蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

冬期限定ボンボンショコラ事件

2024年10月16日 | 本の感想
冬期限定ボンボンショコラ事件(米澤穂信 創元推理文庫)

高3の小鳩君は学校帰りに堤防上の道路でひき逃げにあう。小鳩君に突き飛ばされて怪我を逃れた小佐内さんは「犯人をゆるさない」というメモを入院中の小鳩君に残して犯人探しを始める・・・という話。

春期と夏期は、日常の謎風ミステリだったのだが、秋で犯人さがし的ミステリになり、本作では謎がさらに強化され、その謎解きの伏線やロジックがかなり本格的になっていて、季節が進むごとに(あるいは著者の腕前が成熟するにつれ?)読み応えがどんどん増加する仕掛け?になっている。本格化したためか、本来のシリーズテーマであったはずの?小佐内さんのスイーツ談義部分は極小となってしまっているが・・・

それにしても、人間というよりも悪魔に近い小佐内さんに「ゆるさない」と宣言されて生き残ることができる犯人がいるはずもない。恐ろしい。

本作では、小鳩君と小佐内さんの馴れ初め?や「小市民」の由来も紹介されて、シリーズ読者をおおいに満足させてくれるのもいい。小佐内さんが、小鳩君の小市民的アイディアにある意味感心(本当は呆れていた)してしまうシーンはとても印象的だった。(実際、このベタなアイディアが小鳩君を窮地に追い込むことになるという仕掛けも心憎い)

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