国土地理院の地形図で日本一低い山とされる天保山(4.73m)・・・日本一低い天保山と日本一高い富士山の両方を登頂して、はじめてニッポンのヤマヤになれるとか・・・?
大阪に来たらぜひとも登頂したい念願の山だった。地下鉄を乗り継いでのアクセスは調べておいた。しかし、なんば駅前をうろうろしていたら、そこが始発の「天保山行き」の市営バスを見掛ける。さすが日本一の山だ、直通バスがある…と感心してそれに乗り込んだ。40分も乗ったのに、均一料金200円にびっくり!さすが大阪だ。函館も見習ってほしい。
着いたところは、山のはずなのに、なんと大阪港の岸壁のそばだった。確か天保山公園の中にあるはず。それらしい所を探す。林の生えたそれらしい方向へ向かうとこんもりした山もある公園だった。公園入口が登山口で、西口ルートなる登山道の標識まで設置されていた。
公園の一番高いところが頂上だろうと、ルート案内図を詳しく見もしないでスタート。階段を登り切って、展望台となっている最高地点に着いた。しかし、いくら探しても、標識もなければ、三角点も見当たらない。これほど長年の登山経験が役に立たなかった山は初めてだ。役に立ったのは、「迷ったら戻れ」ということ。いくら低山でもあなどったらいけないと思い知らされる。
狐につままれた感じで、登山口まで戻って、じっくりルート案内図を見る。どう見てもそれは高い所ではなさそう。別の階段を登り、ルート通り進むと、標識があり、今度は下るようになっている。どう見ても、その先は高い所ではなく、岸壁の防波堤の内側である。
その方向に10mほどの立派な石碑が見える。それが頂上標識なら面白いと思って近づくと、それは、明治天皇行幸記念碑だった。その陰の生け垣の中に可愛い頂上標識がひっそりと立っていた。三角点(二等・点名は天保山)は埋没しているらしく、三角点と書かれた白いプラスチックの標識だけだった。低いなりに少しでも登頂感を味わいたかったのに、ちょっとがっかりして、下山?の途に就く。
歴史を紐解いてみると、そもそも天保年間に築かれた築山で、その年号から命名されたらしい。昔は最初に登頂した最高点が天保山の頂上で、桜や大阪港を見下ろす大阪有数の行楽地だったらしい。しかし、その後、下に設置された三角点の点名が天保山になり、その標高の低さから日本一の低山として売り出したものと思われる。
以前は大阪人特有の洒落で、天保山山岳会や山岳遭難救助隊もあり、登頂認定書も発行していたらしい。公園入口で地元の人に聞いたら、今はそのような活動はしていないとのこと。これも期待していただけにちょっと残念。
「日本一の山に登った!」とハイテンションに浸りたかったのに、迷ったり、登頂感もなかったり、ちょっと期待はずれだったりで、「日本一のローテンションの山」だった。