碇ヶ関の道の駅で雨上がりの朝を迎える。岩木山が見えていたら登ろうと車を走らせた。しかし、大鰐温泉市街地を抜けたら、岩木山は見えたが半分以上雲に覆われていた。
諦めて、大鰐でどこか時間潰しができる面白い所がないか探した。すると、その昔、天から薬師如来が降臨したと信仰されている「石の塔」と、平安時代から続く山岳仏教修験の地として栄えた阿闍羅山が見つかった。
信仰心は全くないが、このような歴史は、本州ならではの魅力である。
◎まずは、石の塔へ
青森県大鰐町と秋田県大館市の境の昔の夏越峠(420m )にある高さ27m、周囲74mの巨石。
津軽地方には「石の塔見ねうぢ、でっけごど、しゃべらいねど」と言う言い伝えがあり、これをもとに、「万国ホラ吹き大会」が6月に開催されている。
大鰐温泉郷から南の虹貝川沿いの道を10kmで早瀬野ダムへ。さらに、両岸どちらの道でも良いので4km、そして、林道を4kmで、ようやく赤い鳥居が建つ登山口。案内板には、45分と書いてある。
林道跡を進み、その終点から20回ほどもシグザグを切る急な小道を登って行く。
登山口からの30分で、頭上に被さるような「石の塔」が見えてきた。
根元には、薬師如来を祀る久須志神社
石に穴を開けた飾りがあり、穴の開いた石が周りにもたくさんあった。
いろいろな山に登っていて、多くの巨石を見ている自分にとっては、驚くほどの大きさではなかった。しかし、昔の人がこれを見て畏敬の念を抱く気持ちは良く分かる。
◎次に、阿闍羅山(709m)へ
大鰐市街地から望む大鰐スキー場とその左上の阿闍羅山。
昔の山岳仏教修験の山も、頂上までの車道、スキー場、頂上直下のゴルフ場とホテル、アンテナ群など、散々な状態だった。
ラグビー場の上から、頂上に続く東北自然歩道をスタート。そのすぐ先には、古い鳥居が建っていた。
スキー場の中の自然道から、杉木立の道を進む。
やがて、再びスキー場の中の舗装道路に出た。パンフでは、その舗装道を辿り、ゴルフ場の中を通るようになっていた。
しかし、すぐ先に広く刈り込まれたきれいな道ができていた。それをたどってみたら、ゴルフ場の中を通らないで、頂上の直ぐ下に出た。
多分、いずれは、東北自然歩道をこちらにするために開削したものと思われる。今年、この道を使ってトレイルラン大会が開かれたようだ。
頂上には、アンテナ群とすでに閉鎖されているゴンドラの山頂駅があった。
しかし、その奥は、公園のように整備され、阿闍羅大権現神社が祀られていた。
凄い豪華な供え物。街中なら、畏れ知らずに盗られてしまいそう。
眼下に見える大鰐の町と左奥の津軽平野
厚く低い雲に覆われた岩木山(左)と津軽平野
帰りは、パンフ通り東北自然歩道を下ったが、ホテルの下まで舗装道路にだった。
昔の信仰登山道の三番休みに祀られているお堂も、ゴルフ場の片隅といった感じだった。
ゴルフ場の下には、こんなホテルも。このホテルの入口を東北自然歩道が抜けていた。
ホテルの下のスキー場の途中から、登りの自然歩道らしいコースに合流。
登り1時間10分、下り(距離が少し長い)1時間05分。途中でも雨はパラついたが、下山した途端に土砂降りになった。
下山後、大鰐温泉郷で一番歴史の古い「霊湯大湯」へ。200円で入れる共同浴場が4軒ある。ここもその1軒。
しかし、この温泉は、毎年7月の土用丑の日に、牛にまたがった大日如来像を湯に浮かべる霊験あらたかな伝統行事「丑湯まつり(温泉祈祷式)」が開催されている。
大鰐の「大日様」と親しまれ、篤い信仰を集める大円寺
明日も岩木山や高い山はダメそうな天気予報だ。ただ、最終日の明後日は天気が良さそうなので、粘ってみようと思っている。今晩のどこでもホテルは、弘前の道の駅。