かれました。
「二本の木」 日本画 P10
見上げた姿はうねり樹皮は深く裂けいまだ葉を多く残しているたくましい木は
カシワです。色数を絞った藍色の世界は冬季の厳しさ、森の寂しさを思わせ
ますが下地に入れられた赤茶色や空間の象牙色が温かみをそえています。
生き生きとした枝ぶりに地中深くに広がる根までも感じる迫力ある作品です。
近づいてみました。
カシワの樹皮ははじめから岩絵の具を盛り上げることに決めて墨入れや
下地の暖色も計画的に進めました。金属泥で光の流れをつくった強烈な
存在感をもつ主人公に負けず、空間も粗い粒子の絵の具を重ねています。
枝と葉の細やかな強弱の表現が空間をより広く幻想的に見せています。
ますます表現に深みと凄みが出てきたAさん。次の作品も楽しみです。
過去の作品はHP「上郷の森 日本画教室」内の“作品集”の中の
Aさんのページに制作順に掲載されています。ぜひこちらもご覧下さい。