寒いからストーブつけてもいいですか

2014年01月17日 | お客さん宅で
(領収書はこの一冊よ、ここに書いてよと云いますね)


電話をかけます。

『Hさ~ん、今いらっしいますか。ご注文のリモコン、照明器具のリモコン入りましたからお届けに参ります』、

二人暮らしのばあちゃんです。
「えっ、え~~、なんですかえ。よお聞こえませんけどどちらさんですか~」、耳もちょっと遠くて難儀です。

今日は一日中雨が降る、雪も交じって寒いです。

「まあまあアトムさん、リモコン持ってきてくれたんですか」、「今日はね、デイサービスなんよじいちゃんは」とばあちゃん云いながら、茶の間に案内いたします。

『照明器具のリモコン、3台まとめて取り替えますよ』と云って、電池を入れて設定します。

えらい寒いです。
このおうちは、とっても寒い寒すぎますね。

『ばあちゃん、台所と茶の間の間の戸はどうして開けっぴろげなんですか』、
『今日は寒いね、台所のストーブも茶の間のストーブもついてないね』と尋ねますね寒いです。

お客さまの中にはいろいろなお方がありますね。

ムンムン気が遠くなるほど、部屋を暑くするお家があるかと思えば、真冬の寒い時でも全く暖房なしで、土間との間の戸も閉めないお家。
コタツにコソっとご主人は、首まで入っていながら部屋は全く暖房なしのお家がありますね。

今日訪ねたHさん宅も、石油ストーブ一つで緩やか暖房のお家です。

ばあちゃんは、「じいちゃんは91になったよ、わたしゃあ84になったんよ。若い時は56㌔もあったのに、今では痩せて38㌔、背も6㌢も縮んだわ」、
「痩せてくると寒さが堪(こた)えるな~、この家は山を背に控えて特別寒いのよ」、「でも、うちはあんまりストーブつけんのよ」、

『ばあちゃん、寒いね、ばあちゃんの云うとおり物凄くこのお家は寒いね、ストーブつけましょうかね』、

「いやいや大丈夫、コタツに足を入れて入れて、はいコーヒーでも入れるから」、
『足は暖ったかくなってきましたが、背中が寒いですな~、ストーブつけましょうな』とグチャグチャ色々話します。

「アトムさん、お金を払うから領収はこのノートに記入してな」と分厚いノートを差し出しますね。

ノートの表紙は「昭和49年~」なんて書いてある。ムチャクチャ古くから、支払ったら相手に書かせていると云いますね。

『ばあちゃん、このページの一行目だね。平成26年と上に書いておくよ』、
『あとは、日付とリモコン代がいくらいくらと書くんだね。そしてアトム電器と書きますよ』と、出された太(ぶ)っといサインペンを走らせますね。

『ばあちゃん、寒すぎるわ。寒すぎて手が固くなって字がスラスラ書けんわね。なあ、ばあちゃん寒すぎるからストーブつけような、寒いからストーブつけてもいいですか』と頼みます。



《寒すぎる 手が震えて 字も書けぬ》